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[詩]ひとつの解

手を振って またね
振り向いて またね

1桁の和のような
易しさだけを満たす見送り
季節の差は負数と無関係の暖かみ

学びは成長の因果律
遊びは哄笑こうしょうの中休み

私は喉を潤して声を整える

早い夕暮れに おかえり

帰りには
等しい数のパンを一緒に食べる

1日の価値は
貴方にとっては倍々に増えていく積
1日の価値は
私に於いては衰えで割られていく商

明るみの中で紡いでいると
暗がりが見え隠れする折り返し
肩の位置が不等号になればなるほど
私の笑みは皺くちゃになる

手を繋いで さようなら
手を離して ありがとう

きっと まだ先の
灯りの消失と命の等号


気がつくと
貴方はちょうど中休み

私は一節ひとふしを終えて
無心で皿でも洗おうか

まだまだ陽は高くなる





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