3.8 みつばちの日、ビールサーバーの日
夜更けに目覚めた一匹のみつばち
蜂蜜色のひかりに誘われて
仲間の眠る蜂の巣から飛び出した
眠い目をこすって飛ぶみつばちの
羽音が遠くの冷たい湖に
波紋を浮かべる
丸い月から溶け出す金色の蜜は
誰も知らない夜の闇に
微かに甘い香りを漂わせる
みつばちは懸命に空を駆け
その羽音が遠くで眠る赤子の
目を覚ました
だがしかし
いつまで飛んでも
甘い匂いはするものの
蜜に辿り着くことはなく
みつばちはついにその羽を止め
濡れた肉厚な葉の下で休んだ
羽音を子守唄にしていた呑み助が
音がやんで目を覚まして
空のジョッキにビールサーバーから
金のビールをなみなみ注いだ
呑み助が一口飲んで首をかしげる
そのビールはどこか甘く
蜂蜜のような匂いがした
とても旨いビールだった
3.8 みつばちの日、ビールサーバーの日
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