「好きを仕事に」の罠
・好きこそ物の上手なれ
・好きを仕事に!
・好きだから頑張れる
ここ数年、これらの是非についてよく考えています。
個人的には「好きという感情」は、仕事においてはかなり危ういものだと思っています。
好きなことって不思議なもので、あるとき急にそんなに好きじゃなくなったり、むしろ嫌いになったりしますよね。もちろんさらに好きになることもありますが…とにかく波が激しい感情です。
好きを原動力にして働いていると、本来おまけであるはずの「自分の好きという感情を満たすこと」がメインの報酬になってしまい、がんばりすぎたり、手を抜いたり、顧客の求めていることとずれたり、仕事のクオリティにムラがあったり。そして最終的に理想と違ったときに乗り越えられずに辞めてしまうというケースをよく見かけます。
ピアノ調律師の仕事ってやっぱり好きを原動力に始める人が多くて、同期先輩後輩、講師をやっていたときにもそういった生徒が多かったです。でも、想いが強すぎる人ほど数年経つと自分に合った他の職に就いていたりします。逆に割とドライに向き合っていたように見える人ほど今でも続いていると言う現実。
その一方で好きという感情が大きな成果を生み出すこともあったりで(特に芸能の仕事なんかはそうかもしれません)一概に悪い感情とも言えないので難しいところです。
最近たどり着いた落とし所としては、「仕事として」のそれを好きというのが健全な状態なのかなと。清濁併せ呑む覚悟を持った「好き」は強固なのでは無いかと。
三遊亭円楽さんの言葉で、好きなことで食べていく方法として、
「時間を忘れてやってしまうような好きなことに、少しの社会性を持たせる」
と言うのがあって、この「社会性」という部分が、危うい「好き」という感情を安定させる鍵なのかなとも思いました。
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