鑑賞ログ「coda コーダ あいのうた」
心洗われる感動作品が観たいという気持ち+口コミで鑑賞。
泣く泣くと分かっていたけれど、案の定頭が痛くなるほど泣いてしまった。
元々はこちらもまた絶対感動するであろう「ドリームプラン」を観たかったのだけれど、口コミを受けた結果こちらを観ることに。
ま、どちらも心が洗われそうな作品だ。
フランス映画「エール!」のアメリカリメイク作品。原作も話題になったのは覚えているけれど、タイミングを逃したのか観てない。
歌うことが大好きなルビー(エミリア・ジョーンズ)は、4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。父親・フランク(トロイ・コッツアー)と兄のレオ(ダニエル・デュランド)は漁師で、早朝に彼らを手伝ってから高校に登校する生活。カースト上位の女子たちからは「魚臭い」とからかわれることに常にイライラし、唯一の味方で親友のガーティ(エイミー・フォーサイス)と彼らをクサしている。そんな中、密かに思いを寄せるマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と接点を保つために選んだ合唱の授業で出会ったクセが強い音楽講師・バーナード(エウヘニオ・デルベス)が彼女の才能に気づき…という話。
一言で言うと、非常に満足度が高い作品だった。
健聴者の主人公ルビーは、手話通訳として両親に頼りにされている。それは自分の未来も、自分だけではなく彼らのためにもあるかのように。なんとなく流されて、自分の未来はそれでもいいかと思っているルビーだったけど、この作品は彼女のアイデンティティ確立の物語でもある。
母は少し子離れができていないけれど、父は父なりに娘の幸せを考えている。その辺りは、両親の便り具合の重量が違うだけで、ある意味よくある話だと思う。
兄とも軽口を交わしたり、友達関係に悩んだりとルビーは思春期のいわゆる普通の女の子。いつもいい子なわけではないし、家族に振り回されるのも嫌だし、親友との関係が一番大事だと思っている。けれど、自分のやりたいことに真摯に向かい合い、家族との関係に悩みながらも夢を追うことを決める。
兄ちゃんもいいやつ。漁師仲間の中でハンディを抱える自分に葛藤しながらも、妹を応援するお兄ちゃんの姿にキュンとする。演じるダニエル・デュランドのお顔も好きな方面だ。
全ては想像通りに物語が進むけれど、予想の一つ一つを超えたものが提示される感じ。梅干しおにぎりだろうと思っていたら、梅だけじゃなくて鮭も入ってた、あら嬉しい❤️の連続で、期待を超えた感動をもたらしてくれるというか。CODA(Child of Deaf Adults)とは<Child of Deaf Adults(耳の聞こえない両親の子ども)>の略。タイトルからするとより普遍的な物語、という印象。あ、一つだけ下ネタが多いことは予想外だったかも。トロイ・コッツアーの演じるパパは超いいキャラ。パパがある方法で娘の歌声を聞くシーンも素敵。時にグタグダでちょっとお茶目な父なのに、感動させてくるのがずるい。
それにしてもこんなに映画で泣いたのは久しぶりなくらい泣いた。
結局この映画で嫌なやつってマウンティング女しかいないのかも。メインのキャラはみんないい人。家族はもちろん、音楽教師のバーナードも毒舌だけど憎めないし、ルビーの想い人であるマイルズもなんだかんだ紳士でいいやつだし、親友のガーティもちょっと緩い子だけどいい子。うん、きちんと心洗われました。
アカデミー賞作品賞もおめでとうだ。
アマプラに「エール!」があるので、近々観る予定。