「コスパ」と言う言葉がいつの間にか市民権を得ていた
「コスパ」という言葉。
いつのまにかすっかり定着したと思いませんか?
元々はスラング的なイメージでした。
僕が鮮明に覚えているのは、10年くらい前に上戸彩さんの引っ越し屋さんのCMでこの言葉が使われていたこと。「コスパで選んでる?」的な内容だったと思います。(調べたら2011年のCMでした)
ものすごくどうでも良いけど、当時からこの語りかけてる「潤ちゃん」を勝手にネプチューンの名倉さんで想像してました。
当時はまだそこまで一般的に浸透しているイメージがなかったので、CMでこの言葉(潤ちゃん…じゃなくて“コスパ”の方ですよ)を使うことに驚いた記憶があります。
未だに仕事で使うには少し砕けた表現かなと思いますが、ニュアンスを伝えるのに便利で、お客さまに説明するときにも最近よく使っています。
ピアノの修理や調整のご提案のときに「こっちの作業は、いわゆるコスパが良い作業ですね」とか「コスパで考えると優先度は低いです」とか。
そう、コスパはコスパという言葉でしか表しづらいんですよね。
「コストパフォーマンス」と言うとなんかピンと来ないし、「費用対効果」というと会議っぽい。「お得」「割安」ともちょっと違う。
ピアノの調律でもコスパは大事
特に久しぶりの調律のピアノの場合はコスパを重視しています。
この場合のコスト=時間 です。
長年放置されているのでやれることはたくさんある。でも限られた作業時間の中で、いかに効果の高い内容を選んでいくか…と言う状況。
例えばわかりやすもので言うと、鍵盤の下のホコリの掃除です。
何年分もこんもりと積もっているホコリを5分間、掃除機をかければかなりスッキリします。
でもさらに5分かけて隅の方を徹底的に掃除しても最初の5分ほどの感動はありません。それよりもその5分を、他の作業の最初の5分に使ったほうがコスパは良くなります。
この「最初の」と言うのが重要で、どんな作業もスタートが一番コスパが良くて、同じ作業を突き詰めていくほどコスパは悪くなっていきます。
久しぶりの調律のお客さまから「もっと時間かかると思ってました!」と言われることが多いんですが、なるべく短い時間で終わらせることは価格を抑えることに直結するので、初回はコスパを特に意識しています。
逆に回数を重ねてピアノが育ってくると、コスパの悪い作業をしないとそれ以上先に進めない領域もあります。気をつけたいのは必ずしも、コスパが良い=優先度が高いではないということ。
コスパは状況(と要望)に応じてコントロールしていくことが重要なんだと思います。