誰のための振り返り
こんにちは、デザインチームの東海です。
弊社は5月末が期末になるため、現在期末評価面談の真っ只中です。。
私たちセカンドファクトリーは今期から全社的に、期末評価と目標活動に対して見直しをしました。
単なる評価査定のためだけの機会にならないよう、メンバーとチームのコミュニケーションツールとしてOKRを利用し、メンバーとチームが共に個人の目標達成に向かうスタンスで1年を活動しています。
そして四半期ごとや期末に、いかに実のある振り返りをする機会にできるか、振り返りとしてもっと有意義な機会にしたいと、私たちなりに試行錯誤してきました。
そこで今回は、現在の目標と評価に対する弊社の取り組みと、有意義な振り返りの機会になるよう、制約のかからない広い視野での振り返りになるよう設定した観点をご紹介できればと思います。
評価面談までの1年の活動の流れ
弊社では期初に会社とチームの方針・OKR/KPIを確定した後、個人のOKR/KPIを設定し、会社 - チーム - 個人と3つの階層の内容がツリー状に接続された目標を指標として活動しています。
会社では四半期単位で活動や実績・状況を振り返り、目標や行動の見直しを行っていて、デザインチームは加えて1ヶ月毎にOKRの状況に対しての1on1と、朝会で週次KPTも実施しています。
1on1も最近ではOKRとプロジェクトなどテーマ別に分けて行なったり、月に複数回行うことも増えて対話の機会が自然発生的に増えてきました。
期末の最終評価としては7段階評価を行いますが、この評価は定量面と定性面の双方のパフォーマンスから総合的に判断しています。
定量面な成果が大切であることは共通理解をもっていますが、定量面では見えづらい会社やチームへの貢献や、そのための自己成長の含めて定性面を大切にしています。
定性面の振り返り観点
そんな定性面を振り返る際の観点をざっくりいうと「姿勢や行動の変化」です。
どのようにクライアント/会社/チーム/自分に対して向き合い、姿勢と行動の変化できたのかを重要視しています。
具体で書くと以下の3つの観点です。
1年の活動に対してこの定性面と定量面(チームごとに追いかける数字が異なりますが、主に売上/利益です)と総評で振り返りを行い、その振り返り内容と現在の世の中/市場/会社/自身の思いなどから、来期の挑戦したい/すべき点について対話を行います。
デザインチームでは各月の1on1や、各週KPTでこまめに振り返りを少しずつ行っているとは言え、期末の振り返りはなかなかに骨が折れます…私も自身の1年の振り返りと来期に向けて、また自身の在り方に対して絶賛向き直り中です。
ですが、やはりこういった振り返りをまずは個人で丁寧に時間をかけて行うことは、個人にとっての行動や姿勢を変える機会としてとても大切だなと感じています。
環境制約になりうる振り返り
冒頭で「単なる評価査定のための機会にせず、私も含めてメンバーそれぞれがいかに実のある振り返りができる環境として考えるか」と書きましたが、もともと評価査定のための機会だけになっていたわけでもないのです。
ただ立てた目標の範囲だけに振り返りの観点が狭まってしまいがちなことになんとかできないかなと考え、いまの形を当時のチームリーダーと検討して改版してきました。
あらためて当時を振り返り、この文章を書いているときに思い出したのが「4つの環境制約」で、情報や知識を制約する4つの要素として、ローレンス・レッシグの4つの制約要素というものがあります。
4つの制約要素に関しては、黒田さんという方がnoteで書かれていました。
私たちが振り返る際は、当たり前ですが振り返りの観点に沿って考えます。例えば指標としてOKRやKPIに対しての振り返る場合Key ResultやKPIの数値に対してです。これ自体は間違ったことではないと思います。
ただそもそも振り返りとは過去の反省ではなく、次のアクション、未来に向けて考える機会という意味合いが強いと考えています。
そうなると、振り返っている時点の外部状況も踏まえた「次の目標に対する改善のデータ」として結果としてではなく現在の状況として正しく捉え直し、次のアクション=目標や活動の修正を検討していく必要があります。
目標に対して60%達成した結果があったとき、その目標設定時の100%が、現在の市況では既に100%に達成していても、極僅かな効果しか見込めなくなったり、意味をなさなくなったりすることもあります。
そうなってしまったら、残りの40%を100%に近づけるための努力を継続するより、他のことにピボットして40%の達成をする方がよっぽど事業効果が見込めるなんてことは普通のことだと思います。
そのため振り返りに用いる観点は、正しく振り返るべき範囲で考えられる観点を設定しておくことがとても重要だと思っています。とくに、考える対象(状況・行動など)の範囲や、血肉化していける学びの範囲において制約にならないようにしておくことが大切です。
