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物理眼鏡

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日常を「物理」というフィルターを通して見たらどうなるのか。偏った見方、偏見まみれのものを集めました。
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2018年12月の記事一覧

Suicaの物理

「ピピッ!!」 音とともに改札が開く。Suicaを初めて目にしたときのこと。よく覚えています。きっぷを入れなくても改札がひらく様子は,まるで現代版のモーセだと思いました(海が真っ二つになるあれ)。電車・バスに乗るときだけでなく,コンビニでの買い物などにも使え,大変便利で,なくてはならない存在。コンビニで「ここにタッチしてください」と言われてから自分のSuicaが反応しないときのあの時間・・・ちょっと嫌ですよね。 SuicaやPASMOのようにかざすだけで支払いができるもの

メガネの物理

突然ですが質問です。 近視の人がいたとします。 メガネをかけたとして,最も合うイラストはA〜Cのうちどれでしょうか? A B C 正解は・・・ Cです。 ちなみに,Aは遠視用レンズをかけているとき。Bは度の入っていないメガネ,いわゆる伊達メガネをかけているときのものです。 なぜこのような判断ができるのでしょうか。ヒントは目の大きさ。遠視用メガネの人は目が大きく,近視用メガネの人は目が小さく描かれています。伊達メガネの人は目の大きさは変わっていません。 それ

熱々スマホの物理

スマホを長時間使っていると熱くなることに気づく。もし熱くなっていたら,すぐに使用を中止したほうがいい。スマホの劣化が早まってしまう。 そもそも,なぜ長時間つかっていると熱くなるのか? ・・・そこには物理がひそんでいる。 熱くなるということはスマホの温度が上がっているということだ。温度は物質の中の原子の運動の大きさを数値化したものである。 なぜ原子の運動が大きくなるのか?そのまえにまず,原子の話を。 原子は上図のように,中心にプラスの電気を帯びている陽イオンがあり,そ

ドアノブの物理

僕たちは毎日,ドアをあけている。 家から出るとき,トイレに入るとき,レストランに入るとき。 もしドアノブがなかったら,どうやってドアをあけるのか。 ドアノブがなかったら中身はこんな感じになっていて,真ん中の四角形の金属を指で回さなくてはならない。これは厳しい。部屋からでることができない。 ドアノブのようにものを回転させる能力を物理では 「モーメント」という。回転させる能力の大きさには簡単な公式がある。 M=F×lMは回転させる能力(モーメント),Fは力の大きさ,l

空気入れの物理

寒い朝,自転車に空気をいれる。空気を入れ終わってタイヤを触わってみると 「あれ?ほんのりあたたかい」ということに気づく。バーナーで炙ったわけでもないのになぜ。ここには,物理が隠れている。 熱力学第一法則⊿U=Q+W という法則がある。左辺の⊿Uはタイヤ内の空気の内部エネルギーをあらわす。ざっくり言うと温度の変化分だ。右辺のQはタイヤ内の空気に加えられた熱で,Wはタイヤ内の空気が受けた仕事である。ここでいう仕事とは圧縮のことである。空気の粒はビュンビュンとびまわっており,ピ

物理眼鏡

「色眼鏡」 という言葉がある。大辞林によると ① 色つきのガラス・プラスチックなどのレンズをはめた眼鏡。 ② (比喩的に)先入観をもってものを見ること。  と書いてある。②の場合,偏ったものの見方,偏見という意味である。基本的にあまりいい意味ではない。 職業柄,「物理」に関する情報を毎日収集している。アンテナを立てて生活していると,いろんなところに物理が潜んでいることに気づく。そんな生活を続けていると,やがて目に変化が訪れてきた。 「なんでも物理に見えちゃう」のであ