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[詩]あと少し

まだカーテンを開けたくない
ひとり遊びの余韻に浸っていたいから

ソファに腰掛け
毛布を胸まで
首をやや傾け
瞼は自由な開閉

綿毛のようにくだる感情の凪方なぎかた

アラームまでに間に合えば
未完の
作者急逝による侘しさを免れる

思い出よりも
ふたつ先の十字路を目指す
無風の道程は
指取りを妨げず彼方に広がる

身体の震えもなく
心音も穏やかな波形
口当たりならシリアルの軽さ
アルミニウムの熱の伝わり方
平年通りが耳に馴染む報せ

曇り時々晴れで良い
空の具合に気が向くと
ひとり遊びも過不足ない

レースカーテンも開けてしまおう
スヌーズは不要の白白明け



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