また会社にとっては効率的な評価観点が、必ずしもメンバー(社員)が振り返りできる対象や学びの範囲を制約するとは限りませんが、各個人が広い視点で振り返りをしやすくするとっかかりとして考えたときに、現在の振り返り観点自体に組織として向き直ることは大切だと思います。
レッシグの提唱する制約要素は以下の4つですが、それぞれは社会環境の中での話で論じられているものです。
そこでこの4つの環境制約を、今回の会社やチーム・個人の振り返りの文脈で置き換えて考えてみます。
振り返りの文脈での環境制約
1.Rule(規則)
弊社でいうと評価ルール・判断軸、会社/契約規則、これに反することは基本NGです。
2.Policy(ポリシー/行動規範/会社の大切にする価値観)
組織における規範であり、文化としたい価値観なので、Ruleよりも余白があります。価値観に関しては、弊社でいうとホームページのこのあたりです。
3.Action(顧客満足への行動)
私たちがサービスを通して提供する価値に対するインセンティブが顧客満足があって発生するものだと思います。
だとすると売上を得られたか、得続けられたかという定量面がその1つですが、その他に、そのインセンティブを獲得しつづけるために、また価値を提供し続けるためにどのように向き合い、どのような行動を行ったかという定性面の両方が考えられます。
獲得できたスキルやノウハウはもちろん大切ではありますが、顧客やチームなど共に仕事をする仲間の満足が得られたか、満足していただけるようどのように自分が行動できたかを振り返りる観点です。
4.Organization(組織)
チームや会社においての構造的な制約を考えると、4つ目は組織と言えるかもしれません。
私たちはもともとハイブリットインテグレーターと名乗っていたこともあり、デザインチーム単体ではなく、その他のチームと共に会社としてサービスを提供できるようにしたいと思っています。ですが直近はデザインチーム単体でのサービス提供も多くなってきてしまっていました。
このときに自分、自分のプロジェクト、自分のチームという自分に直接的に関わりが明確な組織の行動に制約された振り返りになりがちです。
そのため、例えば会社や会社戦略・ミッションという単位でグループ化された組織という範囲で見た時に、関わりが不明確であってもいかに隣接した組織に対しての行動を起こしていけたか、というのが振り返りの観点として重要だと考えています。
(弊社は小規模なので会社戦略や会社ミッションがチームと直結しますが、大きな会社では事業グループなどの単位かもしれません)
こう見ていくと制約が生まれがちな期末評価時の観点に対して、制約や視点の狭窄がおきないような観点が、(完全に後付ですが)わたしたちの評価観点では現状少しは持てているのかなと感じました。
ですが、もちろんご紹介した記事にもあるとおり、上記の制約を突破できていればOKなわけもないので、他の制約がないかはこれを機会に考えてみたいと思っています。
振り返りという機会を活かすために大切なこと
期末の評価方法を考えることは、自分や自分たちに向き直る良い機会だと思っています。
そのため、わたしたちは週次のKPTなど日常的な活動も、こういった評価方法に対して、常に改善を続けていきたいと思っています。
ただ、実は今回ご紹介してきた観点や取り組みは、当初デザインチームのみで検討・整理し、会社と相談して運用していたものでした。そして今期から全社運用に至っていたりします。
だからこそ自分がこの評価方法に従ってやるというスタンスで向き合うのではなく、自分や自分たちに向き直る機会として、どういう機会であるべきかを考えること自体が大事だなと思っています。
だって振り返りは誰のためにするっていったら、そりゃあ自分たちのためにするものですから。
個々人が振り返る内容に対しても、こういった事を考えることが振り返りに深みを与え、振り返りの解像度を高めることにも繋がります。
そのため会社レベルでは難しくてもチーム単位であれば、振り返りの機会自体も定期的に振り返り、どんどん試して改善しています。
つまりこういった振り返りという活動自体は、会社から提供されるものではなく、自分たちのための活動と捉え、その機会・環境を社員個々が大切に考えている企業も増えてきているのではないでしょうか。
不確実な時代になり、新規事業やDXなど抜本的に業務への向き合い方を変えなくてはいけない時代に、評価方法は昔のままでは会社にとっても個人にとっても振り返りの意味が薄れてしまいかねません。
まだ私自身の振り返りも続きますし、メンバーとの振り返りもありますので、この後も振り返りに真摯に向き合いつつ、ワクワクして来期を迎えられればと。
最後に、2FCのデザインチームでは、ともに学び成長しながら、クライアントの事業や組織を前進していきたい、そこに共感いただける仲間を探しています。お気軽に問い合わせください!