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がんサバイバーの体力はHIITで取り戻せる! 研究が示す効果と今後の展望

HIIT(High-Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)について前回の記事で解説しました。がんサバイバーに対してのHIITのエビデンスをまとめました。


最新研究が示すHIITの有効性

2021年に発表された論文(Lavín-Pérez AM, et al., 2021)では、過去に行われた25のHIIT研究(対象者2515名)をメタアナリシス(複数の研究結果を統合・分析する手法)で検証しHIITの効果と安全性を報告しています。
Lavín-Pérez AM. Scand J Med Sci Sports. 2021;31(2):265-294.

  • 対象者: 乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんなど、22種類のがんのサバイバーが対象。平均年齢は51.8歳(24~72歳)で、がん治療前、治療中、治療後のいずれの段階の患者さんも含まれています。

  • HIITの内容:

    • 介入期間: 6~12週間

    • 頻度: 週2~4回(週3回が最も多い)

    • 監督の有無:全ての研究で監督つき研究でした。

    • セッション時間: 平均57分(20~180分)。筋肉トレーニングや有酸素運動(ウォーキングなど)と組み合わせたプログラムも多くみられました。

    • 運動の種類: 自転車(サイクロエルゴメーター)とランニングが最も多く用いられました。

  • HIITの効果: 全てのがん種においてHIITはVO2 peak(最大酸素摂取量:持久力の指標)を有意に向上させました。特に、がん治療開始前にHIITを行った群で、VO2 peakの向上が顕著でした。

  • 安全性: セッションへの出席率は80%と高く、重篤な有害事象(危険な副作用など)は報告されていません。

ロッキーが考えるがんサバイバーに対するHIITの可能性

  • より短い期間・時間での効果: 8週間未満の介入期間や、20分未満のセッション時間でも、HIITが心肺機能向上に効果がある可能性があります。今後の研究で、より短時間・短期間での効果検証が期待されます。

  • 個別化されたプログラムの必要性: がんの種類、治療段階、個人の体力レベル、生活スタイルなどに合わせて、最適なHIITプログラム(セッション時間、頻度、運動の種類、強度)をカスタマイズする必要があります。

  • 治療前HIITの重要性: 治療前からHIITを開始することで、治療による体力低下を最小限に抑え、より良い治療効果、そして、より早い社会復帰につながる可能性があります。

  • 自宅でのHIITの可能性: 自宅で行うことが可能かどうかを検証した研究は不十分です。監督の有無も必要なのかを今後検証する必要がありますが、おそらく監督なしでは厳しいのではと個人的には思っています。

まとめ

HIITはがんサバイバーの方に安全に行え持久力を向上することが多くの研究で示されています。トレーナーのもとでHIITをできる方は是非トライしてみましょう!

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