私と3DSの13年史 #2「青マリオ・赤マリオ・黄マリオ」
3DSのソフトは、白いプラスチックのパッケージに入って、店先に並んでいました。
資源の節約のためか、DSのパッケージよりも少しだけ薄く、謎の四角い穴がいくつも空いているパッケージです。
でも、ときどき、違う色のパッケージに入っているソフトがありました。
対象年齢が15歳以上（CEROの「C」区分）のゲーム、たとえば「モンスターハンター」などは、黒。
任天堂としては単に区別のために色を分けているのかもしれませんが、ちょっと背伸びして大人向けのゲームを買う時の高揚感を、さらにかき立ててくれる演出でした。
そして、ほんの一部のゲームだけ、白でも黒でもない、特別なパッケージの色が与えられていました。
そういうものを見つけると、なぜか嬉しくなったことを覚えています。
この記事は、「ニンテンドー3DS」のオンラインサービス終了に寄せて、3DSの思い出を書き記すシリーズです。
青のマリオ「スーパーマリオ 3Dランド」
そのゲームは、青いパッケージに入っていました。
「スーパーマリオ 3Dランド」。
3Dのコース空間の中に、2Dマリオでしか見たことのないゴールの旗が浮いている異様な光景。
3Dマリオなのにライフ制じゃなくて、「ちびマリオ↔︎（スーパー）マリオ↔︎タヌキマリオ他」のパワーアップ・ダウン制を採用。
すなわち、3Dと2Dの「いいとこどり」。
「スーパーマリオギャラクシー」シリーズの壮大な旅を終えたマリオの新しい門出に、これ以上なくふさわしい晴れ舞台でした。
私にとっては、初めてセーブデータに「⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎（五つ星）」をつけることができた・・・つまり、隠し要素の完全コンプリートを達成したマリオでもあります。
この画を撮るために久しぶりに遊んだ結果、数十人のマリオが奈落に沈みました。
最後の隠しコースには、キノピオの頭を踏みつけて飛ばないと先に進めないという、ちょっとかわいそうな仕掛けがあります。
（キノピオ隊長の貴重な下積み時代？）
赤のマリオ「マリオカート7」
「3Dランド」からわずか1ヶ月。
真っ赤なパッケージに入っていた、「マリオカート7」。
「スーパー（初代）」「64」「アドバンス」「ダブルダッシュ」「DS」「Wii」と、今まで個性的なタイトルをつけてきたマリカーは、ここに来てシンプルに「7」。
この潔さに惚れるしかないのです。
操作キャラはハニークイーン。「マリオカート8」シリーズには続投しなかった超レアキャラです。
「7」といえば、やっぱりカートについた「グライダー」。
青く光るジャンプ台から飛び出し、建物の隙間を縫い、切り立つ山々を眺めながら風を切る。3DボリュームをONにしてレースを遊べば、両手の中に空がありました。
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー」での大活躍も、この作品があったからこそ、です。
「3Dランド」と「マリカ7」は発売間隔が1ヶ月しかなく、当時の世の中的にも『セット売り』の雰囲気がありました。
2作両方の攻略本が付いたムック本もあったほどです。
この2つのマリオは、「2011年の年末商戦に向け、値下げによって15,000円になった3DSを普及させる」というミッションを帯びた作品でもあります。
任天堂が経営的に苦戦していたと言われる時期だったので、なんとしても成功させたいミッションだったはずです。
「マリオ本編とマリオカートの完全新作が同シーズンに出る」という、令和では考えにくい盆と正月事案は、そんな背景ゆえの必然。
青と赤の特別なパッケージにも、その想いの強さが現れているような気がします。
黄のマリオ「Newスーパーマリオブラザーズ2」
「今度のマリオはコインがドッサリ」
青マリオと赤マリオの活躍で、3DSの地位がすっかり盤石(？)になってから1年弱。
いつも王道真っ正面を行くイメージがあるマリオシリーズの中で、ひときわ変化球なマリオが、3DSに現れました。
パッケージの色は、コインカラーの黄色。
広がっていたのは、パレードのような世界でした。
地面から噴き出すコイン、敵を黄金に変えるリング、頭から被ってコインを撒き散らすゴールドブロック（説明が難しい！）。
そしてNewマリオ2には「ゴールドマリオ」という、マリオ史上最強級のパワーアップが登場します。
ゴールドマリオが活躍する、ステージ2-1。
基本はファイアマリオの強化版で、ファイアボールの代わりにゴールドボールを武器にするゴールドマリオ。
重厚な効果音で繰り出されるコールドボールは、命中した敵やレンガブロックを片っ端からコインに変えてしまいます。しかも、ファイアの効かないドッスン系やカロン系にも有効なチート兵器。
最強だからこそ、ゴールした時に自動でファイアマリオに戻ってしまう時の儚さもひとしおです。
