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ピアノ調律師の“自分の”ピアノ事情
あたりまえですが、ピアノ調律師も1人のピアノユーザーでもあることが多いです。
仕事と関係なく持っている「自分のピアノ」
とは言えやはり調律師が所有する以上、一般的なピアノとの付き合い方とはちょっとだけ違うのかもしれません。いや、そうでもないのかも。どうなんでしょう。
僕の場合の自分(と家族)のピアノについて書いてみようと思います。
意外と調律師同士では自分のピアノのことってあまり話題にあがらないのです。同業者の方のピアノ事情、とても気になります。
自宅のピアノ
妻の実家から持ってきたアップライトピアノを自宅に置いています。
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YAMAHAのU1H(1979年製)で、妻が子どもの頃に中古で買ってもらってずっと愛用しているピアノ。
蓋がゆっくり閉まる装置と、蓋の開閉に連動して部屋のスポットライトがON・OFFするセンサーを後から取り付けました。足元は耐震のゴム製インシュレーターに乗せ、それによって高くなったペダルを踏みやすくするための足台(妻作:材料費200円)を設置。
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置き場所は家を建てるときから計画していたとおり2階北西の6畳の個室をピアノ部屋にしています。この部屋は文鳥を放鳥(日に何回か部屋の中で自由に飛ばせる散歩のようなものです)する部屋としても使っています。
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冷暖房は普通のエアコンのみ。TANITAとswitchbotの湿度計2台で監視しつつ、夏はアイリスオーヤマの除湿機、冬はダイニチの加湿器で湿度50%を保つように心がけています。自分でもしっかりやっていないとお客さまにも言えないですからね。でも本当に徹底的に(と言っても自動運転するだけですが)湿度管理しておくと、ピアノが嫌な狂い方をしないのを実感します。
窓から西日が入るので、遮熱のレースカーテンをつけています。明るさを確保しながら日光の影響を抑えられるのでこちらもおすすめです。
調律は半年に1回くらい、妻と僕とでなんとなく交代で。
調律師はいつでも自分のピアノをメンテナンスできてお得と思われがちですが、悲しいかな、自分のピアノかつ無料ではどうしてもいつものクオリティで作業ができないものです。数年前からは調律をした人に家計からおこづかいが支払われるようにしました。
今回のように長期休みのときには感覚を忘れないように、あいだで自宅のピアノ調律をすることが多いです。(決しておこづかいが無くなったからでは無い)
カホンにて乱入#丸の内サディスティック pic.twitter.com/h8bmkwxRTe
— nakajima/つくしピアノ調律所 (@nakajimapiano) January 15, 2025
部屋にはもう1台、ROLANDの電子ピアノFP-7(2010年製)を置いています。
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これはアパート住まいだった頃に買ったもので、今は耳コピする際や音色を変えて弾いてみたり、たまにピアノと2台で合わせたり。
またピアノとしての用途だけでなく、スピーカー部分を活かしてギターを鳴らしたり、マイクを繋いでカラオケをしてみたり、色々と活躍しています。
実家のピアノ
実家にはもともと母が使っていたYAMAHAのNo.U2(1971年製)がありました。
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数年前に亡くなり弾く人がいなくなったのでどうしようかと思っていたところ、お客さまでちょうど使っているピアノが限界を迎えた方がいて…調律を今までどおり定期的にご依頼いただく代わりに無期限・無償でお貸ししています。
弾かずに調律もしなくなったピアノは、そのままにしておくとどんどん痛んでしまいます。しばらく使わないけど手放す決断はできない大切なピアノは、信頼できる方に使っておいていただくのはオススメです。
別荘のピアノ
実家の別荘が河口湖にあって、そこができたときに購入した中古のグランドピアノ、YAMAHAのC3(1984年製)
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知り合いの楽器屋さんに頼んで良いコンディションのものを入れてもらいました。
ただ、別荘という環境はほぼもれなくピアノにとっては過酷です。
普段人が住んでいないので常時管理することが難しく、山や川、海、湖の近く…基本的に自然の中です。ここも富士山中なので冬は極端な寒さ。夏や雨の日は湿度も上がります。さらに薪ストーブを使っているという最悪な環境。
YAMAHAの頑丈なピアノなことと、行く度に少しでもメンテナンスをすることによってなんとか保っています。ただそれも自身が調律師だからできることでもありますし、これが海外製のピアノだった場合もっとシビアになります。
今後は別荘地のピアノ管理の最適解を見つけていって、別荘にピアノを置いている方、置こうと思っている方の助けになればと考えています。
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もう1台、ここの寝室にはお客さまから譲ってもらったKAWAIのミニピアノも置いてあります。こちらは元々内部がかなり傷んでいるので、いつか手入れをしようと思って十数年...
自分のピアノで気づくことがたくさんある
自分のピアノには、役に立ちそうな色々な器具を使ってみたり、思いついたメンテナンスを試してみています。
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そしてそれをお客さまにフィードバック。自分で使っていて気づくことや所有しているからこそ出る不満点も貴重な情報です。
一例ですが、ピアノ調律師のピアノ事情でした。
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