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新米パパへ向けた夫婦で行う「仕事と育児の両立」

「妻の育児ストレスを少しでも減らしたい。
しかし、何をどうすれば良いのか、分からない時がある」

夫婦で育児をしている中で
このような思いになるときはありませんか?

コーチングでの話題の一つとして、
男性クライアントさんからの「子育て」
「赤ちゃんとの暮らし」に関する話があります。

私がコーチングでご一緒するお客様の多くは
男性が7割・ 女性が3割、
年代は30代から60代の方々とご一緒しています。中でも40代の方を中心に、赤ちゃんをお迎えしているご夫婦のお話を聞くことが増えています。

子育てはもちろんですが、特に新生児との生活は、それまでの生活から大きくシフトするため、様々な変化が起こります。

今回はそんな状況の中で、コーチングを実施し、夫婦で行う「仕事と家庭の両立」を実現させた新米パパであるお客様の事例を紹介します。

お客様の状況

社員5人を抱える事業主でもあり、
赤ちゃんを迎えて数ヶ月のパパでもあるお客様は、

「子どもの誕生で生活が変わった」
「妻には色々と気を遣っている」
「本当はしたいことがあるけど、今は我慢している」と話していました。

夫婦で協力体制を持ち、赤ちゃんのお世話をしているそうです。
また同時に、奥様に気を配り、今は状況を見ながら生活を回しているという言葉が出てきました。

現代において仕事も育児も、男女の性差でフィールドを分けることなく、
共に分かち合うことは自然の流れになっています。
とは言え、赤ちゃんと直接つながり、関係性が太いのは、身体の構造上、
お母さんである女性の方になりがちです。

そのため育児スタート期は特に、パートナーである男性は、お母さんである女性の感覚や判断を基準に赤ちゃんへ対応することが増えます。

どうやら現状を掘り下げていくと、
出産後、育児が始まってから
奥様に気を使ってやめていることがいくつかあるそうです。

お客様はやりたいことを「封印」しながら 、「妻に寄り添っている」。
そのような状態でした。

店長と副店長

ここでひとつ、お客様へ参考までに私の考え方をお話ししました。

私のアパレル19年の経験から当てはめると、
夫婦の子育てはアパレルの店の店長と副店長によく似ているなと考えています(笑)

(※店舗によって店長の裁量権、実質行う業務のボリュームなど
それぞれに事情があるので、厳密に言えば、様々なパターンがあります。

がここでは一つの概念の例えとして、
ある程度固定させていただいた上でお話を進めていきます。)

まず、店長について。
店長は、店舗運営において最終的な責任を負い、管理職として場の監督を任されます。
その為気は抜けず、あらゆる状況に備えて変化を予測し見極めながら、起こることは引き受けると覚悟し続けている人であり、場を任されています。

一方副店長は、店長の方向性に寄り添います。
店長同様に場の状況を見ることを任されていますが、ここに両者の立場の違いがあります。

「自分と全体の状況」という2方向の観念を持つ店長に対し、副店長は、「自分と全体の状況と店長の意図」という3方向の観念を持って
場を調整すること になります。

(当然店長においても、自分と全体の状況と副店長の意図、という3方向の観念をもつことも当然あります。
が、決裁権のある人は選択肢を絞ることを望まれますので、細分化させず全体の状況の中に副店長も含み、
明確な方向性や、メッセージ性を打ち出すことが優先となります)

以上がアパレル店での経験を踏まえた
店長と副店長の役割の違いについてなのですが、これが夫婦の子育てにおける関係性とどう似てるのでしょうか。

次に類似点について触れていきます。

夫婦の子育て「店長・副店長理論」

店長・副店長の役割と、夫婦の子育てにおける関係性の類似点について、店長はお母さん、副店長はお父さんに例えると
夫婦のコミュニケーションが紐解きやすくなると考えています。

つまり店長であるお母さんは、場の状況、つまり赤ちゃんの状態を見極め、最終的に全責任を負います。この場合の責任とは、赤ちゃんの心や身体の状態の観察と対応を、場の第一任者として受け持つということです。

