調律師がすすめる、ピアノの本
弾くだけじゃなくてピアノのことをもっと知りたい!と思ったときに、ピアノ関連の本はたくさんあってどこから手をつけて良いか難しいです(専門書は価格も決して安くないですしね)
そんな方に向けて、まず最初の一歩としてここを押さえておけばピアノの全体像が見えやすい、おすすめの本を紹介します。
ピアノのことをもっと知りたい方向けの本
青山一郎著「1冊でわかるピアノのすべて」
ピアノの歴史から音律のこと、構造から考えた弾き方のこと、調律のことなど色々な角度からピアノのことが書かれています。
それぞれの内容は紹介にとどまらず、一歩踏み込んだ内容になっていて著者の方の講義を受けているような熱量のある本です。
twitterで見かけた、実際に大学で授業を受けたことがあるという方いわく、突然おすすめのパスタの話になったりと面白い先生だったとのことで、本書を読むとその感じなんとなくわかります。笑
一読しただけではちょっと難しい専門的な話も多いですが、図のわかりやすさがピカイチなのでパラパラと眺めているだけでも勉強になります。ピアノが好きな方であれば必ず何かひとつは響く本だと思います。
井上さつき著「ピアノの近代史」
日本ではどのような人物が関わってピアノがつくられ広まっていったのか、ピアノ産業の発展の経緯がよく分かる本です。
ピアノの誕生までさかのぼって1700年代のイタリアから深堀りしていくのは大変ですが、日本のピアノの歴史はここ130年ほどの話。多くの人にとって身近な国産ピアノと地続きの話なので想像もしやすく、今あるピアノのルーツを知っておいて損はないと思います。
ちなみに僕はこういった本を読むときはまず年代ごとに付箋を貼って、さらに新しい方から過去にさかのぼって読んでいくようにしています。
三浦啓市著「日本のピアノメーカーとブランド」
日本にある・あったピアノメーカーやブランドについての情報が集約されている本です。データベース的なので読み物としておもしろいという類のものではないですが、「ピアノの近代史」の後に読むとより理解が深まると思います。
いろいろなピアノのロゴやエンブレムの写真が並んでいるのはマニアックな方にはたまらないのではないでしょうか。各メーカーの当時の味のある広告なども掲載されているので、そういったレトロなものが好きな方にもおすすめ。
調律の世界に触れてみたい方向けの本
小説「羊と鋼の森」
本屋大賞を受賞し映画化もされた小説で、この本を読んで調律を頼もうと思ったという方が結構いらっしゃいます。
調律師(調律業界)の美しい部分を純度高く抽出した作品です。
「調律の世界ってほんとうにあんな感じなんですか?」と聞かれますが、この本に抽出された美しい部分だけでは成り立たないのも事実...!なのでファンタジーではあるけれど、たしかに存在する部分であるのも本当。
「仕事としての調律師」よりも「生き様としての調律師」が描かれている作品だと思います。静かなところで読みたい1冊。
漫画「ピアノのムシ」全13巻
調律師の“あるある”や本音、業界で働いている人たちの描写...本当にリアルです。調律師ってどういう仕事かと聞かれたら、色々と説明をするよりもこの本を渡したい。
羊と鋼の森が「理想」だとするとこちらは「現実」
ギャップを埋める意味でも調律師になりたいと思っている人には必読の本。
もちろん漫画としてもおもしろく、調律業界って(色んな意味で)おもしろいんだと気付かされます。ドラマ化してくれないかなあと思ってます。