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帰省と、赦し。
この週末、帰省した。一人で。
この15年、いつもなら自分の家族を連れてきていたから、両親のところに一人の娘として帰ったのは、実に久しぶり。感じるところが多かったので、書き留めておきたい。
雑ぱくに大きなところを言ってしまうと、父母の特性をもう一層、理解することができ、自分はこれでいいのだ、と思えた。
無口で人との交流が苦手で、趣味の城に閉じこもる父は、今で言うならばアスペルガー傾向ストライクゾーン。どうして、私たちきょうだいに構ってくれないのだろう?どうして、家族の居場所よりもモノを優先して居住空間をこうも圧迫していくのだろう?
父とは正反対、見たもの聞いたものを言語化して伝えずにはいられない母。言語的な記憶に恐ろしく優れていて、彼女が会ったことのない私の友人知人のことも、日付付きで覚えている。人の顔を覚えるのが得意で、他人の話を親身になって聞くのが上手い。(でもなぜか娘には聞き役に回らせる。)母曰く、「父がお巡りさんだったからね、」そうやらないと情報収集したり、日々の町の異変に気付かないでしょう、とのこと。
そんな両親の、家族、というか子育てにうまく振り分けられないエネルギーのベクトルばかりに目が行って、何だか煙たく感じたりすることが、多かった。成人するころからだったかな。ここ数年、しんどい時には、「どうしてこうしてくれなかった/してくれないの?」的な思いが、正直なところ自分の中で幅を利かせていた。
けれども今回、帰省してみて、いや行きの新幹線の中で、ふと、思ったのだ。
「二人ともそれぞれ変わってて、そんな中一緒になって子育てしながら生きてくるのは、大変だったろうなぁ。父の特性と母の特性の両方があるから、わたしはこういうふうにできている。それは、困難だけれど、だからこそ見えるものやできるものがある。はず」
*
実家での最後の晩、父の晩酌に割って入って秘蔵の大吟醸をしぶしぶ分けてもらっていたら、どういうつながりかさっぱり思い出せないのだが、クロマニョン人とネアンデルタール人の話を、父が振ってきた。父のヲタク領域の一つは歴史だ。普段ほとんどしゃべらない父だが、深く潜っているトピックに関しては一考察も二考察もあり、こうしてお酒が入るとポツポツと話をしてくれる。
たしか、クロマニョン人が先に生まれたのだけれど、彼らはあんまりコミュニケーションが得意ではなく、社会が形成できず、集団と言ってもせいぜい家族をちょっと拡大したぐらいの規模だった。対して、ネアンデルタール人は言語などを介して仲間に情報伝達をするのが優れていたため、大きな社会を形成し、その居住域を拡大した。だから、歴史を作ってきたのはネアンデルタール人の方で、進化の過程でクロマニョン人は先細っていってしまった。ただ、途中混血したりもしているから、私たちのDNA?人口?の数パーセントには、クロマニョン人の遺伝子が入っている――。
わたし:そうかー、じゃあ自閉傾向のある子がたくさん産まれている現代は、ネアンデルタールな文化の行き詰まりの象徴で、いちどクロマニョン的に先祖返りして、小さな単位でユニークな社会を提案していけってことなのかもねー!
父曰く、そうかもしんねぇなー。とのことでした(笑) そして、ネアンデルタールとクロマニョンのどっちがどっちかが覚えられず、メモを取ったにも関わらず忘れてきたので、逆かもしれません。…ん?逆かな?まあいいや。
……ああ忘れてた、もう一つ。
帰省初日の晩、私が「新幹線の中でPCで書きものしてたらさー、何だか気持ち悪くなってきちゃって」という話をしたら、やはり晩酌の進んでいた父が一言、「それは駄目だー」と諌める。「人間は機械じゃないんだから、そういう(乗り物に乗ってる)ときは(体は移動してるんだし)、ぼーっとしないと。身体からサインが出てるんだから」「人間には、たまに火を見てボーっとしたり、そういう時間が必要なんだ。今回は用事があって来たわけだけど、(家に居るうちは)休め―」のようなことを、言ってくれた。
父なりに気遣ってくれたのが分かって、肩の力がストンと抜けたというか、荷を降ろすことができた。おかげで、今回の帰省のミッション遂行時以外は、普段だと眠りが浅く昼寝のできない私が、こんこんと良く眠り、昼も映画1本分位眠り、何だか元気になることができた。
*
父からは今回、AIと人類の未来に関する知見も聞くことができたり、とても愉しかった。
父の特性、母の特性、両方があるから、大変だけれど、わたしは、わたし。
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