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301の思想と手法 そして最近のプロジェクト

301(サンマルイチ)は、”文化とビジネスの交差点”におけるブランディング・プロジェクトを領域横断的に手掛けながら、人と仕事のより親密な関係を追求しています。

人間哲学と生活美学を深く見つめ、人と人との関係性を丁寧に紡ぎながら、「価値」ではなく「意味」を起点にしてモノ・コト・場をデザインしています。

創業の物語はこちらを参照。
https://note.com/301inc/n/nc651b6a38097

新しい何かを生み出すことよりも、半径1m以内に存在する「日常」に新たな視点を持ち込むことにこそ、人間の想像力とクリエイティビティが求められる。

この思想のもと、「生活空間」としての飲食店と「仕事空間」としてのデザインオフィスが融合した拠点である『No.(ナンバー)』を2019年に代々木上原に立ち上げ、日々100人以上の方が出入りする場の「営み」の中で生まれる圧倒的なリアリティと向き合い続けてきました。

そんな、人と場のリアルを高い解像度で学ぶ場としての『No.』(B2C)と、その経験を『No.』の外側にある世界に還元していく様々なプロジェクト(B2B)の循環こそが、301という存在のユニークさであり、面白さだと思っています。

『No.』についてのインタビューはこちらを参照(記事が掲載されているサイト『MEANWiLE』の立ち上げにも301が関わっています)。
https://meanwhile.jp/spaces/ootanishogo/

301では、多くの場合においてプロジェクト全体のプランニング/ブランディング/進行管理/クリエイティブに一気通貫して関わります。

仕事をする上で最も大切にすることは、プロジェクトそのものを強く自分事として捉え、圧倒的な覚悟と責任を持って関わること。そして依頼者を含め、「人間」という複雑な変数をプロジェクトの中に適切に取り込むことで、そこに現在および未来に関わる人々の熱量をいかにして最大化するかという視点でプロジェクトをデザインしていくこと。

301が提唱する「人と計画の車輪」

一般的にデザインやブランディングの仕事の中では前工程として捉えられるようなこの部分がプロジェクトの成否を決める要になると考え、狂気的にこの部分に時間と手間を掛けていくのが、301スタイルの最も特徴的な点です。

301が提唱するメソッド『人と計画の車輪』はこちらを参照。
https://note.com/301inc/n/nec30e25aacd2

本記事では、このような思想・哲学・手法から生み出された301の代表的な仕事をご紹介できればと思います。

CABO(2023-)

301が全体ブランディングとコミュニティ形成に関わる代々木上原駅前の小規模複合施設「CABO」。301は施設のプロデュースとブランディング、テナントリーシング、クリエイティブディレクションを担当しています。

本プロジェクトでは、街に住む人や働く人たちの職・住・遊の距離が近く、これからの都市部における街の創造的発展の鍵となる"ネイバーフッドカルチャー"が根付く代々木上原で、そうした価値観やライフスタイルに即した新しい複合施設の在り方を探求・実践していくことを目指しています。

コミュニティを軸とした施設開発や自社事業を実践し、かつ代々木上原の街で飲食店『No.』を営んできた経験を持つ301が参画することで、街と建物の関係をつなぎ、施設全体での人と人の関係をつなぎ、代々木上原のネイバーフッドコミュニティの発展に貢献していければと思います。

現在、職・住・遊が心地よく融合するライフスタイルを志向する人々のためのレジデンスやオフィスの入居者を募集中です。開業後は301も活動拠点を本施設に移すため、皆さんとの出会いを今から心待ちにしています!(詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください)

大橋会館(2023-)

301が開発したメソッドである「人と計画の車輪」を、池尻大橋における東急の複合施設開発というスケールに導入した事例。(言っているだけでなく)本当の意味で街に開き、街と外をつなぐことを目指す、飲食・ギャラリー・オフィス・宿泊・レジデンス・サウナを詰め込んだ『大橋会館』は、カルチャースポットである文化浴泉の真隣にある建物をフルリノベーションした複合施設。

「コンセプト(便利だけど理解の解像度を下げてしまうツール)」に逃げず、できる限り感覚的・抽象的な部分を全事業者の主要メンバーで議論する時間を捻出。チームメンバーの編成も、池尻ローカルに関わる仲間を含め、つながりと関係性の中で手間と時間を掛けて組み立てていきました。ユニークでインディペンデントでクリエイティブ、そんな池尻らしさと、301らしい丁寧な関係性のつなぎ方が融合した、オープンが心から楽しみな場所です。301は、建物内外のつながりを育てていくコミュニティ・マネジメント部分で、開業後の場の営みにも関与していく予定。

詳細はこちらのリリースを参照ください(リリースの在り方も、とても301らしいスタイルになっています!)。最新の情報はインスタで発信していくので、ぜひフォローしていてください。

