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迷子の犬が我が家にお泊まりした話

人生ではじめて、迷子犬を保護しました。

結果的に飼い主さんが見つかり無事おうちに帰ることができたのですが...

はじめてのことで色々と迷うこともありました。そうそうあることでは無いかも知れない。でもいざ遭遇したときに知っていると、不幸になる人や犬を減らせるかもしれない。

どなたかの参考になればと思い、一部始終を記録しておきます。
また「ここはこうしておくともっと良いよ」みたいなことがあれば教えてもらえると嬉しいです。

夜、犬が訪問してきた

ことの始まりはある日の夜、20時頃。たまたま車に取りに行くモノがあって玄関を開けました。すると前の道路から笑顔でトコトコと小走りでこっちに向かってくる犬。

...犬!?

びっくりして外に出てみると、首輪をしていない柴犬です。まわりを見ても飼い主らしき人はいません。

車通りも多い道路なので、ウロウロする犬をとりあえず体でガード。本当は押さえて一旦止まらせたいですが、どう言う性格の犬かもわからないので不用意に触ったりもできません。ビックリして飛び出してしまっても噛まれても大変です。

そんなこんなで妻と2人で右往左往していると、お向かいさんが出てきてくれました。しばらく様子を見た感じ触っても大丈夫そう、どころかかなり人懐っこい子のようなのでひとまず安全なところに入れたい。自宅のガレージを開けてそこに犬を抱えて避難しました。シャッターを閉めてひと安心です。

とにかくリードをつけないことには外にも出られないので、お向かいさんが同じくらいの体格のワンちゃんがいるお宅から首輪とリードを借りてきてくれました。

ガレージ内をキョロキョロしつつも特に嫌がる様子もなく、されるがままの犬。ご近所さんたちと改めて確認してみても、この近くで見たことがある子ではなさそうです。

とりあえずこれで外に出られるようになりました。改めてまわりで探している人がいないかを探しつつ、もしかしたらあの家の子かも?と言うお宅を当たってみたり。

小一時間ほど探してみますがどれもハズレ。寒くもなってきたのでこれからどうするか...

とりあえず、うちで預かることに

お向かいさんもリードを貸してくれたご近所さんも犬を飼っているので連れて帰るのが難しく、うちで預かることになりました(元々そのつもりでしたが)

お向かいさんからはフードとトイレシートを分けてもらいました。

我が家の中ではガレージで過ごしてもらうのが一番安全でこちらもお世話がしやすそうです。ガレージ内の倒れたら危ないものを片付けて、冷たくないよう段ボールを敷いてその上に養生シートを敷きます。

庭にあったタープ用のオモリを持ってきてリードをつなぎ行動範囲を決めます。食べやすいようコンテナボックスをひっくり返してその上にご飯とお水をセット。使っていなかったブランケットとタオルを敷いて寝床の完成です。

すぐに犬も落ち着いてくれて、ひとまず安全が確保できました。ご飯も食べてくれてひと安心。後で聞いたところかなり偏食なようで飼い主さんも食べたことに驚いていました。そうとうお腹空いてたんだね…

SNSへの発信

とりあえずできること。

もし自分が飼い主だったら、近場を探して見つからなければXを見たり発信すると思います。

なので探している人がいないか検索しつつ、Xで保護情報の発信をしました。

地域と、犬の顔と体格のわかる写真を何枚か載せて、ハッシュタグには#市町村名と#迷い犬 #迷子など添えて。

この場所は立地的にも下から登ってくるには結構大変な坂の上です。ある程度年齢の行ってそうな子で、汚れても痩せてもいない。そんなに遠くから来た子ではないだろうとの判断で、投稿には現在地の市だけを入れました。場合によっては周辺の市や県名も入れたほうがよいかもしれません。

ただ、SNSの発信には懸念点もありました。僕の場合は仕事のアカウントで住所も晒しているので問題ないのですが、そうでない場合は個人が特定されてしまうことは慎重になった方がよさそうです。また、最終的には飼い主さん本人だけが探している子かどうかの判別できれば良いので、犬の特徴や写真は詳細になりすぎないよう気をつけました。

