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[詩]往来

対象が無いゆううつ感
非対称の肉体と精神
吃る雲にも後押しされる
消えたはずの粉の跡
浮き上がっては擦り消す


あゝ 良い日だ


対象は陽に重なる爽快感
対称に並んだ跳ねた後の足跡
子供の笑みのような空が耳に憩う
全てを洗い流す水の音
物も人も即座に清めて乾く


あゝ 空想かな


遊び方が無尽蔵な日々の
根底にあったのは健全な刹那主義
掛け値無しに走り回って
明日あすへの余力を利害で括らなかった

晴れなら拭って
曇りなら描いた
雨なら濡れて
雪なら投げた


在りし日を想っていたら
ゆううつ感はひと握り分和らぐ
変えられない過去が
静々と寄り添い肩辺りを温めた

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