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「プリキュアオールスターズF」を観るためにプリキュアシリーズを観続けてきたのかもしれない

とにかくタイトルどおりのことを書きたいだけの個人的感想文。

ひろがるスカイ!プリキュアが開始して間もなく今年の映画はオールスターズです!と発表されたとき、私は「まぁ〜20周年事業をやってっからそうくるよね〜」と呑気なものだった。しかし、監督田中裕太氏と脚本田中仁氏が発表された途端に手のひらを返した。私はこのペアの映画「魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン」と「スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」が大好き。しかも今回は周年記念のオールスターズだ。否応にも期待のハードルは上がった。

前回のオールスターズ映画で15周年記念作だった「HUGっと!プリキュア&ふたりはプリキュアオールスターズメモリーズ」は、ここではあえて理由を書くことはしないが思うところがあり私は15周年事業は盛り上がりきれなかった。(15周年ライブが最高の催しだったのでそれに行けたことにより昇華はされた)

でも、プリキュア映画が今回はそこまで好みじゃないなってなるの自体は実は珍しくない。映画だけではなくTVの展開も含め、毎回毎回絶対最高になると期待するのはしんどい。昔は期待と信仰をしすぎてがっかりしたこともあり、そこまで期待値を上げないでおくというスタンスに気がついたらなっていた。

でもでも毎年TVはほぼリアタイするし、映画はほぼ初日に行くし、キャラショーも見に行くし、公式のライブも行くので、お前どう繕ってもシリーズのこと超好きなオタクじゃん信者じゃん(笑)と言われれば確かにその通りなはずなのだ。はずなのだが、リアタイしてもう13年目(※ハートキャッチ序盤からインした)だし、歳もとっていつまでも若いテンションでキャッキャできなくなってきてるし、グッズも買わなくなってきてるし、今までプリキュアには充分楽しませてもらったから過剰に期待はしない…公式の展開を基本あるがまま受け止めている。今年の施策のことだとプリキュアを冠して男子キャスト2.5次元舞台をすることに本来の作品コンセプトから逸脱していると強い抵抗感を示す人をちらほらネット上で見かけたが、私個人は興味対象外だが愉しめる人観たい人で話題になればいいし、巨大IPはとにかくいろんなことに使われるものだし、1オタクが別に騒ぐことではないとやや冷ややかな目で見ていた。

そんな自分のシリーズに対して悟ってる古参仕草(笑)な上からになってきている姿勢が我ながらしゃらくさく、巨大IPに対する惰性なのか諦めなのか、特に好きなタイトルがあくまで好きなのであって何もかもを全肯定しているわけでは実際ないし、シリーズのオタクといえるのかどうなのか。長年観ているからこそよく分からなくなり、このシリーズが好きです!と素直に主張できなくなってきていたところは確実にあった。要するにめんどくさいオタクのそれなのだ。

そして、オールスターズF公開初日が来た。観た。

プリキュアオールスターズFは、「プリキュアシリーズが好き」という気持ちを攻撃的なまでに蘇らせ、祝福してくれるような映画だった。

私はF公開前にオールスターズDX三作を見返していたのだが、オールスターズDX三作を何回も何回も見返していたあの頃の情熱を思い出す…どころか、さらに違う次元の感情に到達したような感覚だった。初見は情報量に圧倒されてしまい、涙はまだそこまで出ていなかった。

鑑賞2回目でようやくなにが起こったか理解し、とめどなく涙が流れて嗚咽してしまった。復活した地球を背に並び立つプリキュアたちの姿に、積み重ねてきた年月、プリキュアを観てきた日々に改めて感謝したくなった。毎年毎年キャラクターひとりひとりが、誰かの大切な光の使者なのだと心底思った。

もうずっとこのAAの顔

これまでのオールスターズ映画で、プリキュアたちは突然降ってきた得体の知れない闇の敵や、復活した敵幹部や、ワケありの強敵などと戦ってきた。今作の黒幕であるシュプリームはプリキュアに憧れてプリキュアになろうとする巨大な宇宙生命体のような存在。こちらのネタバレありインタビューによると、シュプリームはプリキュアの上部だけを模倣した存在であるということ。

シュプリームとプーカを通してプリキュアがプリキュアたらしめているのは何か?という周年記念に相応しい問い。スタッフたち曰く、敢えてFの意味に明確な答えはないという。

私の考えを述べるとすれば、FはFriendshipの F、そしてFutariのF。

シュプリームがこれまでの強敵たちのように投げかけるプリキュアたちへの煽り、「愛なんてくだらない」「仲間なんてくだらない」「1人だけではお前たちは何もできないくせに」に対する答えはこれまでの18作品が既に通り過ぎ、出してきたものだという回想のメッセージが雄弁だった。全シリーズ全キャラクターを把握している田中監督しかできないものだったと思う。

シュプリームが最終的に敗北した一番の理由は、自己の分身だったプーカが想定外の気質の妖精だったことを受け入れるすべを持っていなかったからだろうと推測する。

プリキュアはプリキュア同士も、妖精たちとも分かり合えるFriendshipがある。

シリーズの近作を例に挙げると、トロピカル〜ジュ!プリキュアとデリシャスパーティ♡プリキュアでも印象的だったのは黒幕たちのディスコミュニケーション。

トロではあとまわしの魔女がキュアオアシスが亡くなるまでに本当の気持ちを伝えることを後回しにして二度と会えなかった結果、デパではフェンネルが師に認めて欲しかった気持ちが歪んだ結果が敵組織誕生の発端になっていた。

他者とのコミュニケーションを諦めたり、他者を拒絶すると最悪の結果になりうる。その対極にいるのがプリキュアたち。プリキュアたちはFriendshipで連帯し戦う。そしてすべてのはじまりのFutari、ふたりはプリキュアがどのような物語であったかを思い返すとそれは自明である。

シュプリームとプーカが黒白衣装で並んだラストシーンの台本ト書きには、「新しい世界に立つふたりはプリキュア」と書かれていたそうだ。(大ヒット舞台挨拶での種﨑さん証言)


自分のプリキュアシリーズ全体に対する気持ちの話に戻る。私はミュージカルも好きなのだが、RENTというブロードウェイミュージカルのナンバーでSeasons of Loveという曲がある。

525600分ある1年間を愛で数えようという内容の曲だ。

私は初代からリアタイしてきた側ではないが、13年以上の短くはない刻をプリキュアで数えてきたわけだ。Seasons of Precureである。

プリキュアシリーズを通して良いことも悪いこともあったし、人と知り合ったり縁が切れてしまったり、割と人生が変わったりとけっこういろんなことがあった。どハマりしたプリキュアもそうでもないプリキュアもあったりするが、それもすべて含めて私はこのシリーズが愛おしいのだと再確認できて良かった。

オールスターズFを観るためにこれまでシリーズをすべて観てきたような気さえしている。

最高傑作、という表現を軽々しく使いたくはないが、行く先々の劇場で泣いている老若男女客を見かけるほどに、これまで映画館で観たプリキュア映画で私は一番の体験になったと断言できるので全力を尽くしてくれたスタッフ陣には感謝したい。

今週はスタッフトークショー上映に行く。追加特典もあるし、まだまだ観に行ってはしめやかに泣くことになりそうだ。

いきものがかりの主題歌も余韻歌詞の内容共に最高すぎて…適当なタイアップありきアーティストが起用されなくてよかったよ~~~

えっ、こんなにもうプリキュアに思い残すことないようなお気持ちなのに今後キボウノチカラと魔法2があるとか正気???

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