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お守りが導く心の支えと無の境地: 変わりゆく形、変わらぬ心 @京都の極上カルチャー図鑑 (元教授、定年退職314日目)


BEGINの 「声のおまもりください」 から始まる “お守り” への想い

35 年ほど前、TBS の「平成名物 TV」の中で行われたアマチュアバンド勝ち抜き企画「イカ天」で、沖縄出身のアコースティック・バンド BEGIN が人気を博しました。彼らは2代目グランドイカ天キングとなり、メジャーデビューを果たしました。私が気に入っている BEGIN の曲は「恋しくて」や「涙そうそう」ですが、奥様は「声のおまもりください」を特に好きなようです(<追記>)。

<追記> 奥様はプレイリストの最後から2番目にこの曲を入れており、この曲で心を落ち着かせた後、最後はドリカムの「決戦は金曜日」で締めくくり、仕事に向かうのだそうです(苦笑)。


「はじまりは古都にあり: 京都極上カルチャー図鑑」よりお守りの特集

今回は、この曲から着想を得て、お守りについてお話ししたいと思います。先日、NHK 大阪制作の「はじまりは古都にあり:京都極上カルチャー図鑑」でお守りの特集を視聴しました。この番組は京都の歴史と文化を掘り下げる私の好きな番組で、以前「畳」と「喫茶店」の特集を note で紹介しました(12/28, 1/22)。今回の特集では、京都の人々の心の支えとなっているお守りの進化とその役割が深く掘り下げられていました。


お守りに代わる私の心の拠りどころ

私はよく神社仏閣を訪れますが、実はお守りを持っていません(特別な主義があるわけではなく、紛失しやすいからです)。その代わりに、神社で木札を頂いています。確認したところ自宅には8枚もありました。節分のたびに参拝した吉田神社のものが4枚、研究室の遠足で2度訪れた伊勢神宮のものが2枚、さらに学問の神様である湯島天神と太宰府天満宮のものがそれぞれ1枚です。多くは大学の研究室に飾っていたもので、研究室の安全とアイデアの閃き(汗)を願っていました。一般的には毎年新しいお札に交換するのが望ましいとされていますが、コロナ禍などの影響でそのままになっています。近いうちに神社を訪れ、交換したいと思っています。

もう一つ、私にとってのお守りは、亡くなられた方々からの形見です。手紙やキーケース、コップのかけらなど小さなものを各所に置いています。たとえば、車のダッシュボードには、いただいたキーケースを30年以上お守り代わりに入れ、おかげで無事故で過ごせています。


「京都極上カルチャー図鑑」が伝えるお守りの世界

番組によれば、お守りは神仏の分身であり、心の拠り所とされるものです。時代とともに形を変えてきたお守りの例として、以下のようなものが紹介されていました。


・お守りのルーツ:約 1000 年前、貴族の女性が身につけた「懸守(かけまもり)」が始まりとされ、中には小さな仏像やお経が納められて旅の安全を祈願しました。江戸時代には、庶民の間でも「守り巾着」が広まりました。

「懸守」と「守り巾着」(注1)


・下鴨神社:京都で最も古い神社の一つである下鴨神社では、30 種類以上の色とりどりのお守りが授与されています。その中には、神武天皇の道案内をしたとされる八咫烏(やたがらす)をモチーフにした道中安全守があります。八咫烏は、熊野本宮大社でも信仰される熊野のシンボルで、サッカー日本代表のエンブレムにもなっています。(タイトル写真、下写真もどうぞ:注1)

京都で最も古い神社の一つである下鴨神社とお守り(注1)
神武天皇の道案内をしたとされる八咫烏をモチーフにした道中安全守(注1)


・水守:病難除けのお守りとして、カプセルに水を入れた水守も紹介されました。古くは貴族が境内の池で禊を行い、心身の穢れを祓い、病を癒したことに由来するそうです。(下写真もどうぞ)

水守:病難除けのお守り(注1)


・家のお札:京都では、今も家の各所にお札を貼る習慣があります(下写真)。以前の note (12/12) でも紹介した「火の用心」のお札は台所に、天井に雷除け、玄関には泥棒から家を守る五大力のお札が貼られ、家を守っています。

京都では家の各所にお札を貼る習慣があります。右下は五大明王(五大力)(注1)


お守りの新潮流 〜伝統と革新の融合〜

最近のお守りについても紹介がありました。財布に入るカード型、自転車のハンドルに巻くチューブ型、そして驚くべきことに嵐山の法輪寺ではマイクロ SD のお守りまで登場しています。マイクロ SD にはご本尊などの画像が収められており、スマートフォンなどで携帯できるようになっています。法輪寺では「お守りは普段持つものにつけるのがよい」という考えがあり、身近なスマートフォンやスマートウォッチをお守り袋に見立てたそうです。(下写真もどうぞ)

お守りの新潮流(注1)


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お守りの効果に科学的な根拠があるかどうかはわかりませんが、心理学的には「プラシーボ効果」があるのかもしれません。お守りを持つことで心に安心感を与え、積極的な気持ちになることで、結果的に良い方向へと進むかもしれません。

私自身は、神仏に頼りすぎるのはどうかと思っていますが、重要な場面でお守りなどに触れることで邪念が払われ「無の境地」に達することもあります。その状態になると余計な力が抜け、本来の力を発揮できるような気がするので、これがお守りがもたらす最大の効果ではないかと思っています。


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注1:NHK 大阪制作「はじまりは古都にあり 京都極上カルチャー図鑑:お守り」より

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