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ベロの妖怪

妊娠期間で地味に辛かったことは(まだ終わっていないが)、食の制限だ。王道だと「カフェイン・アルコール・生魚」あたりだろう。この辺は私もぼんやりと知っていた。ただ実際自分が妊婦になってみると、他にも色々なものに制限があると知り愕然とした。

・カフェイン
・アルコール
・生魚、貝、甲殻類
・魚卵
・生卵
・生肉(ユッケ、生ハム、レアステーキなど)
・ナチュラルチーズ
・ヨウ素を多く含むもの(昆布など)
・ビタミンAを多く含むもの(レバーやうなぎなど)
・ヒ素を多く含むもの(ひじきなど)

量に気をつければOKな場合もあるが、基本的にこの辺りは注意と記載されている。カフェイン一つをとっても「コーヒーや栄養ドリンクを飲まなければ良い」と言う問題ではなく、緑茶やほうじ茶にもカフェインは含まれているため、飲めるお茶は麦茶がメインとなる。
加えて、カロリーの摂りすぎや血糖の上がりすぎにも注意が必要なため、間食にも注意が必要になってくる。「果物なら健康的だし良いだろう」と思ってバクバク食べていたら血糖値に引っかかった。果物すらダメなのかよ。

何を飲食するにもまず検索。
これなら食べられる、これは控えた方が良い、を毎度繰り返す。
そこまで神経質になっていない方々もいると思うが、「何かあってからでは遅い」という使命感がデカすぎて、食事がどんどん窮屈になっていった。


「どれが1番辛かっただろう」と考えてみた。最初は生魚やアルコールがキツいなと思っていたが、9ヶ月を乗り越えて1番実感するのは生卵だった。
私は小さい頃から卵かけご飯が異常に好きだった。大人になった今でも軽くウキウキしながら頻繁に食べていたメニューである。手軽で美味しくて最高に好きな味。これが無くなったのが本当に辛かった。
産んだ後は1番先に美味しい生卵で卵かけご飯を食べたい。

ただ妊娠期間中ずっと味覚がおかしいので、何を食べても絶妙に美味しくはない。私のベロは産んだら入れ替わるのだろうか。治るのかこれ。いったいどういう仕組みなのだろう。
制限が解禁されても、この症状が治ってくれないと元も子もない。


臨月に入り、お酒が大好きな夫もアルコールを控えてくれている。出会った当初から「お酒の人」と言うイメージが強かったので、まさか参戦してくれるとは思っておらず、とても驚いたしありがたかった。1ヶ月とはいえ、大好きなお酒が飲めないのは本当に辛いだろう。申し訳ない気持ちと「でももしかして今日何かあったら」という気持ちがせめぎ合っているので「どんどん飲んでいいよ!」とも言えない。それを考えると早く産んであげたいなとも思う。

ついにあと3日で正期産に入る。
何が起きてもおかしくないし、むしろ起きてOKな時期。
出産に向かう正規の時期が来た。
私が産む予定の産院は、コロナ禍により「立ち会い・面会すべてNG」となっているため、運び込まれたら最後、退院まで1人で乗り越えなければならないことが決定している。こればかりはどうしようもない。
夫と一緒に出産したかった。何度も面会に来てもらって一緒に赤子を愛でたかった。でもそれはどうしても叶わない。仕方のないこと。

頑張る。頑張るしかないぞ。

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