「選べない」という選択肢がほしい【ハマダイコン】
「好きな野草は?」という質問ほど悩ましいものはない。
植物は、およそ世界には30万種ほどあると言われている。
無限とも思える植物の種類、探求すればするほど面白い植物たちから1種を選ぶなんて、悩まないわけがない。
さらに植物は季節ごとに移り替わり、春夏秋冬、見ごろの植物は変化していく。
その中で1種を選ぶなんてできやしない。
「春に食べられる美味しい野草は?(多摩川で)」
「夏に触り心地がいい野草は?(多摩川で)」
「秋に香りが好きな野草は?(多摩川で)」
「冬に可愛いロゼットになる野草は?(多摩川で)」
このように季節、場所、具体的にどのような状態か聞いていただけると、ベターな回答ができる。
30万種の植物の中から好きな植物を選ぶのは難しいけど、どうしても1つ選ぶとしたら、こう答えている。
「ハマダイコン」
多摩川で簡単に見つけられる、とにかく個体数が多く目立つ、花びらのカラーバリエーションが多い、根っこが大根のような形状をしていて面白い、新芽から根まで全草食べられて利用できるなど、なぜ好きなのかという理由が話しやすく納得されやすい。
ハマダイコンの季節ごとの利用法については下にまとめる。
秋・新芽
新芽の時期はカイワレ大根のように使う。
ややピリ辛で爽やかな味。
カルパッチョなどに散らす。
冬・若葉
葉は菜飯にしたり、浅漬けにする。
成長すると繊維がかたくなり、毛が生えて舌ざわりが悪くなるので柔らかいものを。
冬・根っこ
根は花が咲く前のものを使う。やや筋っぽい個体もある。
きんぴらなどの炒め物や、漬物に。
辛味が好きな人はすりおろしてもいい。鮮烈な辛さが味わえる。
煮物は荷崩れしやすく、えぐみが気になるのでおススメしない。
春・蕾や花茎
蕾や花茎は苦みと甘味を感じられる。
花の鮮やかさを活かした生春巻きやサラダにも。
さっと茹でて辛し和え、お浸しにも。
夏・種鞘
緑色が薄く柔らかいものを利用する。
シャキシャキとした甘味のあるダイコン味のスナップエンドウのような。
さっと茹でてマヨネーズをかけるだけで美味しい1品となる。
今後も「好きな野草は?」と聞かれたら「(多摩川なら)ハマダイコン」と答えるだろう。
でも本音は・・・どの植物も魅力的だし大好きだから選べないのよ。
ハマダイコン
漢字:浜大根
別名:野大根
花期:春~夏に白から薄紫の花を咲かせる。白、紫、ピンクなどカラーバリエーションが多い。
生息地:多摩川中流~下流の土手側に群生する
■野草てぬぐい特設サイト
多摩川野草てぬぐい | 多摩川を愛でる会通信 (tamagawalovers.com)