(tefu) jiyugaoka(2022)

代々木上原・下北沢に続き、自由が丘にオープンしたUDSによる『(tefu)』ブランドの3拠点目。『No.』のコーヒーセクションを監修する『Raw Suger Roast』とタッグを組み、カフェとワークスペースの本質的な融合を追求した拠点。自由が丘駅前の商業施設『TRAINCHI』のワンフロアという特殊な立地で、『No.』の事業経験で培ってきた経験やノウハウを詰め込みながら空間や体験設計していきました。

『Raw Suger Roast』チームによる新業態となる『amber』がこの場の顔として入ることで実現する、空間・コーヒー・人が三位一体となった体験。『(tefu) jiyugaoka』では、このことを「STAY IN THE LOUNGE(ラウンジに滞在する)」と表現しています。

本当に気持ちいい場所なので、ぜひ一度体験していただけると嬉しいです。また、『Raw Suger Roast』も行ったことがない方は、国内トップレベルのバリスタとロースターたちによるクオリティと日本離れした大胆な空間を堪能しに、経堂を訪れてみてください(創業の物語はこちら)。

UDSとRaw Suger Roast、301による立ち上げのエピソードはこちらを参照。
https://note.com/301inc/n/n9480840297d3

TAIL(2021)

以前より301とつながりのあった建築士・大田聡さんが、東京と千葉・館山の二拠点生活をしながら立ち上げた複合施設『TAIL(テイル)』。1Fにはカフェ・バーとジンの蒸留所を構え、大田さん自らがジンの蒸留も手掛けています。2F以上には宿泊とコワーキングを備えているため、南房総の海を望むワーケーションの中で、ジンの蒸留体験やオリジナルジンのテイスティングを楽しむという滞在の仕方が最高です。

301は立ち上げ時のブランディングと、オリジナルプロダクトである『TATEYAMA GIN』のクリエイティブに関わっています(リリース時に公開した大田さんと301の対談記事)。
そして話題となった『TATEYAMA GIN』に続き、新たに別ジャンルでのプロダクトブランドも現在開発中です。こちらも301がブランディングとクリエイティブに入っているので、発売を楽しみにしていてください!

Meaningful CIty(2018-)

都市の「作り手」と「使い手」の分断をなくすことをテーマに、ディベロッパー/デザイナー/エンジニア/クリエイティブディレクターなど、領域横断かつ世代横断的な多様なメンバーで構成される活動体。「MEANINGFUL CITY」というコンセプトを掲げ、個人が紡ぐ意味の総体として都市をつくっていくためのリサーチ、イベント、マガジンの発行、プロジェクトへのアドバイスなどを行っています。

「コミュニティ」をテーマにしたマガジンの第一号は、想像以上に全国書店と幅広い読者に届き、マガジンを通してさらにつながりは広がっていきました(オンラインまたは全国書店や『No.』で販売中)。「ジェネレーション」をテーマにしたマガジン第二号が間もなくリリースとなるので、2023年の動きにもご注目ください!

HOLON(2021-)

立ち上げから伴走し、今も引き続きブランディング・アドバイザーとして関わり続けているクラフトジン『HOLON(ホロン)』。”Drinking as Meditation”をテーマに、酔うことではなく自分自身と向き合う時間を持つことに寄り添うジンとしてスタート。2年目にはパッケージ・イラストにナガノチサトさんを起用したシーズナルラインの立ち上げも行い、今なおファンを増やし続けています(ブランド誕生の裏話は、前述の『人と計画の車輪』の記事でもたっぷり語られています)。

『No.』にも常にストックしているので一度トライしてもらい(ソーダ割りがオススメです!)、気に入ったらオンラインにてご購入ください。また、ブランドプロデューサーの堀江麗さんは普段から『No.』に出入りし、301プロジェクトにもチームメンバーに入ってもらったりなど、プロジェクトを超えた関係性で301コミュニティを盛り上げてくれています。

チーズスタンド(2022)


奥渋谷の食カルチャーを黎明期から牽引してきたチーズ専門店『CHEESE STAND』のリブランディングプロジェクト。『No.』のオープン前からつながりのあった代表の藤川さんから創業10周年に向けて相談を受け、これからの10年のために何をすべきかをじっくりと話し合いながら進めていきました。度重なる議論の末にたどり着いたのは、ブランドの再定義。チーズを通して「人と食のよりよい関係」を考えていく「Thoughtful Food」というコンセプトを定め、それを実践していくための10の原則を掲げました(詳細はこちら)。

さらに、以前からトライしたかったB2BプロジェクトとB2C事業をつなぐ取り組みも実現。プロジェクトのローンチイベントや、コラボメニュー(『CHEESE STAND』のチーズバーガー)を『No.』と連携させることにも成功しました。

『CHEESE STAND』の職人たちが毎朝3時に起きて手作りしているフレッシュなブッラータチーズは絶品なので、味わったことのない方はぜひ一度お試しください!

