突然BTSにハマった話(2)
YouTubeという名の深海
私は普段からYouTubeを見ない生活を送っていたので、2020年の春、世界が一変して誰もが家にいることを強いられた状況でも、仕事にはそこまで影響も出ず、不安ながらも外に出て働く生活を続けていた。生活があまり変わらないものだから自粛期間にYouTubeにお世話になることもなく、いまだに有名なYouTuberの顔も名前も分からない。
友人の動画に高評価して欲しいとか、チャンネル登録して欲しいとか言われたのをきっかけにその為にアカウントを作ったぐらい、本当にYouTubeを日常的に見ることがなかった。
そんな私もBTSのことを気になり始め、サブスクのMVでは飽き足らず、YouTubeを開いて「BTS Dynamite」で検索してしまった。多分それが開けてはならない扉だったんだろう。MVだけじゃなくファンが編集した日本語字幕付きのメイキングや本人達がMVを見ながらコメンタリーしている動画など、どれが公式なのか分からないほどのクオリティー高めな動画が山のように出てきた。
こ、これがBTSの沼、、、いや深海。。。しばらく水面には上がって来られない
楽曲にハマる前に人間性にハマる
Dynamiteで落ちたド新規な私には、他のMVだと髪型も髪色も違う上に、衣装が変わると誰が誰だか分からず、やっぱ見るのやめようかな。となってしまいそうだったので、日本語字幕付きの普段の彼らを見ることにした。(後に、走れバンタンというレギュラー番組だということを知る)
まずは検索で上の方にあるお料理系の動画。Dynamiteでグクの顔だけ認識してはいたけど、DynamiteのMVでテテが映った瞬間に「あれ?私きっとこの子を推すことになりそう」と直感のようなものを感じたのだ。まぁ髪色が変わるとどの子なのか分からず、その気持ちは一旦封印した。しかしリモートお料理対決でいつまで経ってもエプロンがつけられないグクとテテに完全に降参。はい、テテくん、君を推します。参った。
しかし様々なBTSの動画を見る中で、メンバーがいろんな名前で呼ばれていることに気づき、ユンギ?シュガ?え?何?ナム?RM?んんんん???と混乱してしまって、ググることにした。「BTS メンバー プロフィール」検索。(この時点で「知りたい」という欲を抑えられなくなっている)
KPOPにハマることが初めてなので、驚いたのはファンがまとめてくれている情報の多さと丁寧さ。ちょっと気になるな〜ぐらいの気持ちの人たちを「おいで!もっと知って!こんなに可愛くて格好良くて応援していて楽しい子達だよ!」と両手を広げて手招きされている感覚。ARMYの皆さん、優しい。
無事にプロフィールも調べて、メンバーの名前もなんとなく把握できた頃には、私はBTSメンバー全員推せる!!という謎の感動に襲われていた。なんだろうこの平和で優しい世界は。年上のメンバーをヒョン(兄さん)と呼ぶ懐っこいこの感じ。BTSを知る度に「あぁ、なるほど、みんなこの魅力に気づいてしまって離れられないんだな」と妙に納得してしまう。でも本当に、7人が7人とも魅力的で全員推せる。長年ジャニオタをやってきても箱推しできたグループは少なかったので、あぁ出会ってしまった。と両手をあげて大の字に倒れた。
まだこの時はDynamite以外の曲は映画の主題歌であるyour eyes tellを数回聞いたことがあるだけで、BTSの曲はほとんど知らないくせに、走れバンタンと舞台裏などの密着系動画をすでに100本以上見ていて、個性豊かで優しさに溢れたメンバー達に元気をもらうようになっていた。
アーティストである前に一人の人間であること
