江川卓投手の始球式と米学生に教わったリアルな挨拶: 元教授、定年退職130日目
パリオリンピックを相変わらず楽しんでいますが、甲子園の高校野球が本日開幕しました(タイトル写真:注1)。少しばかり仕事も溜まってきて、定年後にもかかわらず、少々忙しい日々を過ごしています(笑)。もちろん、現役の皆さんの忙しさには到底及びませんが。
今年は甲子園球場の100周年記念ということもあってか、始球式は元プロ野球選手の江川卓さんが務めました(下写真)。彼は私にとって中学時代のヒーロー。伸びのある速球とカーブだけで三振の山を築いていくのですが、今でいう「回転数」が非常に高かったのでしょう、まるで一人だけプロ選手が混じっているかのようでした。特に、他の高校球児たちが彼を相手にどんな攻略法を見せるのか、固唾を呑んで見守ったものです。残念ながら江川さんの母校、作新学院は優勝できませんでしたが、本当に記憶に残る大投手でした。今日の始球式で見せたフォームは、当時と変わらないもの?でしたが、残念ながら「内角に外れたボール」でした。
さて、前回アメリカの思い出に少し触れたので、今回はアメリカで教わったリアルな挨拶について書いてみたいと思います。
中学校の英語の授業で最初に習った挨拶といえば「How are you?」で、その答えは「I’m fine. Thank you.」と教えられました。しかし、40年前に初めてアメリカに訪れてみると、誰もそんな会話をしていないことに驚きました。
現地の研究室の学生たちに聞いてみると、「そんな教科書みたいな会話はしないよ」と笑われてしまいました。「そもそも、相手はあなたの体調を詳しく聞きたいと思うか?『How are you?』は『やぁ!』みたいなもの。だから『good !』と返せば十分だよ」と。むしろ、その後に「(And) you?」と聞き返すことの方が重要だと言われました。
そんなことは初耳だったと伝えると、彼らは他にも様々な挨拶のことを教えてくれました。例えば「How are you?」に対して、ちょっと疲れていたので「So so」と答えると、社交辞令なんだから使わない方が良いとのこと。特に「Not so good」は、本当に親しい間柄でない限り体調まで説明する必要はないと言われました。また、カジュアルな挨拶として「What’s up?」というのもあり、それには「Nothing much.」などと答えるのが一般的だそうです(私の奥様は英語が得意ですが、彼女でさえ最初にその挨拶をされた時には“上を向いて”笑われたそうです)。
さらに、くしゃみをすると周りの人たちが「Bless you !」と言うので、それには「Thank you.」と返すこと、お店での会計後には「Have a good day !」と必ず言われるので「You, too !」と返すのが礼儀だと教わりました。どれもこれも、学校の英語の授業では習わなかったことばかりで、本当に驚かされました。しかし、それらを反射的に返すのは当時の私にとって至難の業でした。
最近、哲学者の千葉雅也さんの著書「アメリカ紀行(文春文庫)」を読んだところ、彼も同じような経験をしていたことを知りました。千葉さんも「You, too !」には抵抗があったようで、著書の中で「まず相手を主語に立てるという感覚。これは日本語にはない。・・・ 根本的にOSが違う感じがする。・・・ Youという異物が引っかかり続ける。」(上記著書からの抜粋)と表現されています。まさに私も同じように感じていたので、深く共感しました。
そして最後に、一番うれしかった学生からのアドバイスは、道を歩いていて遠くから「Hi !」とニッコリ挨拶されても、近づいて会話を始めようとしてはいけないということでした。それは単なる知らない人からの挨拶だと教えてもらいました。ちょうどその直前に「Hi !」と挨拶してきた人は誰だったのか悩んでいた私にとってぴったりでした。
やはり、実際に行ってみないとわからないことってたくさんありますね。
また書きます。
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注1:NHK テレビより