2.26 脱出の日
このままでは命が危ない
遠くで目が合っただけなのに
いつの間にか仕掛けられた時限爆弾が
カウントを始めてしまう
全速力で逸らした視線の先に
青い空が
飛行機雲が
どこか遠くへと闇雲に消えているのを
追いかける午後
時限爆弾のカウントは
あのバレンタインの日から
日増しに進んでいるようで
焦げくさい匂いがたまに
私の胸元から立ちのぼってきて困る
このままでは命が危ない
遠くで見ているだけなら
こんなにも幸せなのに
さっき廊下ですれ違うときは
うまく友達のふりが出来なかった
時限爆弾のカウントが進む恐怖に
私は歪んだ笑みを浮かべて逃げた
このままでは命が危ない
好きなのに
悪いところを懸命に探して
何とか嫌いになろうとしている
そんな自分が一番嫌いで
本当はあなたのことが
意味もなくただ好きなのです
時限爆弾が爆発して
私を粉々にしたとしても
もしかするとそちらの方が
今よりとても
素敵なことなのかもしれない
それでもまだ
カウントが進む恐怖に
私は足がすくんでしまうのです
このままでは命が危ない
そう分かっているのに
今も私の目は
あなたのことを
絶えず追いかけてしまうのです