私と3DSの13年史 #1「1万円のヨッシーとワリオ」
ニンテンドー3DS、希望小売価格25,000円。
それを知ったとき、ほんの少しも「高い」とは思いませんでした。
といっても、その頃の私はまだ子ども。
DSのポケモンをクリアできないくらいにはゲームが下手で、振りがなの付いていないゲーム雑誌を、ようやく自力で読めるようになってきたくらいの年頃です。
単に金銭感覚が身についていないだけだったのかもしれません。
でも、雑誌に大きく載った3DSの紹介に、私の心は奪われていました。
「裸眼立体視に対応」
当時、3D映像を見るなら3Dメガネをつけるのが当然と思っていた私。
全裸と半裸の違いも分からないような自分が惹きつけられた「裸眼」というワード。
それに3Dは3Dでも、その頃話題になっていた3D映画や3Dテレビとはワケが違います。
「3D」で、「ゲーム」を、「裸眼」で、「たった25,000円」で遊べると知った時、なにか遠い未来の、SFのような技術が現実になったのだと・・・そう直感しました。
私は「アンバサダー」になった
ところが、いくら未来のゲーム機でも、25,000円は高すぎたのかもしれません。
発売から約半年で、ニンテンドー3DSは10,000円も値下げされることになりました。
世の中が特に大変だった2011年とはいえ、こんなに早く値下げをするのはイレギュラー中のイレギュラー。
任天堂は、早く買った人に対して「お詫び」をする必要があったようです。
かくして、私の青い初期型の3DSに届いたのが、「ニンテンドー3DS アンバサダープログラム」です。
その中身は、ファミコンソフト10本、そしてゲームボーイアドバンスのソフト10本。
過去に発売された20本のゲームが、3DSの「バーチャルコンソール」で遊べるようになる、という内容でした。
当たり前ですが、当時の私は「アンバサダー」という言葉は知りません。知ったのは2015年、キムタク主演の映画「HERO」を見た時です(「大使館」がテーマになっていました)。
任天堂にとって、値下げ前の3DSを買った私は「大使」だったのです。でも、そんなことは知るよしもなく、タダで遊べるゲームが増えたことを喜んでいました。
(喜んで、いろんなところに3DSを持ち歩いて回り、いろんなところでゲームの話をして宣伝しました。つまり、私は無意識ながら、100%任天堂の狙い通り「大使」として働いていたことになります・・・!)
そこで出会ったのです。
「ヨッシーアイランド」と「メイド・イン・ワリオ」に。
ヨッシーとワリオ
ファミコンのソフトは大好きですが、子どもの私が3DSのソフトで遊ぶ時間を削ってまで熱中できる作品は多くありません。
でも、ゲームボーイアドバンスは格別でした。
3DSソフトみたいな派手さはないけど、ゴキゲンで、スリリングで、ずっと遊んでも飽きない。そんな作品に出会うことができたのです。
それが、「スーパーマリオアドバンス3」の中に収録されている「ヨッシーアイランド」、そして初代「メイド イン ワリオ」。
「ヨッシーアイランド」は、横スクロールのマリオ方式をベースに、「舌を伸ばして敵を食べる」「タマゴを投げる」などの新しいアクションを加えたゲームです。
敵も味方もキャラが生き生きしていて個性的。全員のぬいぐるみが欲しいくらい。
好きだったのは、クリア時に取ったコインの数などによって100点満点で採点されるシステム。スコアに「満点」があると、それを目指して頑張ろうという気持ちが強くなります。
そして、それまでの愛らしい世界観をひっくり返すラスボス戦も忘れられません。
遊び終わって満足したあと、このゲームが元々はスーパーファミコンの作品だと知ってさらに驚くことになるのですが、それはまた別のお話。
「メイド イン ワリオ」は、5秒で終わる多彩なゲームに連続で挑み、己の反射神経の限界に挑む感じの、なにかそういった感じのゲームです。
それ以前にも、DSのシリーズ作品「メイドイン俺」を買ってもらったことがあるのですが、こちらはゲームを「つくる」要素がメインのスピンオフ。
目玉焼きも作ったことがなかった自分に、ゲーム作りは早すぎました。
一方、初代のメイド イン ワリオは正真正銘、遊ぶことに特化しています。
一番好きだった、タクシー運転手「ドリブル&スピッツ」のステージ。
雨の中、ちょっとセンチメンタルな歌唱付きのカーラジオをバックに、ヘンテコなプチゲームで自分を追い込む。
こんな体験ができるゲームは、今後もきっとありません。
ひととおりクリアして満足したあと、2人対戦用のゲームをひとりで遊んで「右手VS左手」にハマることになるのですが、それはまた別のお話。
その1万円に、後悔は・・・
半年早く3DSを買ったために、10,000円と引き換えに「アンバサダー」となった私。
そのおかげで、本来自分の世代では遊ぶチャンスのなかったゲームに出会えました。
もしもアンバサダープログラムがなく、これらのゲームが数ある個別販売の「バーチャルコンソール」の一つだったなら。
面白さを知らない私は、買うことがなかったでしょう。
この出来事は、ゲームに対する私の視野のようなものが一気に広がるきっかけにもなったと思います。
あまり行かなかった中古のゲームショップに頻繁に行くようになったのも、古い作品の中にお宝があることに気づいたから、かもしれません。
だから、今こそ言いたいです。
任天堂へ・・・10,000円多く払わせてくれてありがとう。
(両親へ・・・10,000円多く払わせました。ごめんなさい!)
ちなみに今は、紹介した2つの作品は「Nintendo Switch Online 追加パック」で遊べるようになっています。
加入しているのにまだ遊んでいない方は、どうか今すぐ遊んでください。
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