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【short story】散歩中のワンちゃんが教えてくれること

これは先日、僕が外を歩いていた時に起こったこと。

僕は普段から余程かしこまった場面でない限り楽な格好でいる。動きやすくてリラックスできる状態が好きだから。この日も外国人観光客のような、ハーフパンツにスポーツウェアをまといバックパックで外を歩いていた。

そして、とあるこじんまりした歩道橋を登っていると、ワンちゃんを散歩中の女性が上から降りてくるのが見えた。
僕は途中の踊り場で少し道を開けるように端に寄って、その人たちが通るのを待っていた。

すると、すれ違い様に足首あたりに何か生温かくてしっとりしたものが触れる感触があった。僕は一瞬「ふぉぉ」ってなったけど、飼い主さんが「コラッ!ダメでしょ」「すいませーん」と言ったのを聞いて何が起こったのか理解した。

どうやらワンちゃんが僕の足をべろーんと舐めたようだ。きっとワンちゃんは「待っててくれてありがとね!」とお礼をしたかったのだろう。僕は飼い主さんに軽く会釈してまた階段を登り始めた。

この出来事について僕はふと思った。
ワンちゃんをはじめ、動物には人の心や状態を見抜く力があるという。ベロで舐めるという行為がどういう相手に対して行うものなのか、僕は専門家ではないから分からないけど、きっと警戒してる相手にはしないのかなと。どちらかというと好意を持っている相手に行うものだと思う。

となると、きっとあのワンちゃんには僕はべろーんとしても良い人間に見えたのだろうなと。少なくとも、カリカリして自分の世界しか見えてないような人間(状態)ではなさそうだと判断されたのだなと。

僕はそういうオープンで穏やかな状態でいる事が好きだし、なるべくそうありたいと思っている。
そういえば、訪日外国人観光客で賑わっていた頃にも毎日のように外国人から道やら売り物やらを尋ねられる事があったけど、それも僕の空気感を察しての事だったのかなと思うと少し嬉しくなる。

ワンちゃんはそんな自分の状態を教えてくれるありがたい存在だなと。ふと教えてくれた出来事だった。

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