BTSの動画を漁りながら少し鳥肌が立ったのが、デビュー前からの動画や舞台裏、メンバー同士でぶつかり合う様子やその仲直りのシーンまでがカメラに収められていること。前の記事で私はSMAPが好きだとお伝えしたが、私の推しである香取慎吾は10歳からSMAPなので「四六時中カメラに密着されてもストレスに感じない。何時間でも何ヶ月でも大丈夫」と自ら公言するほどに幼い頃から芸能界にいてその中で育ち、その中で生活をしてきたので「スーパービジネスアイドル」と本人が口にしてからファンも彼をそう呼んでいる。私はそういう香取慎吾くんのどれが本心なのか、それとも全てが本心なのか、掴めそうで掴みきれない少し影もある姿がとっても人間らしくて好きなのだけれど、BTSを観ながら私は「種類は違えど(もっと極端な環境で)この子達もそうやって大人になってきたんだ、、、」と驚いていた。ジャニーズは裏側をファンに垣間見せることはあるけれど、ここまでに密着してひとりの少年がだんだんと成熟した大人になるまでの過程を明け透けには見せてはいないので、ここまで見せて大丈夫なのか!?と心配になった。7人全員が共に壁にぶつかり、それを乗り越えてきた姿や、過去を振り返って今でもなお先を見据えてどんな大人よりも大人な考えを持つに至るまでに、メンバーと事務所と、家族と友人と、そしてARMYが切っても切れない縁と絆で結ばれてここまでやってきたことを知り、数々のエピソードを目にして毎日のように涙した。
芸能の世界で輝き続けることは時に過酷で、人間らしさを失ってしまいかねないもののように感じるけれど、私は推し達の「人間臭さ」がとても好きで、全てを完璧にずっと笑顔だけを見せてくれる存在よりも、より魅力的に感じるのだ。たとえそれをファンじゃない人たちがなんと言おうと、私はこれからBTSの7人とその世界を大事に優しく見守るARMYの皆さんと歩いて行きたいなと思うのだ。
多様なコンテンツの楽しみ方
BTSだけではないが、アイドルや芸能人を好きになるきっかけがファンによってそれぞれ違うように、推しにお金を払いたいというファンや、現場至上主義なファン、お金をかけてまでや現場に行きたいほどではないがお茶の間で癒されながら推しを応援したいファンなど、推し方は人それぞれ。でも私が長年ジャニオタでいた体感としては“とにかくお金とそれなりに自由な時間が必要”だった。
しかしBTSはどうだろう。すでにデビュー前の練習生時代からのログや動画、MVやコンサートの舞台裏、バラエティー番組から音楽番組に至るまで、彼らのことを知り、好きになり、もっと知りたいという気持ちをさらに大きくできるほどに無料のコンテンツが溢れているのだ。YouTubeだけでなく、VLIVEやWeverse などのKPOP独自のコンテンツで無料でも充分に楽しめるというのは、ファンによってどの程度推しにお金を使うかを選べるという点でファン層が広がりやすいのかもしれない。あまりに無料コンテンツが多すぎて、お金を払わせて欲しいとすぐに思ってしまうオタクな私はBTSにハマって2週間後にはボンボヤージュシリーズに課金した。おかげで毎日が楽しい。今はボンボヤージュ4をそろそろ見終わるのでインザスープまで見終わったら、徐々にMVを掘り下げていこうかなというところ。MVの沼も深そうなのでとりあえずは7人がわちゃわちゃしている旅企画を全て網羅しておこうと思う。(ボンボヤージュシリーズを一気に見ていると7人の成長ももちろんながら、7人を取り囲む環境が目まぐるしく変化していくのも見えてくるし、そんな中でも世界旅行をしながらどこにいても何年経っても変わらずインスタントラーメンを一緒に啜っている姿に癒されるのでオススメです。)
出逢うべくして出逢った7人に出逢えた奇跡
BTSを見ていると、こんなにも個性豊かな7人のメンバーが、お互いがお互いに支え合い補い合って、尊重しあって成長しながら、他の6人がいるからこそ自分が自分で居られる。というようなシンパシーをひしひしと感じる。7人が笑っている姿を見ているだけで癒されて、時に自分を見つめなおすきっかけをもくれるような気さえする(新規ARMYにしては相当末期症状が出ている自覚は充分あります)
私が知ることもなく過ごした7年と少しの期間を、埋めるように大事に大事に過去を振り返りながら、BTSの深くて楽しい深海をしばらく潜り続けよう。ハマってすぐに新しいアルバム「BE」のカムバが始まるという幸せも日々噛み締めよう。ユンギが笑って復帰するのを心待ちにしながら。