読書記録 / スモールワールズ

スモールワールズ　一穂ミホ

はじめまして、一穂ミホさん。
本屋大賞第３位の一冊。
本屋大賞の頃からずっと気になっていて
タイミングが合わず
やっと読むことができました。

多分ネタバレありなので
嫌な方は回れ右でお願いします。

短編集って好き。
繋がりのある短編集っていいよね。
読みやすさはもちろんだけど
繋がりを見つけた時とか
まさかこの人が繋がってくるのか、とか
どんどん読みたくなる。

ネオンテトラで
とてもゾワっとして

魔王の帰還では
もうタイトルから興味を惹かれて

ピクニックは
個人的に不気味な話だと
読む前から思ってて

花うたは
そのタイトルの意味に気がついた時
思わず声が出た。

愛を適量は
一番印象に残ったし

式日は
余韻が良かった。

スモールスパークは
ネオンテトラにかえってきて。

「そういうふうに思わないとやってられないことが
　たくさん重なって、
　そういうふうに思うのに慣れただけだよ。」

そうだよなあ。
世の中理不尽が溢れすぎて
本当にやってられないことが多すぎる。

いろんなことを言われてきた。
まだ若いのに一人で子供を育てて大変だね。
よく頑張ってるね。
えらいね。
まだまだ遊びたかったよね。

ぜんぶ善意の言葉なんだろうけど
それが本当にいらない。
わたしの何を知っててそんなことを言うの？
何も知らないくせに。
何を頑張っていると言うのか。
何が偉いのか。
何が大変なのか。

自分で決めたこと。
子どもを産むのも、一人で育てることも。
だから今こうして生活してる。
気を遣う相手もいないし
仕事だってある。
片親だから不便だなと思ったことなんて
一度もない。

余裕はないけど二人で楽しく生きていけるくらいは
ちゃんとお給料だって頂いてる。
国からの手当てだってあるし。

なんで若い片親だからって偏見だけで
可哀想な目で見られなきゃないのか。
もうそんなの当たり前にたくさんいるのに。

そりゃ将来のこととか考えたら
色々不安はあるかもしれないけど
今が楽しくなければ
どうしようもなくない？
将来のために今を、毎日を
辛く苦しく生きていくのはやだ。
なんとかなるよ。
世間はそんなに冷たくない。

そんなことを思ってるけど
それを主張したところで
でも、やっぱり、
なーんてことを返されるんだよ。
でもってなに？

可哀想な目で見られることに慣れた。
どこに行っても
そうじゃないんだよ、って言っても
誰もわかってくれない。
どこも可哀想なところなんてないのに。

だからそれに順応していく。
そうですわたしは可哀想なシングルマザーです。
それが一番楽だから。
こんなこと言ったら
本当に大変なシングルの人に怒られちゃうかもだけど
あくまでこれはわたしのこと。

自分の意見を主張してばっかりだと
世の中は生きにくい。
思ってもないことも言える
もう一人の自分がいて、
本当の自分は奥底に沈んで。

スモールワールズ (講談社文庫 い 157-1)