全身金ピカというお世辞にも上品とは言えない姿なのに、むしろカッコ良さを感じてしまうのは、マリオというキャラクターゆえでしょうか。
特別な色のパッケージに入った3つのマリオは、それぞれキラッキラの個性が詰まった特別なマリオでした。
青マリオ・赤マリオ・黄マリオ。
今日はこの言葉だけでも、覚えて帰ってください。
ここからは、「白以外の色のパッケージの3DSソフト」というテーマをさらに掘り下げ、「マリオ」以外の特別なパッケージの作品についても振り返ってみます。
青い宝石、その名は「アルファサファイア」
ゲームボーイアドバンスで発売されたポケモンの「ルビー・サファイア」のリメイク版、「オメガルビー・アルファサファイア」が2014年、3DSで発売されました。
パッケージの色は、それぞれ赤と青。
この頃には3DSソフトの「ダウンロード版」が販売されるようになっており、私が買ったのも「アルファサファイア」のダウンロード版。
つまり、パッケージで買った青マリオ・赤マリオ・黄マリオと違って、自分が青いパッケージに入ったポケモンの実物を入手したことはありません。
こういうことが起こるようになったのも、ダウンロード版過渡期の3DSならではです。
「ポケットモンスター アルファサファイア」、膨大なネタやアイデアを詰め込んだタイトルなので世間の評価が割れている面もあるのですが、私はストーリーの魅せ方が上手いという魅力を推したいです。
トクサネジムクリア→異変発生→ダイビング解禁→アクア団との決着→ゲンシカイキしたカイオーガとの最終決戦 の流れとか、
チャンピオンロードに佇む花畑→ミツル登場→超かっこいいギターのBGMが流れ出してバトル とか。
音響・グラフィックともに、3DSのスペックを引き出した演出がひたすら熱い、そんなポケモンでした。
黒のタイムトラベラー
冒頭でも記した通り、3DSの黒いパッケージは「15歳以上対象」の証。
そのパッケージに初めて触れたのは、（父の「モンスターハンター3G」はノーカンとして）レベルファイブの「タイムトラベラーズ」というゲームです。
このゲームは、いわゆる「アドベンチャー」というジャンルのゲームで、場面に応じた選択肢を選んでいくことで物語を進めていくという内容。
5人の主人公による群像劇で、それぞれの物語を正しく導くことによって、最終的に一本の結末に収束していきます。
ゲーム性よりはストーリーを重視した設計で、「プレイングシネマ」というキャッチコピーで売り出されました。
5人の主人公は互いに面識がないけれど、同じ時間を生きて、無意識のうちに助け合っている。
近未来の東京で暗躍するテロ組織との戦いと、その真実に深く関わっている「タイムトラベラー」の正体。そして、笑って泣ける主人公たちの活躍。
SF大作として、後世に語り継ぎたい内容です。
主題歌の「The Final Time Traveler」は、フィギュアスケーターの羽生結弦さんがエキシビションで使用したことでも話題になりました。
以下、ちょっとだけネタバレですが・・・
終盤の方で、どう進めてもゲームオーバーの演出になってしまうところがあるんです。
でも、「実はそれで合ってる」と分かった時と、何より「なんでそれで合ってるのか」が分かってしまった時は、鳥肌が止まりませんでした。
黄色い名探偵、登場！
最後に、大きく時は流れて2018年発売の「名探偵ピカチュウ」。
これも私はダウンロード版を購入しましたが、パッケージは黄色のようです。
ポケモンと推理ゲーム、一見すると突拍子もないツーショットに見えますが、意外と理にかなった組み合わせ。
というのも、ポケモンは生態や能力が「図鑑」でカッチリ決まっているので、推理に必要なロジック面が「なんでもあり」にはならず、組み立てやすいからです。
そして個性豊かなポケモンをトリックに取り入れれば、大抵の推理ものとは差別化できそうです。
こんなこと今言っても後出しじゃんけんですが、私はずっと、ポケモンの推理ゲームがいつか出ると思っていました。
全エピソードの中で、特に記憶に残っているのが3章（研究所の事件）。
最後にピカチュウが「どこで犯人がわかった？」って質問してくれるのがいいですよね。
こちらは「逆転裁判」くらいしか経験がない推理ゲーム初心者だったので、犯人に気付けるポイントをさりげなく示して「ミステリーの読み解き方」を教えてくれる構成はありがたかったです。
ゲームをダウンロードで買うことが多くなった最近は経験し難い、『パッケージの色』を通じて味わう高揚感。
この記事で、あなたにも伝わりましたでしょうか。
伝わったよという方は、ぜひ「スキ」していただけると嬉しいです。
していただけない場合、世界中の結婚指輪が3DSのパッケージの穴と入れ替わる魔法が発動いたしますので、ご注意ください。
(つづく)
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