【MOVIE】『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:』ぼっちとキタちゃんの関係がルックバック的だった
どうも、こんにちは。kei_tenです。
今回は『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:』を観てきたのでレビューします。
▼前編のレビューはこちら
2つのポイントに注目して観てきました
今回鑑賞前に注目していたポイントは以下の2つでした。
どのような撮り下ろしシーンが含まれたいたか
エンディングはどのような形になるのか
1つめは、やはり斎藤圭一郎監督ですから、ただ連載アニメを再編集するだけでは終わらないだろうという期待がありました。
どのような隠されたシーンがあるのか、はたまたエヴァのようにマルチバース世界が繰り広げられるのか。
アニメのぼっち・ざ・ろっく!は続きを作らないと言われていましたが、それでも少し期待しちゃいますよね。
そしてもうひとつは、やはり連載アニメのエンディングが素晴らしすぎたので、どう劇場版で超えに来るのか。
これは1つめとも関連していて、撮り下ろし含めての期待要因でした。
連載アニメの最後はアジカンカバーの『転がる岩、君に朝が降る』をぼっちちゃんが歌うんですよね。
彼女の成長物語を、最後の最後でこの曲が流れることでぐっと噛み締めることができる。そこに言葉にできないエモさがありました。(MAD動画を観ると今でもウルっと来ちゃうほどですから)
では、実際今回はどうだったのか、実際に見ていきましょう。
※ネタバレあります
ぼっちとキタちゃんの“ルックバック的な”関係性が浮かび上がる
後編は案の定、撮り下ろしシーンが前編に比べてグッと増えましたね!
オープニングからガッツリ魅せてくれました。
「あのバンド」でぼっちちゃんが見せたカッティング・イントロ、あれを見ていたキタちゃんがどんな感情を抱いたのか、フラッシュバックした学校でのシーンなど、ほんの数十秒のシーンですが、一気に引き込まれちゃいました。
そうか、キタちゃんも実は心細くて、劣等感があって、それでいて一生懸命努力してあのステージに立ってたんだ!
開始早々に、キタちゃんに対して無関心だった自分を思い知らされ、同時に劇場版にのめり込む自分。
その流れでライブシーンの続きが始まり、3曲目で演奏したのが「ドッペルゲンガー」だと知る。(そしてここからOPへ)
この流れだけで正直お腹いっぱいになりかけたんですが、その後のシーンもかなり重要なものになっていきます。
特に印象的だったのが、キタちゃんが文化祭ライブで機転を利かせてぼっちちゃんをフォローしたシーンですね。
連載アニメでは描かれていなかった背景を目の当たりにすることで、あのライブでもふたりの連携が偶然ではなく、必然だったことに気づくようになります。
それがすごく、今話題になっているアニメ映画『ルックバック』と重なるんです。
ぼっちちゃんとキタちゃんの関係って、なんだか藤野と京本みたいじゃないですか?
▼『ルックバック』レビューはこちら
キタちゃんにとって、あの初ライブでぼっちちゃんがリアル・ギターヒーローになったこと(たぶんYoutubeは知らない)、それ以前にライブをすっぽかしたことの後ろめたさと再チャレンジを、ぼっちちゃんによってもたらされたこと。
表には出さないけれど、キタちゃんの中でふつふつと湧き上がるぼっちちゃんへのリスペクトと嫉妬の混じり合った感情ってあったんだと思います。
だからこそ、ぼっちにばかりギターを教わるんじゃなくて、リョウさんにも特訓してもらう。そして頼りきりじゃない、対等な関係になりたいと目指す。(この辺がすごいルックバックの藤野っぽい)
一方のぼっちちゃんは、キタちゃんのことはすごいすごいと思っているけど、ギターに関しては特にそんなことは思っていない。
だから、「あれ?」と具体的なセリフは口にしないけど、なんだかギターが上手くなっていることに気づくシーンを差し込んでいる。
けど、やっぱりぼっちちゃんらしいのはキタちゃんがギターが上手くなっていることに抵抗感がないってところですかね。嫉妬の感情が欠落している。(ここがまたルックバックの京本っぽい)
そして、文化祭ライブの前日にふたりの距離がググッと近づき、ライブの後に「後藤さん、じゃなくて“ひとりちゃん”」というセリフが出てくる、と。
そんなふたりの関係が築かれていく様を、今回の後編から読み取ることができました。
その要因は紛れもなく追加された撮り下ろしシーンであり、連載時の素材を上手く使った再編集のセンスだったと思います。
ほんと、こんなに変わるんだな、と感心してしまいました。
転がる岩から、転がるボールへ
そして、今回気になっていたもうひとつのポイント、エンディングです。
案の定ではありますが、EDはアジカンの「Re:Re:」でしたね。
ただ、単なるカバーではなく、今回の後編がキタちゃんのクローズアップだっただけに、「Re:Re:」を演奏しているキタちゃんを想像してなんだかグッときちゃいました。
劇場版って前編も後編も、ぼっちちゃんの主人公感がいい意味で薄れていたというか。
とはいえ、もうひとつ重要な追加シーンは、最後の最後の“巻き戻し”ですよね。
最初はあのシーンが意味するものはなんだったのだろう?と考え込んでしまいましたが、ぼっちちゃんが“初めてぼっちになったエピソード”こそが、結束バンドが結成され、スターダムにのし上がっていく第一歩だったんだな、という結論に至りました。
全てのはじまりはここにあった。そして、ボールが転がって・・・
という、なんと憎い演出でしょう。ぼくはあの転がるボールが「転がる岩、・・・」の置き換えに見えてしまいましたよ。
斎藤圭一郎監督の次回作に期待!
さて、今回で本当にぼっち・ざ・ろっく!はおしまいなんだなぁと、一抹の寂しさを感じていますが、ファンにとって想い想いの次回作を想像する余韻を残してくれている、と感じさせる(深読みさせる)あたりは、斎藤圭一郎監督の手腕なのかもしれません。
完成されていた連載アニメの再編集版を劇場公開するってのは、とても勇気がいることなんだなぁと、改めて痛感しました。(パンフレットでも言及されていました)
それでもここまで仕上げてくるあたり、やはり只者ではないなと再確認。
だからこそ、次回どのような連載アニメを作るのか、それとも劇場作品を作り上げるのか、斎藤監督にとても期待しています。
今回のぼっち・ざ・ろっく!後編は、ルックバック的な世界観を垣間見ることができましたが、こういうシンクロニシティが起きている状況って、すごくワクワクしちゃいますよね?
斎藤監督だけでなく、日本のアニメがさらにもう1段階高みに登ってくれるのを楽しみにしています。
では、また!kei_tenでした。
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