【散文】当意即妙なかの女
相手の意を即座に解して
気の利いた言葉を返せればいいのに
当意即妙な彼女は いつもわたしの憧れ
現実は
相手の意図してたことなんて半日後に気づくこともままだし
自分の欲しかった言葉だって、夜のまどろみの中で突然降ってきたり
遅いよ!
って自分で突っ込みたくなる
18から計2年一緒に暮らしたルームメイトは
「現代のスピードはきっとさとみちんを待ってくれないんだろうな」
って残念そうに言った。
一方で大胆なわたしの中のすかーれっとは言う:
「わたしがグローバルスタンダードなのよ。あっちが合わせればいい」
小心者のさとみちんはひるむ:
「えっ…でも、そうかも、しれない。」
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そうかも、しれない
標準的であることなんて何の魅力にもならないのだから
欠損が大きいほど秀でた部分は尖る。
すかーれっとの声を大にできるように、
小心者のさとみちんは少しずつ井戸を掘る。
戸の中のかの女が
この世界で大腕振って歩けるように
世界の中心でダンスを踊れるように
ゆっくりで、ごめんね
小心者で、ごめんね
わたしは、もっと人への安定した愛着と
たくさんの誉め言葉と、自信と
抱擁が欲しかっただけなんだ
それらを自分に追加オーダーしながら
胃袋に注ぎ込みながら
圧倒的に取り残されてきた処理速度ちゃんを
迎えに行く
あと、どれぐらいでわたしは
仲間外れだったあの子を
心から笑顔にできるだろうか?
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