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短編小説

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2022年11月の記事一覧

石柱【短編小説】

老人は、この地へと再び、足を踏み入れることができた。

外国語で書かれた石柱がある。
その近くに見覚えのある木があった。

間違いない。
かつて登ったあの木だ。

あの頃と同じように
老人は、その木を登り始めた。

廃墟となった、外国の建物が立ち並ぶ中、
1本の木は、彼をもう一度少年へと戻しているようだった。

何かの音【短編小説】

時刻は深夜2時。

大量の錠剤を手に持ち、彼はソファに座った。

さようなら、この世よ。

錠剤を口に含もうとした、その時、何かの音が聞こえた。

しかし、何か分からなかった。

再び、錠剤を口に含もうとしたら、また、何かの音がした。

なんの音なんだ。
男は、部屋の中をくまなく見て回った。

しかし、何も分からなかった。

仕方なく男は、錠剤を瓶の中に入れ、眠りについた。

次の日の朝、テーブル

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答え【短編小説】

答え【短編小説】

僕は、友達がいない。
なぜいないのか、理由はわかっている。
自分の感情を他人に出すことができないからだ。

高校生までは、人と話すことすらできなかった。
大学生となった今、人と話すことはできるようになったが、ただ話せるようになっただけだ。

人とは、表面上の付き合いはできるが、それ以上の関わりが、どうもできない。
大学に行ってもいつも1人。

僕は、友達が欲しかった。
今の自分は、孤独すぎる。大学

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