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【詩】造花咲く街

凍ったような冷たい空
大きな橋を渡る
鉄が錆びて剥がれ落ちて
土にも還れず佇んでいる

色を忘れた街に
次の陽が差す頃
赤らむ頬のような花が咲くよ
忘れ去られた電信柱のそばに

私が何かを忘れるように
誰かも私を忘れていく
そうしてすべてがすべてを忘れたら
もうきっと寂しくはないよね

錆色にくすんだこの街に
変わらない朝が来る
あの花はまだ咲いたまま
その意味をもう誰も覚えていないというのに

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