読書記録 / 名探偵じゃなくても
名探偵じゃなくても 小西マサテル
多分ネタバレ有りなので
嫌な方は回れ右でお願いします。
もうね、本当に。
この気持ちを上手く表す言葉が見つからない。
おじいちゃん。
ねえ、おじいちゃん。
前作の「名探偵のままでいて」が
とても好きだったから
今作も楽しみにしていて
うきうきしながら読み進めてて。
登場人物がみんな素敵すぎる。
個人的にはおじいちゃんはもちろんだけど
四季くんがとても好き。
仲良くなりたい、こういう人。
お話してみたい。
論破されまくりだろうけど
話してて楽しいだろうなって思う。
んんん、なんだろうなあ。
結局さ、
CATはどっちのところに落ち着いたのかな。
でも岩ちゃん先生よりも
四季くんの方が猫が似合うよ。
ただの偏見だけど。
岩ちゃん先生なら犬の方が似合うよ。
前作は、一つ一つの言葉を
しっかり噛み締めながら読みたいお話だと思った。
今回も、それは変わらず。
三人でいる時の会話の掛け合いが楽しいし、
おじいちゃんが語るところは
ゆっくり、おじいちゃんのテンポで読みたくて。
でも、九鬼さんのお話とか
どきどきビクビクしながら読むところもあって。
怖いんだよ、九鬼さん。
うん、本気で怖い。
でもさ、何よりも、やっぱり、
最後の一行が、もうね。
おじいちゃんは、
その大切な二人に会えているときは
幸せなのかな。
幻覚だと気づいて悲しくなるのかな。
幻覚でも会えて嬉しいのかな。
病気の進行は
抑えることが出来ても
止めることは出来ないんだ。
ただゆっくりになるだけで
確実に進んでいるんだ。
おじいちゃんも例外ではなく。
身近な人が認知症っていう経験がないから
認知症に関する知識もなくて
ざっくり雰囲気しか知らなくて。
身近な人が認知症になったら、
なんてことはちょっとだけ考えたことはある。
でもきっと想像したところで
それは所詮序の口なんだと思う。
認知症にもいろいろあることも知らなかった。
認知症になった人の気持ちも
考えたことがなかった。
もっと知らないことを
知りたいと思った。
「香苗、煙草を一本くれないか」
おじいちゃん。
そこにいるのは楓だよ。
娘じゃなくて孫だよ。
ねえ、おじいちゃん。
「楓。それをぼくに訊くのは少し酷だよ」
「香苗に逢えない今のぼくに訊くのはー
少し酷だよ」
幻覚でもいいから会いたい。
幻覚だとわかっているけど会いたい。
会えるのなら幻覚だっていい。