小さなアカウントですが最終的に多くの方に見て頂けました。ここまで簡単で多くの方に届く方法は他にないので、迷子の際は飼い主側も発見側も、気をつけつつXでの投稿は積極的におこなうべきだなと感じました。

警察への届け出

ドッグトレーナーの友人からも、Xへ返信をくださった詳しい方からも、「警察への届け出」と「保健所への連絡」が必要とアドバイスをもらいました。

保健所は時間外のため明日にするとして、まずは最寄りの警察署に電話をしました。迷い犬を保護したことを伝えると、名前と住所、犬の種類と性別、年齢の感じを聞かれます。

ちなみに警察内での迷い犬の担当は「会計課・落とし物係」になるようです。

警察で一時引き取ることを打診されましたが…おそらく近所の子であるだろうこと、安全に保護できる環境があること、何より助けを求めてきてやっと安心してくれた子をまたタライ回しにすることはできなくて、届け出だけをして、そのまま我が家で保護する形を選びました。

1時間後に警察の方が来て、犬の確認と、持ってきた機器でマイクロチップが埋め込まれているか確認されます。マイクロチップが入っていれば飼い主さんの情報がわかり解決ですが、残念ながらこの子は埋め込まれていませんでした。

自宅で保護する意向の確認をされ、「数日して飼い主さんが見つからなければ保健所に預けてください」とのこと。再度フルネームと生年月日を聞かれ届け出は完了のようです。書類などを書くことはなく、警察の滞在時間は10分ほどでした。

警察の方に向かって犬は初めて吠えていたので、やはり連れて行ってもらわなくて良かったと思いました。楽しい感じではない雰囲気を感じ取ったのでしょう(これは警察の方が悪いわけではなく)

ただ、今回はおとなしくて人懐っこい犬だったこと、僕自身が犬を飼った経験があったこと、安全に保護できる環境があったことなど好条件が重なってのことなので、少しでも不安があれば警察や保健所に任せるのが良いと思います。

警察に保護をお願いしても渋られると言うケースもあるようなので、この地域は預かる体制ができているのかもしれません。また、警察と保健所は横のつながりが無い(個別に連絡しないといけない)と、どの情報にもありましたが、後で知ったところでは今回そのまま届け出は保健所にも共有されていました。

ひとまず今できるであろうことは終わったので、エアコンをつけっぱなしにし、暗くなりすぎないようランタンの灯りだけうっすらつけてゆっくり休んでもらうことにしました。

まあこちらは気が気ではなく、なかなか寝付けませんでしたが…数時間おきにスマホでガレージの温度を確認したりして朝を迎えます。

翌朝になり

翌日の朝は早起きして散歩に行きました。散歩が好きなようでものすごく喜んでくれました。

トイレ用に黒いビニール袋とティッシュ、流す用の水をペットボトルに入れて持っていきます。夜中ガレージ内でトイレをしてしまうかなと思っていましたが、ちゃんと散歩まで我慢をする良い子でした。

一緒に散歩を楽しんだ後は、ご近所の調律のお客さまにもし情報があれば知らせてもらえるようメール・LINEでお願いをしました。みなさん朝からご家族などにも聞いて頂いたり、近くのコンビニに貼り出してあったチラシの情報など教えてくださり大変ありがたかったです。

あとは念のため、保護している犬がいることと連絡先を印刷して家の前に掲示。

仕事の合間に保健所に連絡だけしておこうと思い、その前に妻と相談を。

「もし飼い主さんが見つからなかったら、うちで引き取る意向であることを保健所には伝えよう」と言うことに決めました。そういった流れが実際に可能なのか、今回のケースではそうはならなかったので不明ですが、どう転んでも帰れる場所だけは作っておいてあげたかったです。

警察からの電話

この日はお昼から都内で仕事だったので電車で移動中、警察署から電話がありました。掛け直すと「飼い主さんらしき人からさっそく問い合わせがあったので、電話番号を教えて良いか」との確認。お願いするとすぐに電話がかかってきました。

