血汗涙が魅せる奇跡
境界と断絶を越えて
2020年12月1日、BTSのLifeGoesOnがビルボードHot100の1位に輝いた。そしてそのランキング3位にはまだまだDynamiteがランクインしている。
アルバムBEのタイトル曲であるLifeGoesOnは、ファンに宛てた手紙のような歌詞と優しいメロディーで、普段の生活のどのタイミングに聞いても不思議としっくり馴染む。LifeGoesOnに限らず、アルバムBEに収録されているどの曲も、聞き手の心境に寄り添うような曲ばかりで、先の見えない状況に沈む気持ちをしっかりと掬い上げてそばで支えてくれるナンバーばかりだ。
初めてこのアルバムを通しで聞いた時、まだまだファン歴の浅い私でも「あぁ、バンタンの優しさが形になったアルバムだ」と感じた。
BTSという優しい世界
私がBTSを知り、沢山のコンテンツから彼らの軌跡を辿る中で、ずっと飽きずに7人を見続けていられたのは、彼らひとりひとりがそれぞれに自分と相手を尊び、敬う姿勢に破茶滅茶に癒されたからだろう。励ます、とは少し違う優しさや理解、伝えることを諦めない、相手の気持ちを汲み取ろうとする力のようなもので支え合う7人に「私もこう在りたい」と思わせる何かがある。
数々のインタビューやスピーチ、ボンボヤでのそれぞれの姿を観ながら、彼らの謙虚で、ただただひたむきに努力し続けている姿を見ていると、驚かされる。彼らは当たり前のように相手を尊重して受け入れるのだ。誰かが少しミスをして“これだから僕は、、、”と自分を責めてしまいそうになっても必ず誰かが「いや、良かったよ。今のすごく良い。」とすかさず声をかけてくれる。色々な場面で、どうしてもやってみたいことが思いついて行動に移してしまうテテには、どのメンバーも「あぁ、もうお前のやりたいこと全部やれ」と温かい目で甘やかしてくれるし、それを本当に嬉しそうな顔で喜ぶテテを見て私の心はかなり優しい気持ちで満たされる。
人の感情は伝染する、と常日頃から思っているので、接客する時もできるだけ私と関わる方達が今よりも少し明るい気持ちで過ごせるきっかけになれば良いなと意識しているけれど、それでも私は一度落ち込んだり、考え込んでしまうと自分の機嫌をとるのにとてもとても時間がかかるタイプなので、推しが幸せでいる姿をみてつられて幸せになるのが手っ取り早いのだ。(なんてコスパが良いんでしょう)(幸せの沸点なんて低ければ低いほど良いもんな。)
数々の功績や賞賛の前に輝くもの
私がBTSに興味を持ったきっかけも「ビルボード1位」というワードだったけれど、あくまでそれは人の目を惹きつける旗のような目印であって、そこからどんな風に引き込まれていくかは本人達や周りを取り巻く環境によって分かれていくものだ。
実際に私がBTSに興味を持ってから、しばらく時間が経った後、ふと思い出して癖になるリズムとメロディーが恋しくなり曲をダウンロードしたり、周りの知人友人達がこぞってハマっていくBTSにどんな魅力があるのか知ってみたくなったりするには、楽曲の良さはもちろん、彼らの人となりがかなり重要になってくる。
そしてハマりたての頃、特に私が驚いたのはBTSのファンダムであるARMY達の謙虚さと優しさと面白さと切なさと心強さと(後半二つは書きたかっただけです忘れて下さい)がひしめき合って作り出す大きなパワーの威力だ。彼らが残してきた功績は、ファンと彼らが悩み苦しみ、寄り添って励まし合って少しずつ少しずつ築き上げてきた信頼と愛情の印なのではないかとすら思う。いつだって彼らは「ARMYがくれた賞だ」「ARMYがいなければ成し得なかった」と口にするし、それを受けたARMYは「幸せをもらってばかりだ」「いつだって自分を救ってくれる」と感謝している。その双方の姿に、私の心もどんどん満たされていく。この世で一番パワーを持ち、人を惹きつけ、原動力になるものは、憎しみや悲しみよりも感謝や優しさが連鎖していくことなのではないだろうか。人の感情は伝染する。人が思っているよりもかなり早いスピードで。数々の功績や賞賛ばかりに目がいく様だが、ファンになって気づくのは“それだけでは計れないほど大きな愛の形“の輝きだ。
離れていても届いてる
結局、これまでの功績や賞賛は彼らとARMYの涙や努力が重なり合ってようやく後からついてきたもので、きっとこれから先もセンセーショナルな謳い文句で彼らはメディアに特集されるのかもしれないが、たとえそれをきっかけにファンが増えても、それは単なるきっかけに過ぎない。ARMY達はそれを逆手にとってどんどん勢いを増して彼らの周りを優しさで満たしていく。そして沢山の歴史を塗り替えてきた。初めからそう意図していた訳ではなく、結果は後から自然とついてくるのだ。
正しいことを正しく行うこと。BTSの長兄であるジンくんがインタビューで「赤信号で渡らなければ事故は起きない」と発言したことがとても印象的だった。それを当たり前だと誰もが知っていても毎日あちこちで事故が起きている。当たり前のことを当たり前であると口に出せる人、行動に移せる人はしなやかな強さと優しさを持っている。そしてその意識はBTSのメンバーだけでなく、彼らを応援するARMY達にもしっかり届いて心の奥にちゃんと残っている。この声はきっと届かないけれど、と前置きをしながらSNSでファン達が綴る彼らへの優しい言葉達は、同じく彼らを愛する私達を慰め、癒してくれる。彼らが私たちに届けてくれた“BE”というアルバムの様に。
アルバムBEに同封されていた数々のカードやメッセージの中でも、リーダーであるナムさんのThanks toが私の心に残り続けている。(もちろん他のメンバーのも全てラブレターでした最高でしたありがとう)
どうかこの音たちが
境界と断絶を越えて
人と人を越えて
“バンタン”と“アミ”を越えて
貴方のもとに行き届くように
(@bangtan_labさん和訳)
どうかどうか、これらからも沢山の人の心にこの音たちが届きますように。