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科学が生んだ揚げ物革命: フライヤー×電子レンジで時短&ヘルシーに (元教授、定年退職197日目)
先日、日曜朝のTBS番組「がっちりマンデー!!」で、「儲かるフライヤー」という特集を視聴しました。フライヤーとは、唐揚げやコロッケ、天ぷらなどの揚げ物を調理する自動フライ機のことです。最近、コンビニの揚げ物が一段とおいしくなっているのは、進化したフライヤーのおかげかもしれません。番組では、最新フライヤー事情として3つの事例が紹介されていました。
タニコー(株)は、店舗や工場向けの業務用フライヤーを150種類以上製造しています。中でも注目されたのは、セブンイレブンのレジ奥で見かけるCVSフライヤーです。この機械は自動でカゴが上下し、食材を入れてボタンを押すだけで、カゴが油の中に入り、適切な時間で揚げ終わると自動で上がる仕組みです(下写真)。実際、自宅近くのコンビニでも店員が最初にセットするだけで、ブザーが鳴ると出来上がりを確認しに行くのみでした。揚げている間ずっと見ている必要が無く、人手不足のコンビニにとって、作業効率の向上は大きなメリットですね。
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オンデマンドフライヤー登場
今回の特集の主役は業界の常識を覆す「オンデマンドフライヤー」です。見た目こそ業務用の冷蔵庫に似ていますが、従来の揚げ時間を最大3分の1に短縮できるという革新的な機械です。例えば、通常4分40秒かかる冷凍コロッケの揚げ時間が、オンデマンドフライヤーを使用すると2分15秒と半分以下になるのです(下写真)。操作もシンプルで、カゴにコロッケを入れ、フタを閉めてスイッチを入れるだけで、短時間できれいに揚がっていました。
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オンデマンドフライヤーの利点は、時短だけではありません。油に浸る時間が短いため、食材の油吸収量が少なくなることも魅力です。これにより、コロッケでも油の吸収が少なくなり、ジャガイモの食感や甘みをより楽しめるようになりました。ヘルシー志向が高まる現代において、この特徴はもっと強調すべきポイントだと思いました。
実際にこの機械を使用している、ある駅構内のカフェに状況を伺っていました。駅では訪れる人々は皆急いでおり、回転率の向上が求められますが、揚げ物が短時間で提供できることで、店の回転率が向上し、過去最高の売上を達成したとのことです。
なぜオンデマンドフライヤーは揚げ時間を3倍早くできたのか?
その疑問に一言で答えると、フライヤーの機能に電子レンジの機能を組み合わせたことです。外側から揚げるフライヤーに、マイクロ波で内側から温める電子レンジ機能を加えることで、内外からの加熱を実現し、調理時間を大幅に短縮しています。(タイトル写真、下写真:注1)
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<追記> 実は私も似たようなことを考えて、違った形で実践していました(やっている方が多いかも知れません)。私の家では、単機能の電子レンジとオーブンレンジを使用していますが、電子レンジだけではカリッと温められず、オーブンレンジでは中が温まっていないことがありました。そこで、電子レンジで30秒ほど中から温めた後にオーブンレンジで外から加熱していました。これを、一度で行うわけですね(ちょっと違うか)。
フライヤーと電子レンジの一体化
フライヤーと電子レンジの一体化には、技術的な課題がありました。一般に、電子レンジにアルミホイルなどを入れると火花が散り危険ですが、食材を入れる網やカゴは金属製なのでそのままでは電子レンジと併用することができません。特に金属の角がスパークしやすいので、タニコー社はフライヤーで使う全ての金属製品(鍋底も上蓋も)の角を丸く設計したのです。この工夫により、火花や発火の危険性を排除しました。
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料理は科学の結晶と言えます。今後も科学と料理の融合により、さらなる進化が期待されます。ちなみに、私の本棚には「『おいしさ』をつくる科学」「料理のわざを科学する」などの本が並んでいます(また、ゆっくり読み直してみます)。明日も科学を活用したフライヤーの続編をお届けする予定です。どうぞお楽しみに!
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注1:TBS テレビ「がっちりマンデー!!」より
注2:タニコー(株) ホームページより https://www.tanico.co.jp