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オグドンとストコフスキーによるブラームスのピアノ協奏曲第1番

また、クラシック音楽オタク話をいたしますね。どうも23年前の25歳からの睡眠障害のせいで、早朝覚醒といって、寝不足なのに朝早く目が覚めてしまったり、なにかと睡眠では悩んでおりますが、けさもそんな朝のひとつだったかもしれません。本日の仕事は夕方からですが、まだかなり時間がありますので、気ままにクラシック音楽オタク話をしようと思います。また「好きなCD」の話です。

大学に入学したばかりの1994年ごろ、あるピアノを弾く人から「ブラームスのピアノ協奏曲はいい曲だから聴いたほうがよい」と言われました。そのころはいまと違ってインターネット等もほとんどありません。簡単にスマホで音楽が聴ける時代ではなかったわけです。それで、あるとき、私は、ストコフスキーの指揮するブラームスのピアノ協奏曲のCDを見つけたわけです。それがこの、ジョン・オグドン(ピアノ)、ストコフスキー指揮アメリカ交響楽団によるブラームスのピアノ協奏曲第1番であったのです。のちになって、その人が言いたかったのは第2番(ブラームスには2曲のピアノ協奏曲があります)だったことがわかりましたが、とにかく私はこのCDを買い、ハマったわけです。

ブラームスには4曲の協奏曲があると思います。ピアノ協奏曲第1番、第2番、ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲。いずれも甲乙つけがたい名曲ですが、ストコフスキーの録音が残ったものは、このオグドンのピアノ協奏曲第1番と、シルヴァースタインのヴァイオリン協奏曲だけだと思います。しかし、演奏会記録を見ると、まんべんなくやっているようです。だんだんわかって来たのは、どうやらストコフスキーは、協奏曲の選曲は、全面的にソリストに任せているらしい、ということでした。ソリストがやりたい曲をやるのが、もっともいい演奏会になることを知っていたのでしょうね、きっと。

このCDには、この1曲と、そのリハーサル風景が収録されています。本番はすばらしい演奏会であり、また、リハーサル風景も興味深いものです。しかし、やはり本番のすばらしい演奏がこのCDの聴きどころです。その日の演奏会(1969年10月)のプログラムは以下のようでした。

ベートーヴェン コリオラン序曲
ブラームス ピアノ協奏曲第1番(これ)
チャイコフスキー フランチェスカ・ダ・リミニ
リムスキーコルサコフ スペイン奇想曲

私がこの曲を聴いた最初の演奏であるわけです。とてもいい曲、そしてとてもいい演奏でした。ブラームスの若いころの作品(20代)ですが、例外的に、私が好きになれるブラームスの若いころの作品でもあります。(私はブラームスの最盛期は40代から50代くらいの十数年ではないかと思っておりまして、たとえば若いころのピアノ曲で、それほど好きになれない曲はじつはあったりするのです。この曲は私のなかで例外的です。)

第1楽章のあとで盛大な拍手が起きます。これは、ストコフスキーのライヴをたくさん聴いてだんだんわかったことですが、少なくとも当時のアメリカのお客さんは、協奏曲の盛り上がる楽章の終わりでは、曲全体の終わりでなくても、拍手をするのが当然だった、ということです。

リハーサルでは、やはり、以下の場面が強烈です。第2楽章の、オーボエの3度の音程がおかしいと、何度もやり直しをさせているのですが、なんとソリストもいる最終的な練習で、そういう基礎的な練習をしているのです。これもだんだんわかってきたことですが、このアメリカ交響楽団の時代のストコフスキーは八十代で、オケはストコフスキーのオーディションを受けた若者の集まりです。オグドンも若かったです(このとき32歳)。ストコフスキーはリハーサルで「君臨」していたわけですね。こういう晩年の協奏曲のリハーサルで君臨するストコフスキーの様子はときどき残っていますね。

そして、以下のようなストコフスキーの「編曲」を練習させられるホルンの様子もちょっとだけ収録されています。ストコフスキーのマジックのタネを見ているかのようですね。


これは、弦楽器にあわせてホルンにも吹かせているところです。絶妙の効果をあげています。ブラームスの書き方にあわせてin Dで書きました。

ちなみに、私はこの曲を生で聴いたことはありません。ブラームスの協奏曲で、生で聴いたものは、ヴァイオリン協奏曲と、二重協奏曲だけです。しかし、二重協奏曲は、アマチュア学生オケでしたが、豪華ソリストで聴いており、加藤知子さんと堀了介さんの演奏、そして、ライナー・クスマウルさんとゲオルク・ファウストさんの演奏でも聴きました。いずれ記事にいたしましょう。プログラムも日記も記憶も残っていますので…。(ヴァイオリン協奏曲もアマチュア学生オケで、学生ソロで聴きました。それが唯一だろうと思います。)

本日はこのあと、夕方ごろ、数学ブログも更新されます。そちらもご覧いただけたら幸いです。以上です!


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