元教授、カバーの魅力にはまる(その2): RCサクセションと柴田淳(定年退職160日目)
前回は布施明さんと坂本冬美さんのカバーソングについて紹介しましたが、今回は忌野清志郎さん率いる「RC サクセション」のカバーアルバム「COVERS」と、柴田淳さんの「COVER 70's」についてお話しします。
まず、RC サクセションの「COVERS」は、世界的なスタンダード・ナンバーを収録した名盤です。ボブ・ディランの「風に吹かれて」、エルビス・プレスリーの「ラヴ・ミー・テンダー」、ローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」、ジョン・レノンの「イマジン」など、名曲がずらりと並んでいます(タイトル写真、下写真)。さらに、桑田佳祐さん、坂本冬美さん、泉谷しげるさんといった豪華なアーティストがゲスト出演しているのも魅力です。
しかしこのアルバムは、核や原発、反戦などの社会問題を含む内容のため議論を呼び、「素晴らしすぎて発売出来ません」という新聞広告が出され、一時発売中止になったといういわく付きの作品でもあります(下写真)。当時、歌詞に違和感を感じる人もいましたが、最終的には無事発売され、オリコンチャート1位を獲得、20万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、ゴールドディスクも獲得しました。個人的には、歌詞の内容はさておき、音楽としてバラエティに富んだ、純粋に楽しめるロックなアルバムだと感じました。
忌野清志郎さんは、私たちの世代にとって「ヒーロー」のような存在でした。彼の素晴らしい楽曲はもちろんのこと、当時の世間のタブーとされることをものともせず(権力に屈せず)、飄々と乗り越えて(ぶっ壊して)いく姿勢は、まさにオピニオンリーダーと呼ぶにふさわしいものでした(実際は、静かでシャイな方だったようですが)。「僕の好きな先生」に始まり、「帰れない二人」(井上陽水さんとの共作)、「雨上がりの夜空に」、「トランジスタ・ラジオ」など、私の高校から大学時代によく聴いた思い出の曲が蘇ります。
次にご紹介したいのは、柴田淳さんの「COVER 70’s」というアルバムです。柴田淳さんはテレビ出演が少ないシンガーソングライターなので、少しだけ紹介させてください(下写真:注2)。私が最初に彼女を知ったのは楽曲からではなく、「ブログの歌姫」としてインターネットで話題になっていたからでした。公式サイトでの Web 日記を通じて、彼女の素直な想いを綴る姿勢が印象的でした。
初めて彼女の歌を聴いたのは、ルフトハンザ航空の機内でした。ドイツに学会に行く途中、「ふたり」という曲のミュージックビデオが機内プログラムで流れていたのです。飛行機の中で原稿書きをして弱っていた私(笑)に、その歌声がガツンと響きました。帰国後すぐにアルバムを何枚か購入しました。個人的には、デビュー作「ぼくの味方」や「ちいさなぼくへ」をはじめとして彼女の歌には「ぼく」という言葉が時々出てくるのですが、その言い方が「日本一」だと思っています(少々マニアックな意見かも知れませんが・・・)。
カバーアルバムに戻りましょう。「COVER 70’s」は、いずれも「昭和」時代の名曲が収録されていますが、「青春の影」、「東京」、「あなた」、「22才の別れ」などが最高でした。柴田さんの少し影のある歌い方が、オリジナルとは異なる魅力を生み出して大好きです。このアルバムの素晴らしさは、私の愚弟も認めていて、しばらくの間、彼の車ではこのアルバムがヘビーローテーションされていたそうです。
次回はどなたのカバーソングを取り上げるか考え中です。岩崎宏美さん、岡林信康さん、JUJUさん、手嶌葵さん、徳永英明さん、八代亜紀さん、山崎まさよしさん(五十音順)・・・うーん、悩みます。どうぞお楽しみに!
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注1:小倉耳鼻咽喉科医院:ロックな耳鼻科 HPより
https://www.ogujibi.com/影響を受けたレコード(国内編)⑫「covers%EF%BC%8Frcサクセ/
注2:柴田淳オフィシャルサイトより
https://www.shibajun.jp