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トリビュートアルバムへのいざない (その5):「大瀧詠一」と「はっぴいえんど」(元教授、定年退職167日目)
前回まで、フォーク界から井上陽水さん、吉田拓郎さんをご紹介しましたが、今回は同じ時期に活躍した日本のロックバンド「はっぴいえんど」です(下写真)。メンバーは細野晴臣さん、大瀧詠一さん、松本隆さん、鈴木茂さんの4人。その中の大瀧さんは、ソロアーティストとしても数多くの名曲を生み出したシンガーソングライターでもあります。今回は、大瀧さんと「はっぴいえんど」のトリビュートアルバムについてお話しします。(注:大瀧さんには「大滝」さんの表記もありますが、今日は主に大瀧さんで)
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私が大瀧さんを初めて知ったのは、大学生時代の頃でした。明るいスポーツマンの友人の家で、「『大瀧詠一』というシンガーソングライターが、今テレビで見ているコマーシャルの多くの楽曲を手がけている」と教えてもらったのがきっかけです。彼が聴かせてくれた LP レコード(おそらく「NIAGARA CM SPECIAL Vol.1」)からは、三ツ矢サイダー、清酒大関、出前一丁、キリンビール、日本生命、SONY ハンディーカムなど、聞き覚えのあるCMソングが次々と流れてきました。
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当初はそんな CM ソングのヒットメーカーという印象でしたが、やがて「A LONG VACATION」がリリースされ(累計300万枚以上の売り上げ)、私の認識は一変しました(タイトル写真:注1)。「さらばシベリア鉄道」「君は天然色」「恋するカレン」「カナリア諸島にて」など、後に多くのアーティストにもカバーされるような名曲が誕生しました。数年後には「EACH TIME」がオリコンチャート1位を獲得し、歌手としての地位も確立されました。彼がテレビ嫌いで歌番組を避けていたことを考えると、これは驚くべき出来事でした。
大瀧さんは、作曲家としても非凡な才能を発揮し、多くの歌手に楽曲提供しています。松本隆さんの作詞とのペアが多かったのですが、「冬のリヴィエラ」(森進一さん)、「風立ちぬ」(松田聖子さん)、「探偵物語」(薬師丸ひろ子さん)、「熱き心に」(小林旭さん)、「夢で逢えたら」(ラッツ&スター)、「怪盗ルビィ」(小泉今日子さん)など、挙げればキリがありません。しかし、2013年には突然の彼の訃報が届き、新たな曲を期待していた私にとっても、大きな悲しみでした。
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大瀧さんのトリビュートアルバムは、2002年の「ナイアガラで恋をして Tribute to EIICHI OHTAKI」と2014年の「A LONG VACATION from Ladies」があります。どちらのアルバムも、参加アーティストたちは大瀧さん独特の雰囲気を大切にしつつ、個性を存分に発揮しています。
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2002年版では、BEGINによる「恋するカレン」、前川清さんによる「幸せな結末」、DEEN & 原田知世さんによる「夢で逢えたら」などが、私のお気に入り。2014年版では、今井美樹さんによる「カナリア諸島にて」、尾崎亜美さんによる「雨のウェンズデイ」、太田裕美さんによる「Fun×4」が印象的でした。
さて、大瀧さんが参加していた「はっぴいえんど」についても触れておきましょう。主に1970年前後の数年間の活動でしたが、グループが音楽業界に与えた影響は非常に大きく、日本語ロックのパイオニアとして知られています。作詞の松本隆さん、作曲の細野晴臣さん、大瀧詠一さん、鈴木茂さんという最強の組み合わせで、他に類を見ない独自の音楽を生み出しました。アルバム「はっぴいえんど」と「風街ろまん」が代表作で、その中の「風をあつめて」は今でも様々なテレビの場面で使用される名曲です。
<追記> 松本隆さんは、その後、作詞家として現代の音楽界にはなくてはならない存在になり、特に作曲家の故・筒美京平さんとのコンビは伝説的です。うちの奥様は、松本さんの作詞による松田聖子さん、南佳孝さんの楽曲に夢中になったそうです。数年前には『松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム』もリリースされています。
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「はっぴいえんど」のトリビュートアルバム「HAPPY END PARADE 〜tribute to はっぴいえんど〜」は2002年にリリース。当時の若手アーティストであったスピッツ、くるり、My Little Lover、つじあやのさんらが、30年前に生まれた日本ロックを個性豊かに表現していました。なお、このアルバムではありませんが、矢野顕子さんによる「風をあつめて」を YouTube で聴いたことがあり、彼女の澄き通った歌声がこの曲の魅力をさらに引き立てていて、感激しました(注2)。
トリビュートアルバムについて語るのも今回で5回目となりました。ここで一息入れたいと思います。次回からは、また新しい話題をお届けします。それでは、また。
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注1:NHK BS 「我が心の大滝詠一」より
注2:YouTube より:矢野顕子さんによる「風をあつめて」https://www.youtube.com/watch?v=ZWKfTP_ivl0&t=127s
https://www.youtube.com/watch?v=fsB6YImmhJA