31歳で父の成年後見人をした記録No.3
父は自力で立ったりトイレに行ったりがだんだん難しくなっていきました。
座椅子に座っていると立ち上がる時に上手に立てず、後ろにひっくり返ることを頻繁に繰り返します。
いよいよ父1人では生活が難しくなってきたので、母は働きながら在宅で介護をし始めます。
いつから在宅介護と数え始めれば良いのかわからないのですが、3年くらいはたったでしょうか。
一口に3年と言っても、母からすれば終わりも出口もない日々だったに違いありません。
父は放浪したりすることはなかったのですが、母が働きながら父の面倒を見るのは病状の進行とともに大変になりました。
そこで、2008年の春に介護施設に預けることになります。
主に母が様子を見に行っていたので、私も「たまに顔を覗かせに行かないとな」と思っていたものの、なかなか1人でいく勇気が出ませんでした。
顔を見に行って何をすればいいのかも、とても戸惑いました。
入所したての父は、まだ会話をしようという意志があったと今にして思います。
父は言葉にならない声で思いを伝えようとするものの、うまく発音できずに、それでも何とか話そうとしていました。
母が会いに行くと嬉しそうな表情をしていたのを思い出します。
父は言葉になるかならないかの声で私に「帰りたい」と言っていました。
わかってあげたい気持ちとどうにもならない現状との複雑な気分。
そして、父が施設に入所して半年後、運命の日が突然やってくるのでした。