韓国版ジェイソン・ボーンの家族愛は激しかった 映画「サスペクト 哀しき容疑者」 #457
“ラブコメ・キング”で“キス王子”として知られる韓国の俳優コン・ユが、除隊後に挑んだアクション大作映画が「サスペクト 哀しき容疑者」でした。
北朝鮮のスパイ養成機関でトップの成績を収めたものの、韓国へと渡った男。その理由とは? 南北関係の歪みをベースに、ひとりの男が味わわなければならなかった業を、激しいアクションと共に描いています。
<あらすじ>
祖国・北朝鮮から見捨てられた特殊部隊の元エリート工作員チ・ドンチョル。愛する妻子を殺害され復讐を心に誓った彼は、韓国で運転代行業をしながら犯人を探す日々を送っていた。ある日、ドンチョルは親身にしてくれていたパク会長の殺害現場に遭遇。容疑者の濡れ衣を着せられたドンチョルは、「国家の狩猟犬」と呼ばれる対北情報局のミン・セフン大佐から執拗に追われることとなる。
韓国映画やドラマで、よく描かれるテーマのひとつが「南北関係」。うっかりしてしまいそうになりますが、朝鮮半島はいまだに戦争状態なんですよね。
でも、生きるために韓国に亡命する人がいるのも事実。国の保護を受けつつも、実際には差別と闘いながら暮らしている人も多いのだとか。そして、祖国に残した家族を人質に、韓国で諜報活動をさせられる人もいます。隠れ蓑として中華料理店が使われるのは、北朝鮮と中国の国境付近に住む朝鮮族のフリができるからのようです。
大人気のドラマ「愛の不時着」でも、ソウルにやって来た隊員たちが助けを求めた先が中華料理店でしたね。バイトの兄ちゃんがキム・スヒョンで、ビックリしました。
(画像は韓国ドラマ・K-POP情報より)
「南北関係」をベースにした物語は、とかく「悲劇」に陥りがちです。「サスペクト 哀しき容疑者」もやはりそちらに向かっていくのか……と思うのですが、二転三転するストーリーにハラハラ。さすが元エリート工作員という設定のアクションにドキドキ。とにかく目が離せない展開です。
それもそもはず。監督はウォン・シニョンなんです。っていっても、「だれ?」だと思いますが。わたしの大好きな俳優ソル・ギョングを主演に迎え、キム・ナムギルをふっくらさせた映画「殺人者の記憶法」の監督です。
スパイにはスパイを管理する親玉がいて、さらにその上には司令官がいます。コン・ユ演じるドンチョルは、その上官を追っているのですが、途中で殺人容疑を着せられ、警察に追われることになってしまいます。
緊迫した格闘シーンをはじめ、ロッククライミングやカーチェイはスタントなしで演じたそう。
橋からのダイビングはCGなのかと思っていたけど、メイキングをみると、実際に飛んでる!!! ワイヤーがあるとはいえ、これはコワイ……。
実はアクション映画にはあまり興味がなく、オファーも一度断っていたのだそうです。除隊後、3本目の映画で、初のアクション映画となる本作。「アクションもいけるじゃん!!」と強く印象づけました。でもたぶん、コン・ユが目指しているのは「人間ドラマ」を演じられる俳優なのだと思います。本作でも「家族を想う父の姿に注目してほしい」と語っていました。
とはいえ、やるとなったらトコトンなんですよね。がたいのよさが役にぴったりでした。これはまさに。
韓国版ジェイソン・ボーン!!
ボーン・シリーズが好きな方は楽しめるかも。そしてラストに泣きます。この男の家族愛は激しすぎる。
(画像はKMDbより)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?