わたしの中の女神様
朝の連続テレビ小説のタイトル「スカーレット」が緋色を指すことはみなさんご存じのことと思います。燃えるような赤色。この色を表す単語のスペリングは“Scarlet”。山内惠介の曲もそちらですね。
今日は"Scarlett"の話。「T」が増えていますね。こちらが名前。
燃えるような心を持ってその心のまま生きる女性のお話です。
わたしのスカーレットの話
* * * *
スカーレットという概念を初めて意識したのは、椎名高志の漫画「GS美神」の中でだった。高飛車で金の亡者だけど美しい美神令子(みかみ・れいこ)が主人公。彼女は経済発展の歪みとしての悪霊をばっさばっさ切り倒して金を儲けまくる、バブルの申し子みたいなゴーストスィーパー。
バブルの女神
あるときそんな美神さんが言ったの
「スカーレット・オハラって、他人とは思えなくて何度も観返しちゃうのよね…」
美神さんの本質を日々薄給でこき使われ悉く体感的に理解しているアシスタントの横島君は、そりゃそうですよね…と力なく全肯定の突っ込みを入れる。
なんだかそれで、スカーレットの本質が小4の私に肚落ちした。
* * * *
実際に映画『風と共に去りぬ』を字幕で観たのは、高校生になってからだった。新春のBS放映。一生懸命勉強してた英語が聞き取れないことにおののき、聞き取れた数個の長台詞に感激しながら、なんて自分勝手な女なんだろうと思った。レットの愛が近くにあるのに(経済力・精神面を併せ持つ包容力)、なんで貧弱なアシュリーなんかに想いを寄せ続け、レットを失うまで気づかないんだろう?
でも独立戦争の混乱を生き抜く彼女のほとばしるような生命力に、私は惹きつけられずにはいられなかった。その当時、制度に従順になることしか生きる術を知らない良い子で、小6のあのできごと(リンク記事に書いています)から知らず知らず女性性を封印していた私は、それでもスカーレットを無意識に肯定した。
* * * *
高3の夏の英語のビックバン体験を経て英語が話せるようになったわたしは、英語で自己紹介をするときは何となく、スカーレットをミドルネームにするのがいいような気がしていた。いつの間にか。でもまだ確信にはいたらなかった。
23のとき参加したYouth Encounter On Susutainabilityという学生キャンプ、スイスの山奥の山荘。自己紹介は、自分の名前と自分を表象する動物をA4の紙に書き出したものを掲げてするものだった。(余談だが三味線にぶら下がったナマケモノの下に)名前には
Satomi Scarlet Obata
と書いた。
皆の自己紹介が終わったあと、アメリカ人でsupervisorとして参加していたMITの先生がこっそり教えてくれた。
名前のスカーレットはね、"t"を二つ付けるんだよ。"t"一つの方は、色を表すんだ。鮮やかな赤色をね。
そうか、わたしのは、名前だから"Scarlett"なんだ。また肚落ち。
わたしは鮮やかな緋色から、その色を体現したスカーレットという女性を、その日から取り戻そうとしてきたのかもしれない。
* * * *
スカーレットは言う
わたしの身体を解放しなさい。
羽が生えるから
肩甲骨から伸びる見事な二対の真っ白い羽が。
強張りを全て振りほどいて
強張りの一つ一つに閉じ込められた、隠してきた気持ちをしっかり受け入れて。ちゃんと。
オジサンの自我は、渋々重い腰を上げる。
幼かった自分に白けて薄くなった頭でアクセスする
その子らを置いては、いけないから
羽は黒のまま
生を呪ってしか生きられなくなるから。
12歳のあの子は、
9歳のあの子は、
7歳の、5歳の、3歳のあの子は、
自らに呪いをかけることなく
素直に枝葉を、伸ばせただろうか?
成長をびくびくと諦めて適応したつもりになってたその枝葉を、さあ、こぶを太陽の光で温めて
溶かして
さあ 思いっきり伸ばす時が来た!
もういいんだよ、大丈夫
僕は少し強くなった
君の力の、苗木が雨風に、耐え得るぐらいまで
成長するのを守ってあげられるぐらいまでは
あなたという精密機器を知り
狂いのない、調律をできるようになるからね
あなたを、知りたいんだ
あなたが、羽を広げるのを
心から見てみたいんだ
2S.O
#06Jan2020