THE END(2022)

日本に新しいカクテル文化を育てることを目指す『No.』と、カクテルを様々なカルチャーの中に広げていこうとする『Jigger Collective』(ペルノ・リカールの取り組み)のコラボレーションにより実現したプロジェクト。「人とカクテルの関係」について考えるきっかけとなるマンガ作品を発信し、それを「読む」体験と、作中に登場するすべてのカクテルを実際に「飲む」ことができる体験を組み合わせた独自の企画です。実はだいぶ前から構想は固まっていたのですがコロナによって一度はお蔵入り…それが2022年に息を吹き返し奇跡の復活を遂げた企画でした。

物語の舞台は、世界的なアルコール離れとモクテル(ノンアルコールカクテル)の台頭により、カクテル文化が衰退した近未来世界。カクテル技術の頂点を極めた地球外からの侵略者と人類の争いを通して、「カクテルかモクテルか」「地球人か宇宙人か」という二元論が生む虚しさと、それを超えて多様な社会を生きることの豊かさを描いています(マンガは今も『No.』で購入できます)。

作中に登場するすべてのオリジナルカクテルは、『No.』を含む都内のバー複数店舗にて飲むことができたので、各店舗限定のカクテルを飲みながらバーを巡るという楽しみ方ができました。参加していただいたバーテンダーはもちろん全員が301かペルノ・リカールとつながりのある仲間たち。
そして本作の主人公であり地球外からの侵略者(宇宙人)を演じたのは、『No.』のバーセクションを監修も担当した野村空人。彼が手掛ける新しいスタイルの酒屋『NOMURA SHOTEN』と、2023年にオープンしたばかりの『QUARTER ROOM』も最高にユニークなので、ぜひ覗いてみてください!

Swan Lab by SIPSMITH(2020-)

ロンドン発、世界的クラフトジンブームの火付け役『SIPSMITH(シップスミス)』のリブランディング・プロジェクト。『No.』のバーセクションの監修も務める野村空人氏とタッグを組み、『SIPSMITH』が掲げる「Cocktails don’t need to be complicated.(カクテルは複雑である必要はない)」という思想を、人生哲学として共有しライフスタイルとして広げていくことを目指すコミュニティ『Swan Lab』を立ち上げました。

『Swan Lab』の第一弾企画は『SMITH BOOK PROJECT』。様々な領域で活躍する25名のSMITH(現代の職人)のライフストーリーを受け取り、50名のバーテンダーたちがカクテルで答えるというスペシャルなセッションをWEB記事として展開。すべての記事公開後、一冊の本として全国書店に並ぶという企画(書籍は『No.』でも販売しています)。

第二弾企画は『DISCOVER THE CLASSIC』。クラシックカクテルの魅力に改めて着目し、カクテルラバーもビギナーも、新しい視点でクラシックカクテルやバーと出会える仕組みを開発。

第三弾企画は『WORD’S BAR』。コロナ禍でバーの営業がなかなかできない中、バーテンダーたちに改めて自分たちの仕事の大切さに気付いてもらうこと、そしてバーから離れてしまった人たちに改めてバーの意味と尊さに気付いてもらうことを目指し、「バーを愛する人々の言葉たちが集うバー」をWEB上にオープン。

『No.』で出しているスタンダードなジントニックは『SIPSMITH』でつくっています。プロジェクトを通して興味を持っていただけた方は、ぜひシンプルで抜群に美味しいジントニックを飲みにいらしてください!

301に相談する

ブランドやビジネス、場の立ち上げに関するプロジェクトを301のプロデューサーに相談できる場を毎週月曜日に二部制で開催。301が提案する「人と計画の車輪」という考え方をプロジェクトやブランドに取り入れたいと考えられている方に向けて、そのプロジェクトを通して向き合うべきテーマを本質的なところまで、深く一緒に考えてみたいと思います。
お申し込みはこちら

301で働く

301では、このようなプロジェクトを自分の力で生み出していくプロデューサー職、プロジェクトを推進・ディレクションしていくプロジェクトマネージャー職、ビジネスを設計・遂行していくマネジメント職、飲食の現場で活躍する料理人、バリスタ、バーテンダーなど、組織とコミュニティを成長させていく仲間を募集しています。興味のある方は『No.』を訪れて場や人の空気感を感じていただいた上で、こちらからご連絡ください。

今週の301

301が運営する代々木上原のカフェ&バーNo.の周辺で繰り広げられる日々の会話や出来事をキャプチャーし、お届けする301のフリーペーパー。現在はNo.の店頭限定のみで配布していますが、メールマガジンも絶賛準備中。

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