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太田氏によるフェンシング協会「公募」は「名乗りをあげる仕事」である。今回の「公募」の考察と、もし自分が応募したらのケースも考えてみた。

フェンシング協会による転職サイト・ビズリーチを活用した「公募」がスポーツ業界で話題となっている。スポーツビジネスの観点で非常に示唆的な事案だったので取り上げさせてもらうことにした。

目次

・はじめに(「考察記事」を書こうと思った背景)
・今回の「公募」で率直に感じたこと
・今のフェンシング協会だから出来る打ち手
・今回募集された仕事は「金銭」よりも「意味報酬」
・もし私が応募するならこの職種
・応募したらどんなことを提案するか?

まず、はじめに
こちらはNumer WEBの記事。

Numer WEBのキャプチャ画面)

この仕事は「副業・兼業限定」であるという点と、今年に入って繰り返されている「協会(ナショナルフェデレーション:NF))」の数々の不祥事を打破するべく、協会のイメージ改善を先頭に立って行なっている点や、スポーツ×ビジネスの先駆例と銘打ち、センセーショナルに募集が行われている。

なお、今回募集された4つの職種の仕事は週1がベースで日当15,000円とのこと。

これらをふまえた上での考察の記事を書きたいと思います。

まず大前提として、こちらの記事は、太田雄貴氏およびフェンシング協会のこれからの取り組みを批判する目的ではない、ということ。

むしろ、こちらの記事の雑誌のNumberが主催しているNSBCの受講生として、昨年直接お話を伺わせていただいたり、話題となったNewspickの映像も拝見しましたし、昨年行われた日本選手権も直接現地観戦に行っていて、フェンシング協会のこれからの伸び代にワクワクしているという身分です。

(昨年の大会の観戦に行った時の写真。太田氏が競技の説明をしている)

現地観戦にいった時に感じた私の考察記事はこちら

こうした前提をふまえた上で、フェンシング協会の今回の「公募」に関しての考察記事を書こうと思いました。

・今回の「公募」で率直に感じたこと

まず、率直に感じことは、このようにツイートさせていただきました。

また、今回の「公募」は、ビズリーチ社が推し進めている「副業・兼業限定」とフェンシング協会のPRを兼ねて行われています。

働き方改革が行われている昨今、「副業解禁」という現在の話題性と、協会(NF)の不祥事が重なっている中での改革を印象付けるタイミング、また若き協会の会長として国民的な知名度がある太田氏が仕掛けるということで、スポーツ業界はもとより「働き方改革」にも感度の高い層にPRできている。

これは、ビズリーチ社とフェンシング協会によって、しっかりとPRを練り込んで行われたことですね。公共性もある取り組みですし、かなり素晴らしい取り組み。

・今のフェンシング協会だから出来る打ち手

この今のフェンシング協会だから出来る打ち手、つまり、今の太田氏が会長であることで出来る打ち手が非常にあるというポイントです。

太田氏とフェンシング協会自身が持つ5つの資質
① 国内フェンシングの花形種目、「フルーレ」の五輪メダリスト
② 五輪プレゼンで大役を務めるなど「国民的な知名度を持つ」
③ 若き協会(NF)の会長であり、非常に珍しい(新種性がある)
④ 太田氏自身が経営者視点を持ち合わせている
⑤ 太田氏含め、フェンシング協会の幹部層が改革に積極的である

これらがあるからこそ出来る打ち手が増える。一方で、他の協会がこれらの資質を持ち合わせているか?というと、さすがに厳しいと言わざるを得ないだろう。ここがこの記事のタイトルでもある他のスポーツ団体は簡単には真似できないゾ。という部分である。

他の協会やスポーツ団体では、ここにあげた5つの資質のどれも持ち合わせていないところが多く見受けられ、全てのポイントが課題になる可能性があるが、⑤だけはどの協会やスポーツ団体でも取り入れられるスタンスではないだろうか。

そしてこの⑤こそが一番大事で、幹部たちが「改革に積極的になる」というマインドセットが必要だと感じている。

・今回募集された仕事は「金銭」よりも「意味報酬」の要素

このフェンシング協会の仕事は、自らの名乗りをあげる仕事である。ということ。

今回募集された4つの職種(日本フェンシング協会の経営戦略アナリスト、PRプロデューサー、マーケティング戦略プロデューサー、強化本部ストラテジストの4職種)は、その職務に求められるレベルと、週1がベースで日当15,000円とのことを考えると、「金銭」よりも「意味報酬」の要素が強い仕事と言えるだろう。