念のため探している子の特徴を教えてもらうと、かなりの確率で一致しています。夜に自宅に来てもらう約束をしました。

19時以降うちは何時でも大丈夫ですよとお伝えしていましたが、時間ピッタリに来ていただきました。1秒でも早く無事を確認したいですよね。

そして再会

ガレージに入ってもらい再会したときのワンちゃんの反応、明らかに今までとは違っていて、喜ぶような、飼い主さんに「遅い!」と責めるような。家族に対する反応でした。

この反応を見ればほぼ確定ですが、確認のためにお持ちの普段の写真を見せてもらいました。万が一間違っていたり、考えたくは無いですが悪意のある第三者と言う可能性はゼロでは無いので。見つかったことでテンションが上がって有耶無耶にしてしまいそうなので、ここは冷静に進めることを特に心がけました。

飼い主さんには保護中の様子やトイレの調子も良かったことをお伝えしつつ、普段どんな子なのかのお話も聞いたりして楽しかったです。このとき名前もはじめて知れました。

昨晩脱走してからもすぐに飼い主さんは周りを探し回っていたそうで。ご自宅はうちから徒歩5分くらいのすぐ近くでした。同じ住宅街ですがメインとして使う道路や散歩コースが絶妙に違うエリアで、当日はお互いに見つけられず、ワンちゃんもこのあたりは知らない場所だったそうです。

首輪を付け替え、協力してもらったご近所さんにも一緒にご挨拶に行き、また飼い主さんと一緒に遊びに来てねーと言いながらお別れしました。

事後処理

迷い犬を見つけてから飼い主さんを見送るまでちょうど24時間。

短い時間でしたが、解決したらどっと疲れました。はじめてのことでしたし、命を預かる(しかも健康状態や性質がわからない子)と言うのは思った以上に神経を使いました。

とりあえず妻と、いったん自分たちを労おうとコンビニでスイーツを買ってきて休憩。

その後はガレージを片付けて、お客さま、友人、X、警察、各所にご報告とお礼の連絡

まとめと余談

本当に事故もなく、無事におうちに帰れて安心しました。再会したときの飼い主さんとワンちゃんのホッとした顔が忘れられません。

気をつけたことと、おおまかな流れです。

迷い犬を見つけたら

  • 安易に触らない

  • まずは安全を確保(リードで繋げればベスト。できない場合、外に飛び出さない場所、階段の無い部屋などがベター)

安全が確保できたら

  • 最低限お水はあげておく

  • 最寄りの警察署に電話

  • 保健所に電話

  • SNSへの発信は有効だけど慎重に

飼い主が見つかったら

  • 複数人で立ち会えればベスト

  • 引き渡し時は写真などで確認を

  • ご協力してくれた方への報告は忘れない

  • 検索ノイズにならないよう、SNSの投稿は数日中には削除した方が良い

やはり一番重要視していたことは「犬の安全と健康」そしてとうぜん同じくらい大事な目的「正しい飼い主さんの元になるべく早くお返しすること」この2つを軸に行動をしました。

こう言うイレギュラーなことが起こった時は、本当にまわりのご協力がありがたいなと感じました。

ご近所で状況を知ってくれている方がいると話が早いですし、今回リードもフードもお借りできたのは本当に助かりました。(もし無ければドンキホーテあたりに買いに行くしかないかなと)

直接解決につながったのは警察のおかげで、SNSでもひとつひとつのリポストやいいねは本当に心強かったです。

早めに周りの人に状況を知っておいてもらうことが、落ち着いて進めていけた理由だなと感じます。

保護中はなるべく安心してもらおうと撫でにいったり、妻はガレージで一緒に読書をしたり、お向かいさんと散歩に行ったりしていたみたいです。ワンちゃんにとってはちょっとしたお泊り会だった、くらいに思ってくれていたら嬉しいです。

ものすごく余談ですが、今回たまたま家の前に来ていたのを発見できたのは、元を辿っていくと乗っている車のリコールがあったことと、Amazonのプライムセールが開催されているなど些細なことが重なって、普段と違うイレギュラーな行動をした故でした。

おもしろいめぐり合わせ、これがバタフライ・エフェクトか...と思ったり、とにかく忘れられない体験となりました。

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つくし@ピアノ調律師の書斎
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