鑑賞ログ「ザ・メニュー」
221201
予告がファーストコンタクトだったと思う。設定がおもしろそうと感じて鑑賞決定。イメージとしてはちょっと上品なイカゲーム的な感じと予想。不気味なシェフにおろかな人々が翻弄される感じだろうなというビジュアルに期待。
孤島に立つ高級レストランに向かう船が出発する。グルメオタクのタイラーに急に誘われたマーゴ。船に同乗する参加者は料理評論家からアジア成金、落ち目の元人気俳優など誰もが鼻持ちならない感じの連中。
島に着くとなんだか不穏な感じ。天才シェフ(レイフ・ファインズ)を頂点に、ストイックなスタッフたちの姿を感じる。そして、いざディナーが始まれば、もはやそこはシェフの独壇場。まるで独裁者のように振る舞うシェフ。
なぜ彼らは招待されたのか…というブラックコメディ。
いわゆるイヤミス作品。オチは期待通りのいい感じ。でもちょっと登場人物の感情が過剰な気がしたな。そしてグロテスク。ま、グロテスクなのはいいんだけれど。マーゴが感じる居心地の悪さとか、不気味な雰囲気とか、画の作り方は好きな感じ。コースに沿って事件が起こっていくギミックも好き。マーゴの受ける非歓迎さとかブラックコメディ要素はいい感じ。執事役のホン・チャウが醸し出す慇懃無礼な感じも笑える。
でも、タネを知ってしまうとちょっと引いてしまう。その引いた感情を凌駕するようなドキドキは正直なかった。なんか作品にノリきれなかったんだよな…。感情が上下する部分もあるし、揺さぶられるシーンもあるんだけれども。
レイフ・ファインズ演じるシェフも不気味でいい感じだけれど、ちょっと深みがないというか。客は人間の嫌な部分を凝縮したような人間ばっかり。演じるのは楽しそうな役だった。うーん。脚本が弱いのか?メッセージ性が強くて、逆説的に道徳を説くような作品だからだろうか?
あと、個人的にジョン・レグイザモが出てるのがツボ。どこから好きになったのか思い出せない(少なくとも「ジョン・ウィック」よりは前)けど、この人の存在感好きなんだよなぁ。アクが強いのに情けない脇役やらせたらピカイチだと思う。今回の役はそれを逆手に取ったような役どころ。タイラーを演じるニコラス・ホルトの間の抜けたイマイチ男っぷりもいい。ちょっと好きになれない感じ笑。
作品のテーマは「不寛容さ」なんだろうな。もう、孤島に立つ高級レストラン、というところから始まって、客の選民意識とか、シェフのアイデンティティとかそういうところをついているんだろうと思う。そこに異質なマーゴが入ってきたという構図。そう考えると結構メッセージ性はある作品なのかも。
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