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5.23 恋文ラブレターの日
恋文。
それは銀色に光る朝露の中に
初めて焼いたホットケーキのふくらみの中央に
夏の日差しに輝きを増す青の中に
彼女がいつも飲んでいるビタミンドリンクの成分のひとつに
打ち捨てられ乾燥した漫画雑誌のセリフの行間に
親指で文字列を打ち込んだデジタルの文章に
シャッフル再生したメロディーの一小節に
口の中で泡となり消えるラムネの儚さのそばに
手を繋ぐのを躊躇った時間の長さに
焼きすぎた目玉焼きの焦げた匂いに
下ろしたての革靴のきりりとした強さに
暑さにだれて眠ってしまったまどろみの深くに
誰も見たことのない湖沼の澄んだ水に
あなたを起こさないようそっと出る布団の名残惜しさに
指先に載った桃色のシェルの反射に
そういうもののなかに
密やかにそっと隠してあるそうです。
5.23 恋文ラブレターの日
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