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元教授、「空飛ぶクルマ」に乗り込んでみた!: 次世代エアモビリティの技術展にて(定年退職195日目)

最近、能登半島地震の際にドローンの活躍を目の当たりにしました。特に石川県珠洲市の被災地では、土砂崩れのため車が通行できない地域に、ドローンを使用して物資を届けていました。最大重量 20 kg のものを1日 15 往復、往復4kmを飛行し輸送していたとのことです。パイロットは離着陸地点と荷受け地点の2カ所で機体を操縦し、ウィンチを使ってドローンをホバリングさせたまま物資を地上に降ろしていました。

ヨーロッパや中東ではドローンが軍事利用されるケースが頻繁に報道されていますが、このように人々の生活を支える平和利用の事例を見ると、技術の進歩に希望を感じるとともに、今後の更なる活用に期待が膨らみます。


先日、東京ビッグサイトで開催された「エヌプラス 2024」(N-Plus:「New」「Next」をプラスする製品開発技術展)に足を運びました。「フライングカーテクノロジー」のブースでは、ドローンや空飛ぶクルマの最新情報が発信され、業界関係者による活発な交流が行われていました。特別展示内では、次世代エアモビリティである「空飛ぶクルマ」の実機も展示されていました。来場者は実際に機体に触れたり、機内に乗り込むこともでき、私も興味津々でした。


来年開催される大阪・関西万博で「空飛ぶクルマ」のデモ飛行が計画されていると聞き、今から大変楽しみにしています。高所恐怖症の私は実際の飛行は怖くて乗れませんが、地上でのデモンストレーションなら喜んで搭乗できます(笑)。

<追記1> ドローンの有人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)が始まり、空飛ぶクルマは 2025 年の大阪・関西万博でのデモ飛行実現を目指し、機体開発や制度整備が進められています。万博での商用飛行は見送りが決まったそうですが、フェーズ1(万博時)では低密度運航、フェーズ2(2020 年代後期以降)では高密度運航で、遠隔操縦による旅客輸送、フェーズ3(2030 年以降)ではさらなる高密度化で、自動・自律運航の拡大が想定されています。

展示会で私が実際に乗り込んでみたのは、MASC(岡山県倉敷市水島地域への航空宇宙産業クラスターの実現へ向けた研究会)の空飛ぶクルマ(eVTOL)「JX0176」です(タイトル写真、下写真)。これはマルチロータ型の無操縦士航空機で、8本のアームに16 基の電動モーターを搭載した完全電動機体です。2人乗り(地上制御または自動飛行)、サイズ 6m × 6m × 2m、最大離陸重量 620 kg、時速 90 km、巡航距離 30 km、25 分飛行可能という仕様です。

実際に乗り込んだMASCの空飛ぶクルマ

驚いたのは、座席が軽自動車より小さく、計器類はほとんどなく、小さなモニターが一つあるだけだったことです。担当者によれば、このモニターも操縦に使うものではなく、現在位置を表示するだけのものだそうです。また、白銀技研の「JX0188」は折りたたみ型一人乗りで、「商用バンに載せて目的地まで運び、そこで降ろして空を飛ぶ!」というユニークなコンセプトの機体でした。座席はさらに小さく、「鳥人間コンテスト」の人力飛行機やグライダー程度の座席のサイズでした(今回は残念ながら、機体には乗れませんでした)。

白銀技研の折りたたみ型一人乗り空飛ぶクルマ


この他にも、ANA、丸紅、テトラ・アビエーションなど、多くの企業が空飛ぶクルマの開発に参入しています(下写真は左上から時計回りに、ANA、丸紅(2枚)、テトラ・アビエーション)。

ANA、丸紅、テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマなど


会場では、フライトシミュレーターの  VR 体験コーナーもありました(下写真)。VR 専用ゴーグルとコントローラーを使って、フライトシミュレーターを体験できるというものです。私もぜひ試してみたかったのですが、長蛇の列で、残念ながら体験することはできませんでした。

フライトシミュレーターの VR体験コーナー


一方、ドローン関係では、IHI 社がガスタービンを電力源とした大型で長距離飛行が可能な無人輸送システムの開発を進めているのが印象的でした。将来的には、1トン、1000 kmの無人輸送(例えば、東京―北海道)を目指しているそうです。展示ブースには、IHI と大学発ベンチャー HIEN が共同開発した大型ドローンが展示されていました。


今回の展示会を通して、空の移動手段の革新が着実に進んでいることを実感しました。これからの未来がますます楽しみです。


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注1:「エヌプラス 2024」のフライングカーテクノロジーのブースで配布された資料より

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