見出し画像

温度差

病院へは継母が付いて来てくれた。
テルは仕事が忙しかったので…
妊娠を私の親が知っている事が気に入らない様子のテルに対しても、この頃は何とも思わなかった。
むしろ病院で赤ちゃんの心音を聞いた事でますます赤ちゃん以外の事は考えられなくなった。
親、妹弟は祖母の家に引っ越し、私と伯父が2人でマンションに住む事になった。
家賃は伯父の方が少し多めで2人で払う事になった。
そして、お腹の赤ちゃんの為に嫌いな牛乳を飲んだりしていた私に継母が不思議な事を言いだした。
「○○病院に行きなさい。あそこの先生は中絶に慣れてるっていうから…やっぱり慣れてる先生の方が安心でしょ?」
【何言ってんの!?】
「あの…堕ろす気は無いんですけど…」
と言う私を継母の方も
【不思議な事を言う子だね…】
という顔で見ていた。
「とりあえずテルくんと良く話し合いなさい」
私はテルとこれからの事を話し合う為に学校を休んだ。
この頃は体調も悪くてテルとはゆっくり話もしていなかった。
久しぶりにテルの顔を見て忘れていた事を思い出した。
病院での検査の結果を伝えた時にテルが言った最初の一言…
「ついてねぇ…」
その一言をもっと深く受けとめるべきだったのか…

いいなと思ったら応援しよう!