[詩]結びつく時の流れ
君 遠慮がちに気遣う行ってきます
応えに少し驚いて小さく手を振る
雨混じりの朝も変わらぬ繋がり
排気音が今日も遠ざかる
マンデリンの香りがひとり分速く消ゆ
#06から始まった不定の道のり
思えば遠く宛て無く歩いた鳥居沿い
桜舞うサーカスに遡行を忘れた時
2間ほどの床に置かれた安っぽい椅子と飲料
口笛が吹けずいじけ気味な眉間の線押す
不可逆的なわたしたちという現象
結露でカビかけの壁紙と相容れぬ多幸
茶色いソファでグラス傾け寄り添う
それでも雨漏りする日もあっただろう
低い天井では足りない何度も木霊する語らい
朝もやがかかる頃に並んだ終止線のような形
テーブルに添えた海と夢が書かれた葉書
望み願えば怖気付いた心が照らされていた
無垢の床に心許なく擦れるスリッパの音
壁紙をなぞりながら降る階段
吹き抜けの天井は2人分まだ暖かい
僕 しょぼ眼で伝えた行ってらっしゃい
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