ストコフスキー指揮読売日本交響楽団によるベートーヴェン「交響曲第7番」
さて、本日はついに昼寝ができませんでした。早朝覚醒のまま、夜の仕事を迎えます。まだ時間があります。引き続き、クラシック音楽オタク話を気ままに書きたいと思います。先ほどの「武道館ライブの経験が2回あります」という、私自身の「武道館ライブ」(大学の入学式にオケで演奏しただけなのですが)の話の数学ブログにも書いてありましたように、ストコフスキーは武道館をはじめて音楽会場にした最初の音楽家なのです。ストコフスキーは1965年に来日し、3回、演奏会を指揮しました。うち2回が日本フィルで、1回がこの読響なのです。あまり話が広がるといけませんので、本日はこの読響ライブの話にとどめておきたいと思います。
とはいえ、日フィルがストコフスキーを日本に呼んだらしいですので、簡単に日フィルの話もいたしますと、ストコフスキーは日フィルを2回指揮したうち、1回が東京文化会館での演奏会で、1回がその武道館での演奏会なのです。それぞれ完全にすべてではないですが、いろいろライブ録音が残りました。そんな話もいずれしたいと思います。しかし、読響のライブは長いこと知られていなかったのです。マニアの間ですら、録音が残っていることさえ、知られていなかったものです。ですから、このベートーヴェン7番が、2018年にいきなりCDで発売されたときは、たまげたものです。こんなものがよく残っていたなあ!
(ですから、この「好きなCD」は、いまからたった6年弱前の、2018年に買ったものです。私の「好きなCD」のなかでは歴史が浅いほうでしょう。にもかかわらず好きなのは、とりもなおさず、すぐれた演奏だからです。)
第一報は、オランダに住むオランダ人のマニアからでした。メールにリンクがはってあり、これは日本でしか売っていないのか?CDのフォーマットでしか売っていないのか?ダウンロードはできないのか?と聞いてきました。すごいアンテナの張り巡らしかたです。さすがマニアですね。
この前の年、2017年には、同じオランダ人マニアから、あるYouTubeのリンクが送られて来ました。それはストコフスキー指揮の読響によるショスタコーヴィチの交響曲第9番と書かれたものでした。彼は「信じられるか?私は信じられない。私の知るところによると、その日のプログラムは、前半がYasujiro Meshimoriの指揮で、ブラームスの悲劇的序曲と、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」で、後半がストコフスキー指揮のベートーヴェンの交響曲第7番だ」と書いてありました。そのリンクは確かにショスタコーヴィチの9番でしたが、もちろんガセだったわけです。(1回だけ聴きました。ストコフスキーにショスタコーヴィチの9番の他の録音はなく、それも区別のしようのないところでした。)そういうわけで、その日のプログラムは、前半が飯守泰次郎の指揮するその2曲、後半がストコフスキー指揮で、このベートーヴェン7番だけだったわけです(アンコールについては私はなにも知りません)。ところでそのマニアがなにで翻訳させたのかわかりませんが、飯守泰次郎(いいもり・たいじろう)が「メシモリ・ヤスジロウ」になっていましたけどね。
飯守泰次郎さんは昨年(2023年)、惜しまれつつ亡くなりました。私は飯守さんの指揮を聴いたことはありません。しかし、聴くチャンスはあったのです。日本のマニアからお声がありました。東京シティ・フィルの招待券がある、と、誘っていただいたのでした。飯守泰次郎さん指揮、メンデルスゾーンの「エリヤ」でした。しかし、そのころ私はまだ数学者の夢をあきらめておらず、かつ、そのタイミングで数学の重要なセミナーかなにかがあり、学業を優先させたのでした。どうせ数学者になれないなら、聴いたほうがよかったですけどね。おかげで、私は飯守さんを聴かなかったばかりか、シティ・フィルも一度も聴いたことがなく、メンデルスゾーンのエリヤを生で聴くこともなかったのでした。(少なくともいまのところ。)
それで、ストコフスキーの「ベト7」についてです。ストコフスキーはこの1960年代、客演のレパートリーとして、極めてひんぱんにベト7を持って行ったため、世界中に膨大なストコフスキー指揮のベト7のライヴ録音が残りました。この読響ライブもそれこそそのうちの1つであるわけです。私はベト7を、2016年度、すなわち教員として最後の年に、指揮しています。この曲は「フルートでやったことはないが、指揮はしたことがある」という私にとって珍しい曲であるわけです。練習指揮は全楽章、第4楽章だけならお客さんの前で指揮しました。そのときにも、手に入る限りのストコフスキー指揮のベト7の音源はそろえたものです。もう、世界中に膨大にありました。さまざまな演奏があります。有名なところではBBC交響楽団の生きのよいライヴ、珍しいものとしてはクリーヴランド管弦楽団の手の込んだ演奏・・・。正式な録音も3つあるという、得意な曲です。3回目は、デッカが録音した有名なステレオ録音で、それもすばらしいです。そして、その私の教員最後の年が終わり、事務員として2年目である2018年に、また出てきたのがこの読響ライブであるわけです。そして、これが私の愛聴盤になっているということは、いかにこの演奏がすぐれているかということです!
少しだけストコフスキーのマジックについて、書きたいと思います。まずベートーヴェンの書いた通りをお見せします。これは、イ管のホルンであり、木管楽器は旋律通りに下に降りてくるのですが、ホルンはナチュラルホルンの時代であり、出ない音がありますので、途中からホ音の連発になります。
これが、ストコフスキー流ですと、木管楽器と同様に、旋律通りに降りてきます。以下の通りです。
こういう特色があります。このほか、この曲のABABA形式で書かれた長い第3楽章をABA形式に短縮しているなど、独自路線があちこちにあります。
とにかく、この読響のベト7は、数あるストコフスキーのベト7のなかでも、かなり上位にくる出来のよさではないかと思っているのです!
ちなみに、私がこのベト7という曲をプロの演奏で生で聴いた経験は1度だけです。(アマチュアオケではしばしば聴きます。昨年も聴くことができました。チケットをくださったかたに感謝です。)その、1度だけのプロの演奏というのが、スティーヴン・スローンさん指揮、東京都交響楽団の演奏なのです。2005年のことでした。ちょうどあした、その記事が、数学ブログとして、予約投稿されています。よろしければ、あしたもご覧くださいね。
本日は以上です。これから仕事です。少し休憩して、がんばりましょう・・・。