その為気は抜けず、あらゆる状況に備えて変化を予測し、その都度見極めながら、起こることは引き受けると覚悟し、より良い状態を保っています。

一方で副店長であるお父さんはどのような役割でしょうか。

副店長であるお父さんは、
店長であるお母さんの方向性に寄り添います。
お母さん同様に、赤ちゃんの状況を見ることを任されていますが、先の店長・副店長同様、責任者としての立ち位置に差があることがわかります。

「自分と赤ちゃん」という2方向の観念を持つお母さん店長に対し、
お父さん副店長は「自分と赤ちゃんとお母さんの意図」という、3方向の観念を持って場を調整することになります。

(もちろん、夫婦としてお互いを思いやる気持ちやフィールドも持ち合わせていますが、あくまで子育てに軸を置いたときの、母×子からくる判断、
父×子×母の意図からくる判断、という図式をここではお伝えしています。)

だからお母さんは、第一任者である責任の重さから来るプレッシャーがあり、一方でお父さんは、お母さんとはまた違う、細分化されたプレッシャーがあるわけです。


お母さん店長経験談

ここからは、私自身の子育て経験で感じたことです。
「お母さん店長」として赤ちゃんに向き合っている時、確かに同じように副店長のお父さんが一緒にいてくれるんですが、自分が感じる重積は絶対に分かち合えないということを感じました。

なぜならこの場の店長は私しかいないからです。
当たり前なのですが(笑)、赤ちゃんが泣き出したり、何か違和感があったり、心配事があった時、メインとなり対処するのはやはりお母さん店長である私です。

店長と副店長が揃っていても、最初に対処し最初に納めるのは、やはり圧倒的に店長なのです。

コトがおさまり、「赤ちゃんがご機嫌になったね~」と副店長と喜びあうものの、店長がどれほどの気持ちで真剣に対処して事なきを得たか、それは当然相手には理解できないわけです。

それは、それぞれの役割の中でプレッシャーがあり、ある意味当たり前のことと言えます。
そうなのです。確かに、状況として当たり前なので、お母さんは当然、口には出さないし、出せないのです。

しかし、「そりゃ赤ちゃんがいてお母さんがいてお父さんがいてって立場があるじゃないか 」という現実とは別に
お母さん店長としての重責による、誰とも共有できない積み重なるストレスがあるのは事実です。

この、わかっているけど、じわじわと溜まる気持ち。
1人の命を育むという大仕事にも関わらず、どこか母親ならやって当たり前のような空気すら感じてしまいます。
そんな事を感じる自分の気持ちは口には出せないし、また、口に出すようなことでもないという意識があります。

また「これが仕事であれば、周りからそれなりの労を労って貰えるのに…。」当時そんな事も浮かびましたが、やはり口には出せないし、口に出すようなことでもないという意識があります。

更にストレスとして当時抱いたのは、
「母子の弱さ」です。
これもまた、当たり前なのですが、赤ちゃんと居るが故に、出来ない事が増えます。

子育て期に入る前であれば、
自身の身支度を整え、気配りができ、
家事もでき、仕事も回せていた。

しかし子育て期に入った後は、
身支度は後回し、気配りは赤ちゃんへほぼ全振り、家事は最低限、仕事は今でも出来る能力は衰えた気はしないものの、
現実の条件としては出来ない。

この時の内心の気持ちを言葉にすると、
「なんか悔しい」でした。

赤ちゃんはとてつもなく愛らしく、
小さく息をしているその姿は奇跡のように美しいと思っていました。
だからこそ、お世話に集中していたその一方で、こうした悔しい気持ちも潜んでいたのです。

この辺は、個人差もあると思います。
それぞれの性質や、キャリア形成の仕方などにより、諸々内容は変わってくるでしょう。

あくまでも私自身の体験の一部です。
(しかも、ストレスにフォーカスしているので、そちらの表現が多くなりますが、母親として、家庭人としての幸せも享受していました。)

