研究の役に立つ指導案のつくり方
1 追試できる指導案を
研究に役立つ指導案の大原則は教師の発言計画(発問・指示・説明)がきちんと書かれていることでです。
これがないと授業が検討できないからです。
また、素晴らしい授業であっても追試することができません。
教育文化の継承・発展という観点からも絶対必要なことだと考えています。
現場ではまだまだ発言計画の明記された指導案は少ないのが実情です。
さらに広めていく必要を痛感します。
2 話す通りにすべて書き出す
私の場合は指導案を書く前にいつもやる作業があります。
自分が授業で話す通りにまずはすべて書き出すのです。
例えば、こんな風です。
1 昨年の流行語大賞に選ばれた 言葉です。みんなで、さん、はい。
2 そう、「おもてなし」ですね。
3 日本は「おもてなしの国」だと言われています。
4 アメリカ、ニューヨークタイムスが行ったサービス水準調査、日本は世界第何位だったと思いますか。(一人に聞く)
この作業をすべて終えてから実際に声に出して授業をイメージしていきます。
すると、次のような発見があります。
① 言いにくい箇所
② つながりが悪い箇所
そこで、言いにくい箇所は言いやすく、自然に出てくる言葉に変えます。
つながりの悪い箇所はその理由を考えて組み立てを入れ替えます。
この作業を繰り返し、授業の精度を上げていくのです。
ここまでやって初めて指導案の本時案を書き出します。
ただし、指導案に自分が計画した発言案をすべて書くことはしません。
指導案にはいわゆる「主発問」を書いていきます。
実際にはこの方が授業のアウトラインがひと目で分かりやすいからなのです。
3 指導上の留意点の書き方
指導上の留意点には「教師の意図」を書いておくと、参観者には分かりやすいようです。
教師がなぜその行為をするのか、簡単に説明しておきます。
例えば、教師の指示「書けた子は黒板に書きなさい」に対する指導上の留意点は次のようになります。
書けた子の意見を黒板に書かせることで、書けない子の参考にさせる。
教師の指示の意図をこのように説明します。
こうすると、
「この先生は書けない子に例示するために、書けた子の文章を黒板に書かせたのか。」
と理解できるわけです。
さらに、このことは、
「例示したことであの子は書けるようになったなあ。」
「例示したが、書けない子もいた。不十分なフォローだ。」
などのように、客観的に指導を評価することができます。