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[詩]再構築


秋風が泥の眠気を覚ます
望む所に置いてある擬似的ロウと
望まなくとも辿り着いた夜の休屋
虫の気配だけが患部を癒す

明日の所在を不確かに
明日の強制を不明瞭に
出来上がっていく綴り字を見つむ 

夜の下がり 世の形 余の境

秋風が満天の星空を想起させる
探そうにも探せない配置図と
探せばそこかしこに漂う夜の香り
無地の世界だけが感情に宿る

明日への排煙を肯定しながら
明日への採算を目視しながら
未完のままの生き様を推し量る

夜の盛り 世の瓦解 余の長居

カーテンが僅かに靡く
いつかの謳い

不死の緑がかるオーナメント
いつかの願い

去っていく車輪音
いつかの想い

秋風が

わたしを外へ向かわせる

秋風が

わたしを人へ向かわせる


夜の帳は平穏を齎す有機物
朝の廉価な背伸びへと誘う

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