こうした、
「状況的にどうしようもないけれども、積まれるストレス」に対して、
どのように対応したら良いのでしょうか。

キャリア妻のトリセツ

あなたの奥様がキャリアのある女性だった場合、または、キャリア問わず様々な活動をしてきていた女性の方であれば、今回お伝えした事例に当てはまるかもしれません。

女性が「お母さん店長」になった時、今まで自分でやり遂げてきた経験があるからこそ、人に頼るのが苦手であり、何でもしようとします。

その結果、子どもがいるからできなくなる事も、まるで自分の能力が下がったように感じてしまいます。
ただその現象を体験しただけで自分への無力感を感じてしまうのです。

お客様のアクションプラン①

以上のような私の仮説と経験から来る、
夫婦の子育て「店長副店長理論」をお客様へお伝えしました。

これは、私自身の店舗運営から来る経験を反映したものであり、
あくまで参考までにお伝えしたのですが、
お客様は、「うちも、もしかしたら当てはまるかもしれません」
と言いました。

奥様は、子育てスタート前はあるサロンを運営されており、
キャリアを積んでいる方でした。

「妻はサロンの仕事では、色々な方に相談したり、話し合って進めているようでした。子育てになってからは、関わる人も減っているし、妻が自分だけで決めなきゃいけない事は多くなっている。」とお話しし、更に

『1人の命を育むという大仕事にも関わらず、
どこか母親ならやって当たり前のような空気がある』
という話にも多いに頷き、

「仕事ならもっとラクに乗り切れるのに、と妻が口に出していたのは、そういった精神的な部分かもしれません」と、具体的なエピソードを思い出し、掘り下げが進んでいきます。

更に私からの問いかけである「お母さん店長の持つ、
『状況的にどうしようもないけれども、積まれるストレス』に対して、
お父さん副店長はどのように対応したら良いのでしょうか。」に対して、

「さとコーチの言う、お母さんならではの、
誰とも分かち合えないストレスがあるとしたら、
僕はもっと妻と話をするべきかもしれないです」と
アクションプランを持ち出して来ました。

お客様のアクションプラン②

お客様から「妻と話し合う」というアクションプランが出たところで、
冒頭の話に戻ります。

お客様は育児が始まってから奥様に気を使ってやめていることがいくつかあり、「封印」しながら 、「妻に寄り添っている」といった内容がありましたので、ここで掘り下げをしていきます。

「◯◯さんが、具体的に辞めていることとはどのようなことでしょうか?」
と私から尋ね、お客様にピックアップしてもらうと、

①朝型生活(子供のサイクルに合わせて今は夜型になっている)
②外出(なるべく自宅にいて育児交代できる時間を増やす)
③趣味の時間(①・②の結果実施する時間が無くなっている)
以上3点の内容でした。

そこで私から「なるほど。では、奥様との話し合いの中に、奥様の話を聴くことと、ご主人の封印している部分の話し合いができるように設定してみてはいかがでしょうか」
とお伝えし、実行することになりました。


お客様のアフター

お客様はさっそく、奥様との話し合いの時間を設けました。
お客様は、奥様の考えていることを久しぶりにじっくり聴けたと言って、
目を細めていました。

更に、ご主人の封印していた朝型生活について打ち明けたところ、
なんと奥様も同じように生活時間を見直したいというお考えがあったそうです。

お客様のアクションプラン実行により、夫婦共通の目的が見出せた訳ですね。子育てが始まると、夫婦共通の目的が「子育て」そのものになってしまう場合があります。本来パートナーとして子どもの有無に関係なく共通に行なっていたことや、目的を見失うご夫婦も多いようです。

ここで、大人だけの目的、夫婦だけの目的を共有できることは、大きな一歩になるでしょう。

「話してみるものですね。これからは、それぞれの思いを封印せずに話し合います。それぞれがやりたい方向に近づけるように接点を見つけていきます。」とお話しし、今では定期的に夫婦ミーティングを重ねているそうです。

まとめ

いかがでしたか?
今日は、コーチングを実施し、夫婦で行う「仕事と家庭の両立」を実現させたお客様の事例を紹介しました。

今回の事例から言えることとしては
①「お母さんだから当たり前」
「お父さんだから当たり前」
としてしまう前に、それぞれの立場の違いを理解すること

②(できれば子×父×母の意図の3方向の視点を持てる「お父さん副店長」の方から)話し合う時間を意識して設けること

③「子育て」以外の夫婦共通の目的を持つこと

以上3点に集約されるでしょう。


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