ツイートにも書いたことだが、自らの名乗りをあげる仕事で、将来のドリームを掴むための仕事。ここまで注目される場で結果を出すのは、日当とかうんぬんよりも、例えば「SASUKE」を完全制覇する、みたいなことと近い。またパイオニア的な要素も含まれるので、メジャーリーグの野茂英雄氏のようなチャレンジ要素も強い仕事ではないだろうか。

ちなみに、野茂英雄氏の最初のメジャーでの年俸は「約900万円」という「低評価」かつマイナー契約からのスタート。そこから日本人選手のメジャーの扉が開き、田中将大選手のメジャーでの年俸は「23億円」の「高評価」からスタートしている。これもパイオニアである野茂英雄氏が作った功績がその後の日本人選手に与えた影響が大きいだろう。

協会での仕事も、ビジネス界の有力人材が協会に集まり成果を出し続けることで、野茂英雄氏から田中将大選手のように、高い報酬の仕事が将来的に誕生する可能性はある。

繰り返すが、今回のフェンシング協会の仕事はパイオニア的な存在で、「金銭」よりも「意味報酬」の要素が強い。

・もし私が応募するならこの職種

今回のフェンシング協会の4つの職種(日本フェンシング協会の経営戦略アナリスト、PRプロデューサー、マーケティング戦略プロデューサー、強化本部ストラテジストの4職種)の中からは、PRプロデューサーの職種で応募する。

【副業兼業】PRプロデューサー
・広報・PR・広告宣伝
・Web広告運用・SEO
・メディアプランナー

この3つとも、常に実務で行なっている内容であるため、アジャストできると思う。現在取り組んでいるBMX普及団体である「YBP PROJECT」や来場者1万人を集めている子供向けイベントの「アクティブキッズフェスタ」などでの取り組みをそのまま活かしていく形になるだろう。

YBP PROJECT」はBMXというマイナー競技でありながら、facebookページで8000名の登録者がいて、「アクティブキッズフェスタ」の場合は、国内でも最大規模の子供向けスポーツイベントである。

例えば、フェンシング協会のfacebookページは現時点では3918名なので、まだ伸び代はあると思います。(公式サイトは登録数を伸ばすは難しいですけれども、まだやりようはあると思います)

・応募したらどんなことを提案するか?

まずは、前述の通り、今のフェンシング協会の5つの資質を活用しまくるPRの提案をする。ポイントとしては、今の太田氏が会長である間にできるフェンシング協会の打ち手と、マーケティング戦略プロデューサーと連携して、太田氏が不在になった時までを想定した戦略を練っていく形になるだろう。

五輪前で、社会的な情報ニーズが高いタイミング、かつ5つの資質をフル活用して、五輪までの間にフェンシング協会が持続的に自力で稼ぐ力を身につける。

そのための打ち手として、そもそもフェンシング自体が、ちゃんと取り組むためには、施設なり機材用具が必要なハードルが高いスポーツであるため、敷居の低い新競技、例えば「チャンバラフェンシング」のような新たな種目を誕生させて、日本人に馴染みやすい形の種目を創設する。※太田氏自身もこうした課題に対応する競技を模索しているはず。

私が関わるYBP PROJECTでも、競技場が全て街の外れの遠隔地にあるため、BMXの現日本代表の監督である三瓶将廣氏と連携して、都市部で行えるコンパクトなBMX競技を生み出し、ラゾーナ川崎で6万人に目に触れる機会を創出したり、出張型のジャンプショーでBリーグ(千葉ジェッツ)のハーフタイムショーなどでも実演した「AIR TRICK SHOW」に関わり、Bリーグで5000人に目に触れる機会や、二子玉川のショーでは3000人の観客を集めた。

いわゆる「ウェブ」と「リアル」それぞれ、または横断的にコンテンツマーケティングを行なっていく形を取るだろう。

競技普及の第一歩として、2つの視点を大事に実施している。まずは、いかに一般の方へのタッチポイントを増やすのか?そして、一般化させるのか?もう一つは、ショーにてしっかりと収益を生み、選手にも出演料として還元する仕組みを設けている。

こうした、例えば敷居の低い「チャンバラフェンシング」のような種目をフェンシング協会で生み出し、多くの人目につく場所で大会を実施する。全国大会を実施するなどを通して、競技の普及と、登録者の人口増加やスポンサー料の増大を模索するだろう。

そして、今の「5つの資質」があるうちに補助金体質を少しでも抜け出し、いつ太田氏が抜けても、永続成長できる仕組みの模索をしていく形になるだろう。

以上が私の考察でした。

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佐藤ツトム / 𝗯𝗯 𝗽𝗿𝗼𝗷𝗲𝗰𝘁
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