大人も魅了するグミの世界: 硬さと食感の多様性を探る (元教授、定年退職303日目)
口寂しい時や気分転換を図りたい時、皆さんは何を口にされますか? 私が子どもの頃はガムが定番でしたが、近年の調査によると、グミがその地位を取って代わり、1.5 倍以上の差で人気を博していることに驚きました(下写真)。先日、NHK の「有吉のお金発見」でもグミが特集され、知られざる情報が数多く紹介されていて、興味深く視聴しました。そこで今回は、グミの魅力について考えてみたいと思います。
口寂しさの変遷: 仁丹、フリスク、そしてグミへ
私が幼少の頃、大人たちは口寂しい時に仁丹をよく口にしていました。銀色の小さな粒で、桂皮、木香、生姜など 16 種類の生薬を配合した口中清涼剤です。この和漢薬は、口臭、二日酔い、吐き気、めまい、乗り物酔いなどに効果があるとされています。伝統的な外交官を描いたユニークなパッケージに惹かれ、大人たちが格好良く携帯用ケースから銀色の粒を取り出して口にする姿に憧れ、私も分けてもらった記憶があります。大人になってから改めて口にすると清涼を感じますが、子どもの頃は刺激が強すぎたため、戸惑ったことを覚えています。(下写真もどうぞ)
最近の私はタブレットのフリスクを愛用しています。生薬は含まれていませんが、その爽快な刺激は眠気覚ましや気分転換に最適です。特に運転時には欠かせません。フリスクは、1986 年にベルギーで誕生し、ノルウェー語で「フレッシュ」を意味する言葉に由来すると言われています。近年、フリスクは多様なニーズに応じて進化を遂げ、長時間爽快感を楽しめる大粒タブレットや多種類のフレーバーが発売されています。ちなみに、私は飲食禁止の場面でフリスクが許されるかどうかがいつも気になっています。
グミの現在地: 多様化するグミの世界
さて本題のグミについてです。グミの基本原料は水飴、砂糖、ゼラチンで、型に入れて乾燥させることで独特の食感が生まれます。コーンスターチ製の型を使用し、素早く水分を飛ばすことでぷにぷにとした食感を実現するそうです。ふわふわした食感からハードな食感まで、様々な噛み心地のグミが登場しています。興味を持ち、近くのスーパーを訪れましたが、定番商品が数種類しか置かれていませんでした。しかしコンビニでは、なんと 40 種類近くのグミが陳列されていたのです(下写真:注1)。購買層の違いによるものなのでしょうか。確かに、コンビニで子どもたちがグミの周りに集まっている光景をよく見かけます。私も番組で紹介されていた8種類のグミのうち、7種類を購入してみました(タイトル写真)。
噛むほど楽しい!グミが大人にも愛される理由
早速、購入したグミを自宅で試食してみました。まずハードタイプ2種は、想像以上に硬く、しっかりとした歯ごたえと食べ応えがありました。これは、従来のグミのイメージとは異なるものでした。次にジューシータイプを試食すると、まるで果物を食べているかのような感覚で、特に表面のコラーゲン膜がその果物らしさを際立たせていました。この商品は 29 年もの研究の末に開発されたとのことです。
グミの噛み応えを科学する: 数値化された食感
番組では、大学と共同で開発した機械を用いて噛み応えを数値化し、グミの噛み応えを段階的に細分化することで、客観的な基準を提供していると紹介されました。今回購入した明治の果汁グミのパッケージ裏面にもその結果が掲載されており、5段階中2のややソフトな噛み応えとチャートで示されていました。食品が咀嚼によってどのように変化していくのか、一連の過程を観察する装置も紹介され、人間の口の中を再現し、人工唾液を加えて咀嚼を再現することで、必要な力や時間を計測していました。人によって噛み応えの感覚は異なるため、機械で客観的な数値を出すことで商品選びの基準ができるようになったそうです。(下写真もどうぞ)
健康志向の高まりや技術革新などを背景に、グミ市場は今後も成長を続けると予想されます。また、番組では高弾力のグミを使用してクロダイ釣りをする様子が紹介され(グミでタイを釣る)、見事に 45 センチの立派なクロダイが釣り上げられていました。今後もさらに面白い活用法が発見されるかもしれません。(下写真もどうぞ)
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注1:NHK番組「有吉のお金発見 突撃!カネオくん 空前のブーム到来!「グミ」のお金のヒミツ」より
注2:森下仁丹(株)ホームページより https://www.jintan.co.jp/